港町ルジイタを探索だぁ!
「ファーノ君!次野菜見たい!」
「はい、こちらですチハルお嬢。」
「お嬢ってやめない?」
「え?何でッスか?」
ケモ耳をピコピコと動かしながら答える獣人ファーノ。
「テノボ君、これなにー?」
「それか?ソレはエイの干物だぞ。」
「へぇ~・・・不味そう。」
頼子はファーノの連れ、人族のテノボに色々と聞きながら物色していた。
「チハル、アレじゃん?」
青空は向かっている先の露店に並べられた野菜を指差す。
「ソラお嬢、あんまり離れたらヤバいっスから。」
「そうなの?」
「可愛い女の子が1人で歩いてたら攫われるっスよ。」
「可愛い?」
「はい、可愛いっす。」
「んふうふ~♪ごめんね~彼氏いるから~♪」
「でしょうねー、こんなに可愛いなら男が黙って無いっスよ。」
デヘヘと笑う青空に軽く受け流すファーノ。
「・・・ん。」
「どうしました?チハルお嬢。」
「あの子達・・・。」
「あーあっちは行ったらダメっスよ。」
「・・・スラム的な?」
「はい。」
「そっかぁ・・・子供達の受け入れとか無いの?」
「教会っスか?」
「あ、教会あるんだ、神様は誰なの?」
「ランスルーセンって言う神様っス。」
「へー。」
「大昔にこの大陸に国を作った英雄神っス。」
「おぉ~、偉い人なんだ。」
「ま、信仰してんのは国の偉いヤツらだけっスけどね。」
「で?孤児院とかは?」
「無いっスね。」
「・・・。」
千春はチラッとエンハルトを見ると苦笑いで横に首を振る。
「ダメ?」
「ダメって事は無いが、違う国の事だからな。」
「ギリギリセーフ?」
「ん~、まぁ例のお金が有れば5~6か所は作れるだろうが、管理がなぁ。」
「そっかぁ・・・。」
子供達はボロボロの服を着て人込みを見ている。
「あの子達なにやってんだろ。」
「隙が有るヤツ狙ってるっス。」
「・・・スリ?」
「はい。」
「詳しいね、ファーノ君。」
「俺達そっち側っスから。」
「あ、そうなんだね。」
「そうっス・・・ってチハルお嬢怖くないんっスか?」
「何が?」
「俺達と普通に話ししてるっスよね。」
「うん、ファーノ君良い人だよね。」
「・・・初めて言われたっス。」
照れながら答えるファーノ。
「チハルみてみてー!星形の野菜ー!」
大愛が珍しい野菜を見つけ千春に見せる。
「わぁお、みんなさっき渡したお金全部使っちゃっていいからバンバン買って良いよ。」
「マ?」
「うん、ヨリとレナとダイア、影収納しといて。」
「「「りょ~。」」」
3手に分かれ皆は楽し気に買い物を始める。
「ロイロ~。」
「・・・ま~た厄介事考えておるじゃろ。」
「だってぇ~。」
「チハルらしいっちゃらしいがのぅ。」
「しょうがねぇだろ、千春の性分だ諦めろ。」
ロイロは溜息を吐きながら答えると、ルプは笑いながらロイロを見る。
「テノボ、ボスは何処じゃ。」
「え!?」
「ボスの所へ連れていけ。」
ロイロはテノボに言うとドラゴンに変化する。
「うぉああああ!!!ドラゴン!?」
『ほれ、背に乗れ。』
「うぉ!言葉が判るのか!?」
『儂が翻訳魔道具を身に付けておるからな。』
「ロイロ、どこ行くの?」
『ここの犯罪ギルドに挨拶してくるだけじゃ。』
「あの子達に関係する?」
『うむ、チハルは安心して買い物をしてくればいい。』
ロイロはそう言うと翼を広げ地面を蹴り飛んで行った。
「・・・大丈夫かな。」
「ロイロにその心配は要らないだろ。」
ルプは笑みを浮かべ答える。
「チハル。」
「なに?ハルト。」
「明日、ドココが来るって言ってただろ。」
「うん。」
「管理させるか?」
「!」
「決まりだな。」
「いいの?!」
「どうせまたちょくちょく来るんだろ?」
「そのつもり~♪」
「飛空艇を1便大陸に向かわせるか。」
「マ!?」
「その為の準備は必要だがな。」
「準備?」
「あぁ、空港や飛空艇の護衛やら、色々な。」
