港町ルジイタを探索するぞ!
「走竜ちゃんだー!」
「かわいー!」
「そう言えばフリエンツも走竜だったよね。」
「あ~、あのヴェロキラプトルみたいな子ね。」
「こっちの走竜はちょっと細いね。」
「うん、スマートだねー。」
JK達は走竜の周りに集まり走竜をなでぐりまわす。
「お前達怖くないのか?」
エンハルトはJK達の横に来ると声を掛ける。
「噛まれても大丈夫だからね~♪」
千春は小さなペンダントを見せる。
「あぁ、護符か。」
「うん、ドラゴンの一撃くらいなら防げるらしいよ。」
「ドラゴンの一撃・・・くらいって、それ以上の物を探す方が難しいだろ。」
千春はいつものお礼が溜まっているとアイトネから貰ったネックレスを見せる。
「衝撃は防げても捕まったり攫われたら大変だからな、あまり離れるなよ?」
「大丈夫だよ~、私達聖女だよ?」
「呼べば来るか。」
「うぃ!」
千春とエンハルトの言葉に皆は親指を立てサムズアップする。
「走竜ちゃんよろしくね!」
頼子がポンポンと体を叩くと走竜は頼子の方を見ながら微笑む様に顔を摺り寄せる。
「やっべぇ・・・可愛い。」
「この子良いなぁ、ジブラロールには居ないの?こういう走竜。」
「居ないな、少なくともジブラロール王国領では見ない、フリエンツに居る走竜も水棲の竜だからな。」
「へぇ~。」
話をしながら走竜車に皆は乗り込む。
「結構狭いね。」
「どうする?」
「チハル様、私達は飛んで行きますので。」
サフィーナとサリナが乗り込むと後ろからヒスイ、フローラが答える。
「私とホーキンもレフトとライトに乗っていきましょう。」
エーデルとホーキンは横に立つレフトとライトと共にお辞儀をする。
「わっちらも大丈夫ばーい。」
「ぼくもでーす!」
「うきぃー!」
「・・・お前ら俺に乗るつもりだろ。」
ルプはジト目でビェリー達を見る、溜息を吐くルプはフェンリルの姿になるとビェリー達が背に飛び乗る。
「ワークスさん達はー・・・あ、飛んで行くのね。」
モリアン、ナッテリーは杖に跨り、ワークスは仕込み刀を手にしていた。
「それじゃ準備オッケー!」
千春が言うとエーデルは走竜の御者に声を掛ける、そして走竜車はゆっくりと動き始めた。
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「ルプ~。」
「なんだ~。」
走竜車の横を軽い足取りで付いて来るルプに千春が声を掛ける。
「ロイロは?」
「先に港町に向かってるぞ。」
「なんで?」
「様子を見て来るって飛んで行ったぞ。」
「へぇ~・・・何の?」
「知らねぇなぁ。」
「先に行ってるならいっか~♪」
ガタガタと揺れる走竜車に乗り千春は舌を噛まない様に気を付けながら話す。
「・・・いてっ!」
「腰に来るねコレ。」
「パパ達が作った馬車の良さが良く分かるわ。」
「さすぺんしょんだっけ?」
「それそれー。」
「せめてもうちょっとクッション厚くしてもらいたい!」
文句を言うJK達にサフィーナは苦笑いする。
「これでも普通の馬車に比べればいい方ですよ。」
「そうなの?」
「えぇ、上級貴族の乗り物としてはかなり良い方です。」
「へぇ~~~うぐっ!」
相槌を打つタイミングでガタンと揺れる走竜車、そして暫く走ると窓の外が騒がしくなる。
「着いた?」
美桜が窓からピョコっと顔を出す。
「おー!人いっぱいだー!」
麗奈は大きな通りを見ながら声を上げる。
「すごーい、何か祭り?」
「凄いね、あ!セイレーン族居る!」
「あそこ!多分ドワーフさん!」
「獣人もいっぱいいるー!」
青空達4人も窓から身を乗り出しながら話す。
「お前達落ちるなよ?」
エンハルトは騒ぐJK達に声を掛けると走竜車が止まる、そのタイミングで人の叫び声や騒めきが広がる。
「到着したな。」
エンハルトがそう言うと御者の横に座っていた執事が扉を開ける。
「ど・・・どうぞ。」
執事は後ろを気にしながら声を掛ける、そう、後ろには成獣ドラゴンが4頭降りて来る所だった。
「・・・やっぱり目立つな。」
着地したドラゴンの背からエーデルとホーキンが降りて来る、そして走竜車の前で立ち止まる。
「目だった方が良いと言ったのはエンハルト殿下で御座います。」
「まぁそうなんだが、エーデルここではハルトで構わねぇよ、ホーキンもな。」
「はっ。」
「・・・。」
エーデルはまたかと言う顔で、ホーキンは困り顔で頷く。
「ハルトさーん、ホーキンさんは無理だよー。」
麗奈はホーキンさんの横に行くとエンハルトにもの言いを付ける。
「エーデルさーん、一緒にいきましょー!」
美桜はピョンと走竜車から降りるとエーデルの腕を掴む。
「あんたらイチャイチャすんなー!」
「そうだそうだー!うちらは連れて来てないんだからなー!」
「帰ってからやれー!」
青空達はギャイギャイと文句を言うが、2人はドヤ顔で微笑む。
「ミオー、レナー、今日は2人護衛だからねー、デートは帰ってから〜。」
「わかってるよぉ。」
「はいはーい。」
頼子は2人に言うと美桜、麗奈は皆の所へ戻る。
