プロステル陛下と王妃!

「プロステル王。」

 モートはシグリップの前に現れると名前を呼ぶ。


「神モート・・・如何なされましたか。」

 驚きながらも平静を保つシグリップは問いかける。


「アイトネから話が来た。」

 モートはそう言うとシグリップの執務室にあるソファーへ座る、シグリップは机から移動しモートの対面に座ると話を聞く。


「聖女の件だ。」

「明日チハル王女が対決すると言っていた件ですか。」

「あぁ、それは無しだ。」

「・・・。」

 モートの言葉にシグリップは黙って話を聞く。


「あの聖女と言われている女はチハルの手に余る。」

「・・・確かに、貴族連中も手玉に取れる程口は立ちます。」

「それに結果は決まっている、俺が冥界へ連れて行く。」

「・・・そうですか。」

 シグリップは何とも言えない表情で俯く。


「・・・国で裁きたかったか?」

「はい、証拠は色々と有りました、しかし信者はそれを信じている以上、国から何を言っても聞き入れずあの女に手を出せませんでした。」

「そう言う事ならコレはどうだ?」

 虚空に手を出し紙を数枚取り出すモート、その紙をシグリップに渡す。


「・・・な!?」

「この国は犯罪奴隷以外の販売を禁止しているのだろう?」

「・・・これは?」

「違法奴隷を販売した証拠だ。」

「どうやってこれを!?」

「今教会に行って持ってきた、これを隠した本人の記憶を見れば何処にあるか分かるからな。」

「・・・フレーム子爵にプロト侯爵、コイツら、繋がってやがったのか。」

 シグリップは怒りをあらわにしながらもモートに礼をする。


「直ぐに動きます。」

「俺がそのまま冥界に連れて行くぞ?」

「いえ、それですとこの犯罪が表に出ないまま終わってしまう、国として犯罪者を処分する名目が必要なのです。」

「ふむ、それで?こいつらの処分はどうなる?」

「公開処刑です。」

「・・・あ~、肉体ごと持って行くつもりだったが。」

「肉体ごと?」

「これだけ魂が濁っているとな、魂を浄化するのに時間が掛かるんだ。」

「肉体があればどうなるので?」

「早く浄化出来る、チハルの言い方をすれば驚きの白さってヤツだ。」

 クックックと笑いながら答えるモート。


「・・・しかし、処罰を見せなければまた同じ事をする者も現れる、犯罪抑止の為にも必要なのです。」

「人間とは面倒だな・・・それでは処刑の時に俺が処分すると言うのはどうだ?」

「どういう事ですか?」

「なに、今お前の記憶を見たが、磔で槍を刺すのだろう?」

「はい。」

「槍の代わりに俺が罰を下せばいい、そしてそのまま連れて行く。」

「どういった処罰を?」

「そうだな、プロステル王、お前の声で俺が現れ、インパクトのある罰を与えてやろう、雷でも落とすか?」

「落とせるのですか?」

「あぁ簡単だ。」

「分かりました、それでは。」

 シグリップは少し腰を浮かせた所でモートが話しかける。


「プロステル王。」

「はい?なんでしょうか。」

「1つ良いか?」

「はい。」

 モートからのお願いと聞き、シグリップは座り直し、緊張しながらモートを見る。


「お前の妻、ラティスだが。」

「ラティスが何か?」

「明日チハルと王都へ遊びに行きたいと言うだろう。」

「王都にですか?」

「あぁ、許可してやれ。」

「・・・もちろんです、いつも王宮で窮屈そうにしていましたから。」

「あといくつかお願いをされるだろう、それも聞いてやれ。」

「お願い?」

「それは直接聞けばいい。」

「何故ラティスの事を?」

「聖女達が話していた時、ラティスが心の中で心配していたのでな。」

「・・・。」

「俺や女神は聖女の悲しむ姿を見るのを嫌う、あの子達に悲しい涙を見せる者は天罰が落ちると思え。」

「はっ、確かにお聞きいたしました、シグリップ・アム・プロステルは神モートに誓います。」

 シグリップはそう言うと立ち上がる、そしてモートの方に目をやると既に姿は消えていた。


「・・・冥界の神・・・か。」


コンコン。


「入れ。」

 ノックの音にシグリップは声を掛けると、ゆっくりと扉が開く。


「シグリップ様・・・。」

「ラティス、どうした?」

「あの・・・その・・・。」

 そっと扉を開けるラティス、部屋をキョロキョロと見るとシグリップの前に行く。


「その・・・。」

「あぁ~、ラティス明日は公務を休んでくれ。」

「え!?」