「あー護衛も居るのかー。」
「そこは心配しなくても良いぞ、ヒマそうなドラゴンが増えたからな。」
パパドラにもれなく付いて来た暇潰しドラゴン達数頭を思い出しながら千春は笑みを浮かべる。
「それじゃあの子達どうにかなりそう?」
「大丈夫だろ、その為にロイロも動いたんだ。」
「そっか、そっか~♪」
もう一度子供達を見る千春。
「チハルお嬢・・・。」
「なに?」
「ロイロの姐さん・・・ドラゴンなんっすか!?」
「え?ボコボコにされたんでしょ?」
「人間の姿でしたよ!?」
「あ、ドラゴン姿でボコボコにされたのかと思った。」
「いやいやいや!あの姿で出て来られたら逃げますって!」
「そりゃそうだwww」
ゲラゲラと笑う千春。
「チハルお嬢って何者っスか?」
「私?普通の女子高生だよ♪」
「ジョシコウセイ?」
「ジェーケーだよジェーケー!」
「チハル、分かるわけ無いだろ。」
思わず突っ込むエンハルト。
「ハルトの兄さん、教えてくださいっス!」
「あ~・・・何処まで教えて良いんだ?」
「隠す必要なくない?」
ハルトに聞かれ千春はサフィーナを見る。
「そうですね、ロイロさんも犯罪ギルドで言うでしょうし問題無いでしょう。」
「はい!サフィーママから許可出たので教えましょう!」
千春はそう言うとファーノを見る、すると横からモリアンがドヤ顔で話始める。
「ジブラロール第一王女で~♪エンハルト殿下の許嫁で~♪聖女軍団のリーダーで~♪聖獣の主で~す♪」
「・・・は?」
ファーノは何言ってんだコイツと言う目でモリアンを見る。
「盛り過ぎだろお前。」
「お前って!失礼ですよ!私にはモリアンと言う名前があるんですぅ~!」
「は?お前はお前だろ!メイドのくせに偉そうだな。」
「メイドじゃありません!侍女ですぅ~!」
「はぁ!?お前みたいなのが侍女ぉ?こっちの姉さん達ならまだしも!」
ファーノは落ち着いて話を聞いているサフィーナとサリナ、ナッテリーを見る。
「本当ですよ?」
サフィーナが言うとファーノはピタリと止まり千春を見る。
「いぇ~い♪」
Vサインでファーノを見る千春。
「マジっスか?」
「マジっす♪」
ピスピスとVサインでニコニコの千春、ファーノは地面に両足を突き土下座する。
「すいませんっしたぁぁぁぁあ!」
「いやいや、大丈夫だって!こっちの国では普通の女の子だから!」
「いやいやいやいや!聖女とか言ってたっすよ!?」
「こっちも聖女居るの?」
「はい!居るっす!」
「え?!そうなの?!アイトネー!」
『なに~?』
「こっちも聖女居るの?」
『居ないわよ、この子が言ってるのは聖女として祭り上げてる子が居るって事よ。』
「あ、そう言う事か。」
「・・・チハルお嬢・・・この方・・・誰?」
「コレ?アイトネだよ、この星・・・この世界の女神様、一番偉い人だよ。」
「・・・。」
バタン
「あ、倒れた。」
『あらら~。』
「アイトネ、らんすなんちゃら教って知ってる?」
『この国を建国した者の教会ね。』
「神様なの?」
『違うわよ?』
「英雄だったんでしょ?」
『・・・アレが?』
「知ってるの?」
『一応知ってるわ、国を作って好き放題やって女性達に刺されて死んだわよ。』
「うわぁ・・・。」
『今の王はその血筋だけど、その子はいい子よ?』
「そりゃ良かった、交易しても大丈夫そ?」
『えぇ、チハルの船に手を出したら天罰落ちる様にしましょうか?』
「・・・うん、それは有難いかも。」
『おっけー♪』
「いいの?そう言う事して。」
『条件付ければオッケー♪』
「条件?」
『船首に私の船首像付けてくれたら良いわ♪』
「飛行艇全部に付けよう、ね、ハルト。」
「そうだな。」
千春とアイトネの話を聞いて笑い続けていたエンハルトは笑いを堪えながら答えた。
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