サンゴの島で朝食を!

「おはようちはるぅ~。」

「おはよ~ヨリ。」

「みんなは?」

「ミオとダイアはまだ寝てる、レナ達は温泉行ってるよ。」

「朝温泉か。」

「入ってきたら?気持ち良いよ。」

「千春は?」

「もう入ったよ~ん。」

「早いな!」

「こっちに来てから日が昇ると起きるようになっちゃってね。」

「だから夜はうにゃうにゃ言ってんのか。」

「言って無いよ?」

「言ってます~♪」

 ゲラゲラと笑いながら頼子は浴室に向かう。


「・・・言って無いよね?」

 千春は横で寝転ぶルプを見る。


「・・・言ってるなぁ。」

「マジか。」

「チハル、おはよう。」

「ハルトおはよー、朝ごはんどうする?」

「何か作るのか?」

「卵茹でてるから玉子サンド作るつもり。」

「チハルの玉子サンドは美味しいからな。」

「誰が作っても一緒だよ。」

 クスクスと笑いながら千春は立ち上がると厨房へ向かう、長老が厨房の有る家をそのまま貸してくれたのだ。


「チハルさん玉子剥いて冷やしてまーす♪」

「さんきゅーモリー。」

「あとはマヨネーズと、コショーと、ピクルスですね。」

「ピクルスはお好みでするからスライスしといてー。」

「はーい!」

 モリアンは材料を準備するとパンを切り始める。


「モリーも慣れたねー。」

「これくらい出来ないとチハルさんの侍女は務まりませんからっ!」

「料理出来なかったクラミナやコロソ達も出来るようになったもんね。」

 玉子を潰し調味料を混ぜ合わせる千春。


「それはそうですよ、皆貴族子女ですもん。」

「今の侍女で貴族じゃ無い子って居るっけ?」

「サリナさんとラルカちゃん、あとはマクリちゃんですね。」

「私がスカウトした3人か。」

「はい。」

 のんびり話をしながら朝食を作る千春とモリアン、しばらくすると隣の部屋が喧しくなる。


「みんな起きたっポイね。」

「あとはやりますからチハルさんもあちらで騒いで大丈夫ですよ♪」

「騒がないよ・・・。」

 苦笑いしながら手を洗い千春は隣の部屋に戻ると、頼子達は見知らぬ女性達と話をしていた。


「王女殿下お邪魔しております。」

 1人の老女性が頭を下げる。


「どうも・・・はじめまして。」

「ミノースの妻マァトと申します。」

「ミノース?」

「はい、長老をしております。」

「あ、はい、お世話になってます。」

 そう言えば名前を聞いてなかったなと思いながら答える千春。


「チハルー!みてみて!」

 青空は綺麗なネックレスを千春に見せる。


「おー!それサンゴ?」

「うん!綺麗でしょ!」

 ピンク色のサンゴは綺麗に磨き上げられネックレスの中央には大きな丸い玉が付いていた。


「うわぁ、こっちも綺麗だね。」

 真っ赤な指輪に青いネックレスもあり皆は楽し気にサンゴを見ている。


「おあよぉぉぉぉぉ・・・お?」

「ふぁぁぁ、みんなはやぁぁい。」

「おはよ、ミオ、ダイア、お風呂入ってきたら?」

「朝からぁ~?」

「顔だけあらってくるぅ~。」

 ポケポケした美桜と大愛はそう言うと部屋を出て行く。


「失礼しましたぁ。」

「いえ、王女殿下お気になさらず、早朝からお伺いして申し訳ありません。」

 逆に謝られ千春は手をプルプルしながらマァトに謝る。


「これおいくらなんですか?」

「プレゼントで御座いますので、お好きなだけお持ちください。」

「えぇ~?!こんなに綺麗なのに!?」

「大陸へ持って行けばそれなりの額にはなりますが、この島では沢山取れますから。」

「えぇ~悪いなぁ。」

「そんな事は御座いません、サンゴを助けて頂きました、これくらいしか出来ず申し訳ありません。」

 またもや謝るマァト。


「これ綺麗だなぁ。」

 黒いサンゴで作られたブレスレットを手に取る頼子。


「ねぇ、コレ真珠じゃない?」

 麗奈は指輪に付いた虹色の玉を見る。


「はい、稀にですが貝から取れる石で御座います。」

「おぉー!真珠取れるんだ!」

「稀って事は貴重だねぇ~。」

「海底ダンジョンの半魚人さんが集めてくれてるじゃん。」

「あれもあんまり集まらないらしいよ?」

「そうなん?」

「やっぱり真珠は貴重品かー。」

 磨かれたサンゴと幾つかの真珠を手に取り皆はキャッキャと騒ぐ。


「食事が準備出来ましたよ。」

 サフィーナが言うと、サリナ、モリアン達が盛り付けられた玉子サンドをテーブルに並べる。