「それじゃ・・・何見る?」
「適当に歩いてたらいんじゃない?」
「執事さーん。」
「はいっ!」
「お金くずしたいんで、オオダナ?でっかい商会に案内してもらって良いですか?」
「はい!チハル王女殿下!」
執事はビシッと姿勢を正し返事を返す、そして数件先の立派な屋敷に千春達を連れて行った。
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「少々お待ちください。」
執事はそう言うと足早に屋敷へ入る。
「大勢で行くのもアレだよねぇ。」
千春は閉じた扉を見ながら呟く。
「俺だけでも良いだろう。」
「えぇ~?ハルトだけ~?」
「金貨をくずすだけだろう?」
「そうだけど、ちょっと見たい。」
「エーデル、ホーキン、外は頼む、サフィー、ワークスはついて来てくれ。」
「はい。」
「はっ。」
エンハルトが指示をしていると執事が出て来る。
「お待たせいたしました!此方へどうぞ!」
執事に促され中に入ると貴族らしき客数名と従業員が千春達を見つめる。
「どうぞこちらへ。」
身綺麗な紳士がニッコリと微笑み奥の部屋へ案内する。
「ココって何屋さんなんですか?」
千春はキョロキョロと周りを見ながら話す、店と言うが品物らしき物は見当たらず、商談用のテーブルが沢山並んでいるだけだった。
「主に交易品を取り扱っております。」
「おぉー!ジブラロールとかも有りますか!?」
「いえ、ジブラロール王国とのお取引は御座いませんが、ヴァンディ大陸に行く事は御座います。」
「へぇ~、それって湖のあるドラゴンの所とかです?」
千春が問いかけると微笑んだまま表情を変えない紳士は頷く。
「よくご存じで。」
紳士はそう答えると扉を開ける。
「こちらでお待ちください。」
「有難うございまーす♪」
紳士に促され千春は軽く答え、エンハルトと一緒に部屋に入る、紳士は扉を閉め出て行った。
「・・・。」
千春は部屋に入ると部屋を見回す。
「どうした?」
「もっと豪華な部屋かと思ったら、思った以上に普通の部屋だったでござる〜♪」
「普通だろう?」
「だって大きな商会なんでしょ?」
「らしいな。」
「もっとほら、煌びやかな装飾品とか家具とか、ザ!成金!みたいなの想像してたよ。」
「・・・そう言うのは別の部屋だ、俺達は領主の執事が案内した只の客だからな。」
「あ!そっか、王族とか知らないんだっけ。」
「この部屋に案内したのなら知らないだろうな。」
少し固めなソファーに座る千春とエンハルト、すると扉が開き男が入って来た。
「フィンコ卿の執事が来たから領主が来たと思ったが、お前達は?」
「フィンコ卿に縁があってな、少し世話になっている者だ。」
エンハルトは笑みを浮かべ言葉を返す。
「・・・ふむ、それで?」
「ちょいと遠くから来たからな、少し金貨をくずしてもらいたい。」
「それは構わないが、1つ聞いても良いかな?」
男はそう言うと千春を見る。
「お嬢さん。」
「はい?」
「ウチの者に話した事、何故知っている?」
「・・・話?」
ハテ?と首を傾げる千春に男は眉をピクリと動かしもう一度話す。
「湖のドラゴンの話だ。」
「あ~、パパドラさんの所か~。」
「パパドラ?」
「はい、あの黄金のドラゴンですよね?」
「・・・何故それを知っている?」
「え?」
千春は圧を感じエンハルトを見る、エンハルトは微笑んだまま千春に頷く。
「えっとぉ~、お友達だから♪」
「な!?」
「えっと~♪」
千春はアイテムボックスを小さなカバンの中で広げると、カバンから取り出す様に黄金の鱗を取り出す。
「はい!パパドラのうろこ~♪」
「!??!?!?!?!??!?」
男は顎が外れたのかと言う程口を開き鱗を見る。
「ど!何処でそれを!?」
「え?パパドラさんの寝床に落ちてたやつ貰ったんですけど。」
「ほ!本物なのか!?」
「はい、で、コレは置いといてー、金貨の両替をお願いしてもらいたいんですけどぉ~・・・。」
「いくらでもしてやる!その鱗を売ってくれ!」
「えぇ~?」
「金貨1000枚・・・いや!2000枚出そう!」
「パパドラの鱗って金貨2000枚くらいなの?」
千春はエンハルトを見る。
「ママドラの鱗は1000枚で落札してただろ?」
「いや、アレはフランちゃんのパパがいきなり競り落としたじゃん。」
「そう言えばそうだったなぁ~。」
「・・・ママドラとは?」
「あ、パパドラの奥さんの鱗ですよ。」
千春はまたカバンに手を突っ込むとママドラの綺麗な蒼色の鱗を取り出す。
「!???!??!?!??」
男はソファーにドスンと尻餅をつくように座ると動かなくなった。
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「・・・ハルト。」
「なんだ?」
「アイテムボックスにあるドラゴンの鱗全部出したら面白いかな(ボソッ)」
「やめとけ、心臓止まって逝っちまうぞ(ボソッ)」
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