沈没船のサルベージ!

「ただいまー。」

「おかえりチハル、何か良い物あったー?」

「うん、果物とラティと同じ鳥の巣があったよ。」

「へぇ~・・・鳥の巣?」

「うん。」

「卵とかあった?」

「殻ならあったよ。」

「殻かい!」

 美桜は砂浜で寝転びながら突っ込む。


「どう?お腹。」

「うん、海に魔法ぶち込みまくったからだいぶ良いよ。」

「あ、そういう。」

 千春が海を見ると、青空達は既に浜辺で遊んでいた。


「沈没船探検行けそう?」

「ばっちり!」

「おっけー。」

 頼子が皆を集めるとアイトネが魔法を掛ける。


『えい!』

「ありがとうアイトネ。」

『ぱっと見魔物は居ないけれど、大きな魚とか居るから。』

「危ない?」

『保護も掛けたから食べられても大丈夫よ。』

「いや、大丈夫じゃないっしょ。」

 思わず突っ込む千春。


「チハルー早く水着に着替えなよ。」

「はいはい。」

 水着を頼子から受け取ると、簡易更衣室に入り千春は着替える。


「よっしゃー、いくべ~・・・ハルト達は行かないの?」

「水着を持ってきてないからな。」

「そりゃそうか、泳ぐ予定無かったもんね。」

「それにドラゴン達とティスケリー殿が付いて行くなら護衛も要らないだろう?ましてやアイトネ様の保護まで付いてるんだからな。」

「うん、安全面は大丈夫!」

「でも気を付けて行けよ。」

「了解です!隊長!」

 敬礼しながら答える千春はロイロの背に乗る。


「みんな準備おっけー!?」

「「「「「「「おー!」」」」」」」

 皆は元気よく答えるとドラゴンは地面を蹴りレフトの案内で沈没船に向かった。



-------------------



「ココだよー!」

「黒いの有るね。」

「ゼル!つっこめー!」

「ミカ!GO~!」

「ライトちゃんいっけー!」

「ロイロよろ~ん。」

 JK達の掛け声でドラゴン達は海へ突っ込む。


「元気ねぇ~。」

 ティスケリーはクスクスと笑いながら一緒に海へ飛び込む。


「ティスケリーさんクジラじゃないのー?」

「あの姿だと細かい動きが出来ないでしょ~。」

 海の中でも普通に会話を楽しむ千春とティスケリー。


「千春、あの船木じゃないよ。」

「え?」

「ほら。」

「ほんとだー、錆びてるけど。」

「あれ錆びじゃないよ。」

「フジツボじゃね?」

「すげー金属の船こっちもあるんだ。」

 ドラゴンの背に乗り船の周りをグルグルと回るJK達。


「あ、ここ大きな穴ある。」

「これで沈んだのか~。」

「魔物に襲われたとか?」

「あのでっかいサメに襲われたら沈むんじゃね?」

 ドラゴン達は船の甲板に降りると砂が舞い上がる。


「どれくらい前の船なんだろ。」

「鉄じゃないのかな。」

「なんだろうね。」

 千春は船に鑑定を掛ける。


「・・・なんだこれ。」

「どうしたの?」

「ワンチャンミスリルかなって思ったんだけど、文字がバグって分かんない。」

「おぉー!不思議金属キター!」

「どうする?これ回収する?」

 頼子は船を見渡しながら話す。


「あ、そっか、ココで探索しなくてもサルベージして陸で調べれば楽なのか。」

「えー!せっかく魔法掛けてもらったのにー!?」

 千春の言葉に被せる様に美桜が言う。


「はいはい、探索しましょうかねー。」

 苦笑いで千春は甲板から見える扉に向かって泳ぐ、皆も一緒に泳ぎ付いて行く。


「お宝あるかな~。」

「何の船なんだろうねコレ。」

「さぁ~?戦艦じゃないみたいだし。」

「砲台とか無いね。」

「って言うかこっちの世界に砲台とかあんの?」

「しらなーい見た事無ーい。」

「魔法で打ち合いなら砲台いらなくね?」

「入ったら分かるんじゃね?」

 千春は皆の話を聞きながら扉に手を掛ける。


「んぎぃぃぃぃっぃいぃぃぃぃ!」

「手伝うー!」

「んぐぅぅぃぃっぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「足がすべるぅぅぅ!」

「レナ!そこ引っ張らないで!」

「ココしか持てないじゃん!」

「体が浮いて引っ張れないぃぃ!」

 JK達が扉に苦戦しているとロイロが人型で横に来る、そして千春が持つドアノブを持ち奥に押す。


「・・・知ってたよ。」

「押すんかい!」

「なんだったんだ今の作業。」

「チハルぅ~。」

「待って!みんなも引っ張ったよね!?」

「チハルが引くからそりゃ引くでしょ。」