「マァトさんも食べませんか?」

「え?」

「沢山作ってるんで♪」

 千春は無理やりマァト達を座らせる、サリナが取り分けるとマァト達に玉子サンドを渡す。


「ただいまぁぁ!ちょー!ウチも食べる!」

「わ~ってるよ、座ってー。」

「あーい!」

「おいしそうー!」

「それではー!」

「「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」」

 JK達が言うと首を傾げるマァト達、それを見たモリアンがコソコソと説明をすると、マァト達もいただきますと呟き玉子サンドを口にする。


「!?」

「美味しいです奥様!」

「!!!」

 女性達は目が飛び出るかと思う程目を見開き驚く。


「これは!?」

「パンに玉子挟んだ玉子サンドですよぉ。」

 モリアンが説明をする。


「パン・・・柔らかい、コレがパン!?」

 驚くマァトに気付き、千春はアイテムボックスから紙を取り出す。


「サフィー、酵母の作り方レシピってコレだっけ?」

「はい、コレが酵母のレシピですね。」

「マァトさん、はい、コレあげます!」

「これは?」

「このやわらか~いパンの作り方です♪」

「宜しいのですか!?」

「はい、ココって商業ギルド無いですよね?」

「ありません、プロステル国でしたら有りますが。」

「ぷろすてる?」

「トーホル大陸にある大きな国で御座います。」

「へぇ~・・・今から行く所なのかな?」

 千春はソファーで優雅に・・・玉子サンドに齧り付くティスケリーを見ながら呟く。


「ん?たひかそんはくにだったは。」

 口いっぱいに入れたままモゴモゴと答えるティスケリー。


「あっちまでレシピ行ってたらご飯美味しいかな。」

 ポツリと呟く千春にサフィーナが首を振る。


「繋がりは有ると聞きますが、組織としては別物のはずよ?」

「・・・それじゃ期待出来ないか。」

「そうね、チハル、あっちで無暗に料理作ったら大変な事になるわよ?」

 サフィーナは笑みを浮かべながら答える。


「なんで?」

「・・・ルノアーさんみたいなのが量産されるわよ?」

「うっ・・・ルノアーさん1人教えたら広まる感じなら良いけど・・・それはめんどくたい。」

「でも作るじゃーん?」

 横で聞いていた頼子は果実ジュースを手に話す。


「そりゃぁ・・・食事が不味かったら作るよ!」

「チハル。」

「なに?ハルト。」

「程々にな。」

「はーい。」

 あてにならない返事を聞いたエンハルトはエーデル達と苦笑いで答えた。



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「お世話になりました!」

「「「「「「「おせわになりましたー!」」」」」」」

 JK達はティスケリーのゴンドラに乗り込むと、長老ミノースに挨拶をする。


「またお越しくださいませ。」

「はい!近いうちにまた来ます!」

「次は町の方もご案内させて頂きますので。」

「あ、そう言えば町あったんだった。」

「また来ればいいじゃん。」

「フェアリーリング作ったからいつでも来れるじゃん?」

「そだね。」

 皆は集まった村民に手を振るとティスケリーは大きく吠える。


「フォォォォォォォン!」

「はーい!大陸・・・なんだっけ。」

「トーホル大陸だったと思いますけど。」

 サフィーナは千春の横で耳打ちする。


「トーホル大陸のプロなんちゃら国へシュッパーツ!」

「「「「「「「しゅっぱーつ!」」」」」」」

 JK達は窓から手を突きだし声を上げるとティスケリーは楽し気に吠えながら空へ浮かんだ。


-------------------


「リピ島良かったねー、果物美味しいし温泉あるし。」

「ミオ、あの島の名前リピ島確定なん?」

「なんだよレナ、私の命名が気に入らないと?」

「いや・・・オヤジ臭いなぁ~って。」

「なんでよ!」

「リピートでリピ島でしょ?」

「そだよ?」

「ダジャレじゃん!」

「いいじゃん!覚えやすいじゃん!」

「チハルどう思う?!」

「・・・リピー島・・・ププッ。」

「チハル的にOKらしいからリピー島だな。」

 麗奈はクスクス笑いながら小さくなっていくリピー島を眺めた。








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