「いやぁ、今来ているお嬢ちゃん達は明日王都に行くと聞いてな?」

「は、はい!」

「王都の案内をして貰う事は出来るか?」

「え!?宜しいのですか?!」

「良いからお願いしてるんだがな。」

 クスクスと笑いながらシグリップはラティスに言う。


「はい!頑張ります!」

「あぁ、頼んだぞ。」

「あの・・・。」

「ん?なんだ?」

「その・・・私もお願いがありまして。」

「ラティスから願いを言われるのは初めてだな、言ってみろ。」

「・・・その、付き人のリプテルと・・・オルティナと・・・その・・・お友達になっても良いですかっ!?」

 ラティスは目を強く瞑りながらシグリップにお願いをすると、シグリップは大笑いで答える。


「はっはっは!!!そう言う事か、大丈夫だぞ?」

「宜しいのですか?!」

「あぁ、俺もセレスと友達だからな。」

 シグリップは執事セレスの名前を出すと笑みを浮かべる。


「他には無いか?」

「はい!ありません!」

「そうか、明日は楽しんでくるんだぞ?」

「はい!シグリップ様大好きです!」

 ラティスはそう叫ぶとシグリップに抱き着く。


「・・・綺麗な髪だ。」

 サラリと流れるラティスの髪を指で掬うシグリップ。


「美の聖女ヨリ様とミオ様が綺麗にしてくださいました!」

「そうか、良かったな。」

「はい!」

「それじゃ俺は今からちょっと面倒事があるから先に休め。」

 シグリップが言うと、扉からラティスの付き人、リプテルとオルティナがお辞儀をしながら入って来る。


「リプテル、オルティナ。」

「「はい。」」

「ラティスを頼むぞ、自室でなら好きなように話して良いからな。」

「「はい、シグリップ陛下。」」

 2人はスンとした顔でお辞儀をする、そして頭をあげると2人はニコッと微笑む。


「ラティス王妃殿下。」

「・・・ティーって呼ぶって言ったでしょ?」

「自室でと言われましたよね?」

「・・・はい。」

 ショボンとするラティス、シグリップとリプテル、オルティナは笑みをこぼす。


「さぁ行った行った。」

「失礼致します。」

 オルティナはそう言うとリプテルはラティスを連れ部屋を出る。


「さて、俺も今日は寝る暇ねぇなぁ~。」

 シグリップはそう呟くと直ぐに職務室を出て兵士へ指示を行った。



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「・・・はい!上がり!」

「チハルはえぇぇ!」

「たけのこ頂きぃ~♪」

「私はキノコ残ってたらオッケーだしー♪はい私もあがりー♪」

「ヨリー!マジかー!」

「ほれ、平民と貧民争いしなされ。」

「ミオ・・・すまん。」

 麗奈はそう言うとキングを2枚出す。


「な!?」

「すまぬのぅ・・・ほれ上がりじゃぁ。」

 4を一枚放り投げると美桜はバタリと倒れる。


「くそぉ、勝てねぇ~。」

「そっち決まったー?」

「チハルとヨリー。」

「ミオとレナは最下位決定戦するよー。」

 青空と大愛が2人を呼ぶ。


『チハルー♪』

「いらっしゃいアイトネ。」

『予定通りよー♪』

「はーい、ティーちゃんOK貰えたんだね。」

『モートが先回りして話してくれてたわ。』

「流石ですにゃ!」

「モートさんにもお礼しないとね。」

『もうお礼貰ってたわよ?』

「え?」

『今ユラとレンがモートとお菓子食べてるわ。』

「それはそれなんだけどなぁ。」

『良いのよ?私にしてくれても♪』

「はいはい、これ食べる?」

 食べかけのたけのこな里を出すとアイトネは1つ取り口に入れる。


『♪』

「さ!こっちは決勝戦!」

「おっけー!1位はこのチョコなパイ1箱だぁ!」

 JK達はそう言うと、トランプ大会を再開した。










~~~~~~~~~~~~~~~~~

2年前の今日、初めて小説を書き始め、投稿しました

2年間毎日書き続く事が出来たのは、読者様のおかげです

各サイト(小説家になろう、カクヨム、アルファポリス)で

コメントを毎日送って下さる読者様本当に有難う御座います


気付けば物語も748話、文字数も230万字、

そしてPVは3サイト合計で700万PV超えとなりました

まだ続く物語、これからもよろしくお願い致します。


2024年11月26日 

ちっき


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