 ギャイギャイと騒ぐJKを放置しロイロは中を見る。


「ふむ、魔力探知では問題ないのぅ。」

「熱感知も問題無いば~い。」

「海じゃ鼻が効かねぇ。」

「僕もダメですぅ。」

「うきぃ~。」

 ペット達はロイロの後に付き中へ入る、中には崩れた金属の破片が見え、砂に埋まっていた。


「相当昔の船じゃな。」

 ロイロは呟きながら部屋に入る、部屋はかなり広く奥には二つの扉が見えた。


「チハル。」

「なにー?」

「右と左どっちがいい?」

「んー右!」

「よし左に行くぞ。」

 ロイロはそう言うと左の扉を開く。


「・・・またかい。」

 思わず突っ込む千春はJK達とロイロの後ろを付いて行く。


「廊下じゃなぁ。」

 千春達が3人ならんで泳げるほどの廊下をゆっくり進むロイロ、ビェリーは器用に泳ぎ先を進む。


「こっちに部屋あるばーい。」

「俺が開ける。」

 狼男な姿でルプが扉を開ける、砂ぼこりが舞い扉が開く。


「何も無いな。」

「何も無いですねー。」

 犬かきでちょこちょこ泳ぎながらのぞき込むコン。


「うきっ!」

 サンジュも器用に泳ぎ部屋の片隅の砂をかき分けると幾つかの金属を手にする。


「金貨か。」

「きんか!」

 サンジュはそう答えJK達に渡す。


「おぉーお金だー。」

「見た事無いね。」

「ジブラロールじゃ見ないね。」

「ハルトなら分かるかなぁ。」

「取り敢えず金貨ゲットだぜー!」

「次ー!」

 千春はそう言うと他の扉を開けようとするが、千春の力では開かなかった。


「なんで!」

「鍵掛かってるとか?」

「押した?」

「押したし引いた!」

「千春、密封された部屋は水圧で重たいぞ。」

 ルプの言葉を聞き千春は魔法を使う。


「密着うぉーたーかったー!」

 水魔法で千春は扉に魔法を当てる。


「あれ?切れない。」

「弱い?」

「えぇ~?ルプぅ~。」

 千春に言われ次々と扉を開けるルプ、しかし部屋にはほとんど何も無かった。


「ハズレなのかな?」

「朽ちたんだろうねぇ。」

 廊下を通り、階段を降り、また部屋を開ける、そして突き当りの部屋に辿り着く。


「ココが最後?」

「上の方には行って無いけど?」

「船長が居る部屋行って無くね?」

「コックピット?」

「それ飛行機じゃん。」

「船は?」

「ブリッジじゃないっけ?」

「へー。」

 JK達が話している間にルプが扉を開ける。


「貨物室だな。」

「結構残っとるやん。」

「宝石ありますね。」

「おたからー!うきぃぃ!」

「何?お宝!?」

「やっと当たりかぁ!」

 部屋に入るJK達は砂に沈む宝石や貴金属を手に取る。


「金は残ってるっぽいね。」

「これミスリルじゃね?」

「っぽい!」

「これココで漁るのめんどいから回収するよー?」

「おっけーヨリよろしく~ん。」

「ビェリー、レナ、ダイア、影に入れよう。」

「おっけー。」

「了解ばーい。」

「ほいほーい。」

 影魔法が使える組は部屋の物を全部影に入れる。


「あとはブリッジだね。」

 来た道を進む千春達、そして一度外に出ると泳いで船の上に向かう、船から突き出る様にあるブリッジにはガラスのような物が嵌められていた。


「何処から入るんだろ。」

「そっちに扉あるよー。」

 周りを探索する青空が扉を見つけ指差す、ルプがまた扉を開けると砂が舞う。


「なにもなーい。」

「丸いのあるよー?」

「ほんとだー。」

「これどっかで見た事あるな。」

「アレじゃん?ロボ君とかが触ってたヤツ。」

「あー!飛行島にあるヤツ!」

「・・・って事はコレって。」

「バレアタスの遺産!」

「「「「「「「おぉー!」」」」」」」

「かもしれない。」

 千春はそう言うと部屋に入り玉を触る。


「魔力流したら動くかな。」

「無理じゃん?動かなくなって沈んだんでしょ?」

「そりゃそうか。」

「もしかしたら使える部品とか有るかもだし持って帰るかー。」

 頼子が言うと千春も頷く。


「だねー、それじゃ次行こうか。」

「次?」

「うん、沈没船ココだけじゃ無いし。」

「マジか。」

 船から離れるとビェリーは船を丸ごと影に入れる、そして他の沈没船へ行くが、金属の船はこの1つだけだった、他の朽ちた船を3隻回収すると千春達は地上へ戻った。







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