プロステル王国に出発~の前に物資補充!
「俺は一度戻るか。」
エンハルトはしばらく考えた後、口を開く。
「帰るの?」
「あぁ、色々報告や準備が有るからな。」
「そっかぁ~。」
「チハル、急いでないのなら一度戻るか?」
「ん~・・・それも有りかな。」
千春は顎に人差し指をツンと当て考える。
「ヨリー、一回帰る~?」
「そうだね~、ハルトさんが帰るなら一度ここにフェアリーリング作るのも有りじゃね?」
頼子がそう答えるとビェリーが子供姿で手を上げる。
「チハル!チハル!」
「どうしたん?ビェリー。」
「酒補充したいばい!」
「え?結構渡してたよね?」
「・・・なくなったばい?」
「嘘でしょ?結構あったよ?」
千春はふっと目を逸らすコンと壁を見つめるルプを見る。
「・・・あんたらどんだけ飲んでんのよ。」
「そう言う事もある。」
ポツリと呟くルプ。
「盛り上がっちゃったんですよぉ・・・。」
コンは申し訳なさそうに呟く。
「そういうことやけん・・・ね?」
子供姿で可愛くおねだりするビェリー。
「しゃーない、今日は帰って物資補充と言う事で!」
「りょうか~い。」
「買い出し行くならウチいくよーん。」
「あ!ミオ、私も行くわ。」
「うちもー!」
「千春は用事が色々ありそうだね。」
千春を見ながら頼子がポツリと呟く。
「え?無いよ?」
「なんでよ、エイダン国王に報告しないの?」
「ハルトがするっしょ?」
千春はエンハルトを見る。
「もちろんするが、他国の王国に行くなら王族として準備もあるからな。」
「・・・帰るのやめよっかな。」
千春が呟くとルプがジト目で千春を見る。
「・・・酒の補充。」
「はいはい!かえりますよ!もー!」
「それでは領主様に伝えてきますね!」
「モリー!フェアリーリング作れる場所も聞いておいて!」
「了解しましたっ!!!」
モリアンは扉を開き消えた。
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「ただいまー。」
「おかえり千春、エイダンさんとメグさんには軽く話しをしてるわよ。」
「ありがとーおかぁさん、何か言ってた?」
「メグさんは楽しそうに聞いてたわ、エイダンさんは・・・。」
「お父様なんて?」
「お腹押さえてたわ。」
「・・・もうしわけにゃい。」
「チハル、父上の所に行こうか。」
「ちょっと待ってー。」
千春はスマホで酒の注文をポチポチと押していく。
「ルプ、どれくらい必要?」
「いくらでも良いぞ?」
「ったく、この呑み助共が。」
いつもの酒を一通り注文すると頼子達に声を掛ける。
「ヨリ、お菓子も買うっしょ?」
「もち!」
「うすしおとたけのこヨロ~♪」
「ほいほーい、ビェリー行くよー。」
頼子達はビェリーとコンを連れ日本に戻る。
「移動手段はどうするんだ?」
エンハルトと千春はサフィーナを連れ国王の部屋へ向かう。
「馬車で2小月だから2週間と考えて、ロイロなら半日で到着するんだよねぇ。」
「ティスケリー様で移動しないのか?」
「プロステル王国は行った事無いらしいし、片道だけの予定だったからなぁ。」
「それじゃドラゴンで行くのか。」
「それがベターかな。」
「アイトネ様は?行く気満々だったぞ?」
「流石になぁ、旅行感無いじゃん?それに途中にも街が有るって言ってたし。」
千春は考えながら話す。
「それじゃドラゴンだな、俺はこっちでやる事が有る。」
「護衛は誰連れて行くの?」
「竜騎士はアイリス、ドラゴニュートになれるアベリアは連れていけ。」
「あとは?」
「スチュアとスタンを付ける。」
「あ、あの特殊護衛執事さん?」
「あぁ。」
「それだけ?」
「充分だろ、ドラゴンが何頭居ると思ってるんだ?」
「え~っと、レフトとライトでしょー、アベリアが来るとして、ヒスイとフローラがメイドしてて、ミカとゼルとロイロ・・・8人!」
「仮にプロステル王国が軍を全軍出しても勝てないぞ。」
「・・・だね。」
「それに言ってただろ、アイトネ様が暇だからいつも見てるってな。」
「いってたねぇ~。」
移動手段を転移以外と言われ、ショボンとしたアイトネを思い出しながら千春は笑う。
「それにもう一人見ている護衛が居るだろ。」
「これ?」
千春はポニーテールの中からピョコっと顔を出す蝙蝠に指差す。
「今も見てるだろ?アルデア。」
「キキッ!」
蝙蝠は当たり前だと言わんばかりに小さく鳴いた、そして国王の執務室に到着すると兵士は礼をし扉を開ける。
「お父様戻りました~♪」
「おかえりチハル、楽しかったか?」
「はい!また行きますけど♪」
「らしいのぅ~、次はプロステル王国か。」
「はい!」
「どうやって行くんじゃ?またティスケリーか?」
「いえ、今回はドラゴン便で行きます。」
