サンゴの島へ到着!

「おかえりなさいチハル。」

「ただいまー。」

「チハル成果はあったか?」

 サフィーナとエンハルトが千春に声を掛ける。


「うん、金属の沈没船と木の沈没船が3隻あったよ。」

「金属の船?」

「うん、あとこんな金貨あったよ。」

 千春は金貨をエンハルトに見せる。


「・・・初めて見るな。」

「この時代じゃないならやっぱりバレアタスなのかなぁ。」

「バレアタスだと?」

「うん、金属の船のブリッジにこんなのあったんだよ。」

 アイテムボックスから丸い玉を取り出す。


「テールカが持っていた玉に似ているな。」

「でっしょぉ~?」

「それで、船はどうしたんだ?」

「ビェリーが全部回収済み!出す?」

「いや、出しても大変だろう、戻ってからゆっくり調べたら良いんじゃないか?」

「そだね。」

 エンハルトの提案に千春は頷き玉と金貨をアイテムボックスに片付ける。


「チハルちゃんそろそろ行く?」

 ティスケリーが千春に問いかける。


「サンゴの島ってあとどれくらいです?」

「1時間も有れば着くわよ。」

「了解!それじゃ片付けて出発だー!」

「おー!」

「片付け終わってんじゃん。」

 頼子は周りを見渡しながら千春に言うと千春はニコッと頷き答える。


「さぁ!いきましょー!」

 ティスケリーはクジラになり大きなゴンドラの上に行く、皆は直ぐに乗り込むとティスケリーは空へ飛び立った。



-------------------



「フォォォォォォン♪」

「ついた!」

「どこー!?」

「あれじゃない!?」

 窓から指差す麗奈、青空と大愛が身を乗り出しながら島を見る。


「うわぁ~白い!」

「海が白ーい!」

「あれ?もっとカラフルじゃないの?サンゴって。」

「わかんないウチ見た事無いから。」

 高度を落としながらゆっくりと島へ近づくティスケリー、すると島の人間が次々と現れクジラを指差しながら集まる。


「おぉ、人集まって来た。」

「結構人いるんだね。」

「だねー。」

 砂浜にゆっくりと降りるティスケリー、そして地上に付くと千春達はゴンドラから飛び降りる。


「とうちゃーく!」

「ティスケリーさんお疲れさまー!」

「うわぁ~!南国って感じー!」

 JK達が騒いでいると、老人がゆっくりと歩いて来る。


「ようこそ、海神様と眷属様。」

 老人は深々とお辞儀をしながら話しかける。


「眷属?」

「海神様?」

「海神様って?」

「ティスケリーさんじゃない?」

 日葵は人型に変化しているティスケリーを見る。


「久しぶりね長老さん、この子達は眷属じゃ無いわよ。」

「それは失礼致しました・・・。」

「少しお邪魔するわね。」

「海神様の御要望であれば幾らでも。」

「ティスケリーさんって海神様だったの?」

「違うんだけど、何度言ってもダメなのよ。」

 呆れる様に言うティスケリー。


「海神様宜しければ海を助けて頂きたいので御座います。」

 老人は悲し気に海を見つめる。


「サンゴね。」

 呟くティスケリーに千春達が首を傾げる。


「サンゴ?」

「なにか悪い事あったのかな。」

「綺麗な海だけどねぇ。」

「あー!やっぱり!」

 声を上げる花音はスマホを見せる。


「ほら!ここのサンゴ死んでる!」

「「「「「「えー!?」」」」」」

「前にオーストラリア行ったときすっごいカラフルだったんだよ!」

「えぇ・・・オーストラリアとか行ったんだ。」

「流石医者の家・・・金もってんなぁ。」

「うちなんて国内旅行がせいぜいだよ。」

「私ハワイ行った事あるよ。」

「レナは裏切者だった。」

「なんでよ!」

「海外旅行はおいといて、なんで死んでるの?」