「儂はプロステルまで行った事は無い、何が有るか分からぬが・・・まぁ心配するのも無駄じゃがなぁ。」
ハハハと空笑いしながら話すエイダン。
「これを持って行け。」
「書簡です?」
「王との謁見が有れば見せれば良い。」
「え?王様と会う予定無いですよ?」
「・・・予定外の事ばかりするじゃろうが。」
「・・・えへっ♪」
「無いよりあった方が良いじゃろ。」
「王国に入る時はどうするんです?」
「・・・ドラゴンで飛んで来る者を・・・どう出来るんじゃ。」
「いやいや、流石にプロステル王国に直接ドラゴンで降りませんよ!?」
「そうなのか?」
「はい・・・なんでそう思ったんですか?」
「そっちの方が問題無いからじゃ。」
「問題アリアリだと思いますけど。」
「仮にじゃ、ジブラロールへドラゴンに乗った聖女が来たとしよう。」
「はい。」
「王国は何が出来る?」
「・・・降りて来るの待つ・・・くらいですねぇ。」
「街を守る壁も城門も意味無いからのぅ。」
呆れた様に話すエイダン。
「あまり羽目を外すでないぞ?」
「いつも外してませ~ん!」
「外さずコレだと外したらどうなるんじゃろうなぁ・・・。」
遠くを見る様に呟くエイダン、エンハルトは必死で笑いを堪える。
「サフィーナ。」
「はい。」
「頼んだ。」
「・・・最善を尽くします。」
「うむ・・・。」
千春はエイダンとサフィーナのやり取りを交互に見ながら頬を膨らます。
「大丈夫ですってぇ~。」
千春は不満げに呟くが、その場にいるエイダン、サフィーナ、そしてエンハルトまでがジト目で千春を見る。
「・・・多分(ボソッ)」
「直ぐに行くのか?」
「今日は物資補充してのんびりします、明日ルジイタに移動してから出発しまーす!」
「気を付けて・・・いや、無茶・・・いや・・・う~ん・・・楽しんで来るんじゃぞ。」
「はーい♪」
エイダンに元気に答えると千春はサフィーナと執務室を出て行った。
「さて、エンハルト、話を聞こうか。」
「どれから話しましょうか?」
「・・・胃に負担が無いヤツから頼む。」
「それでは・・・。」
エンハルトは交易や千春が他国に孤児院を作る事等を細かくエイダンに説明した。
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「ただいまかえりました~。」
「おかえりなさいチハル。」
マルグリットの部屋に入ると千春はボリュームを下げた声で声を掛ける。
「チェラシ~ただいま~♪」
マルグリットの腕に抱かれたチェラシーに声を掛けると千春をジーっと見るチェラシー。
「みえてる~?おねぇちゃんだよ~?」
「旅行楽しそうね。」
「はい、珍しい物とか食べ物も美味しかったんですよ。」
「ほとんど塩味でしょあそこ。」
「その塩味が絶妙で良かったんですよ~。」
楽し気に話す千春に釣られてマルグリットも微笑む。
「アルデア~。」
千春は蝙蝠に声を掛けるとアルデアが影から現れる。
「なに~?」
「料理食べる?」
「あら、あっちで作ったパエリアとブイヤベース?」
「そ、あとプリンね、蝙蝠がすっごい匂い嗅いでたから。」
「良い匂いだったわねぇ。」
「すごいね、匂いも分かるの?」
「えぇ♪」
千春はアイテムボックスから出来立てのパエリアとブイヤベースを取り出す。
「お母様お昼まだですよね?」
「えぇ。」
「食べます?」
「もちろん♪エリーナ。」
「はい、ルノアー様にお伝えしてまいります。」
「あ!エリーナさんこれ!」
千春はレシピを取り出す。
「これルノアーさんに渡してくれますか?」
「はい、お渡し致します。」
エリーナはレシピを受け取り部屋を出て行く、入れ違いにユラが急いで入って来た。
「おかあさま!イイかおりがします!」
「ユラおかえりー。」
「ちはるおねぇちゃん!おかえりなさい!」
突撃するユラをガッチリと受け止める千春。
「相変わらず鼻良いなぁユラは。」
「もう帰って来たの?」
「うん、明日また行くけどね。」
「えー。」
「・・・ユラも行く?」
「いいの?」
「良いんじゃない?」
千春はマルグリットを見る。
「ん~・・・学園の方は問題無いけれど。」
「あら、それなら私がユラを見ててあげるわよ。」
アルデアはソファーに座りながらマルグリットへ答える。
「アルデアが来てくれるなら大丈夫だね。」
千春はウンウンと頷く。
「チハル、レンとイーナも良いかしら?」
「アルデアが3人見るの?」
「えぇ、イーナが中でうるさいのよ。」
分身であるイーナはアルデアの中で叫んでいるようだ。
「おっけー、出発は明日だからヨロ~、さ!食べようか♪」
千春はそう言うと皆でテーブルを囲み食事を始めた。
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