「えっとね・・・海水温の上昇とか台風的な事とか、あとはヒトデの大量発生って書いてるね。」

 花音はスマホを見ながら説明する、頼子達は海の方へ向かいサンゴを見る。


「なんだろねー。」

「見ただけじゃわかんないね。」

「ヒトデ居るかな?」

「見て来ようか。」

 何故か腰に手を当てながら海を見る頼子達。


「まだ魔法効いてるよね。」

「うん、今日一日効いてるって言ってたし。」

「よし!行くか!」

「見にいこー!」

 そう言うと頼子、美桜、青空、大愛は海へ飛び込む、その後ろからはゼルやミカ達が一緒に海へ飛び込んだ。


「泳ぎたいだけじゃん・・・。」

 千春は苦笑いで頼子達を見送るとティスケリーに問いかける。


「ティスケリーさん原因分かります?」

「・・・さぁ?」

「デスヨネー。」

「アイトネ様に聞いてみる?」

「そだね、アイトネー。」

『は~い♪』

「何度もごめんね。」

『良いわよ~♪今日の晩御飯楽しみにしてるから♪』

「うん、それは期待しててね、それでさ。」

 千春は海を見る、アイトネも海を見ながら答える。


『あら~マナの流れがおかしいわね。』

「え?マナ?」

『ちょっとまってね。』

 アイトネはキョロキョロと周りを見回しながらブツブツと呟く。


「なんかわかった?」

『・・・あら、あの岩だわ。』

 アイトネは沖に有る小さな島を指差す。


「あの岩がどうしたの?」

 千春が呟くとルプが横で話す。


「要石だな。」

「やねぇ~、またアレやれば良いんやない?」

「そうですね、アイトネ様も居ますからまた作ります?」

 ルプ、ビェリー、コンが話していると千春が手を打つ。


「あー!アレか!クルメールのダンジョン!」

「よく覚えてたな。」

 笑いながら答えるルプ。


「そりゃぁ覚えてるよ、そのお陰でアルデアに会えたんだし。」

 嬉し気に答える千春、そしてルプが千春に問いかける。


「ゴーレムはあるか?」

「私は無いよ、ビェリー持ってない?」

「あるばい、壊れたヤツばってんが。」

「壊れてても良いっしょ、どうせコネコネするでしょ?」

「そうだな。」

 千春達が話をしていると頼子達が帰って来る。


「ただいまー!」

「すっげー気持ちいい!」

「海真っ白だけどそれはそれで!」

「綺麗な海だったよー!」

「・・・ヨリ達原因調べに行ったんじゃないの?」

「「「「あ。」」」」

 楽しんで帰って来た頼子達は目を逸らす。


「原因分かったよ、あの小さな島の岩が壊れたらしいんだ。」

「へぇ~・・・なんで?」

「さぁ?何で壊れたんですか?」

 千春は長老を見る。


「2年程前の嵐で傾き、その後の地震で倒れ崩れました。」

「あ、地震あるんだココ。」

「はい、数十年に一度大きく揺れます。」

「被害はあれだけですか?」

「はい。」

 長老は悲しそうに答える。


「アイトネ、あの岩直したらサンゴもとに戻る?」

『戻るわよ、全滅してないから。』

「そっか、いつもの『えいっ!』で元に戻せないの?」

『それはちょっと出来ないわねぇ、対価が必要になっちゃうわ、それに2~3年で戻るわよ?』

「そうなの?!」

『マナの流れが戻れば問題無いわ。』

「んじゃいっか、さっき出し忘れたスイーツあったんだけど。」

『!?ルプ!ビェリー!コン!早く代わりの要石作りなさい!』

「お、おう、千春、余計な事言うなよ。」

「ご・・・ごめんよルプ。」

 ルプ達はアイトネに急かされながら要石を作ると岩の代わりに設置し、あっという間にマナの流れを回復させる、そして完全では無いが、生きたサンゴを活性化させアイトネはスイーツにありつけた。









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