ドラゴンの里で羊を捕獲!
「沢山いるね。」
「多すぎ。」
「こんなに居るの?」
「チハル全部捕まえるの?」
青空、大愛、日葵、花音が丘から平原をのぞき込みながら問いかける。
「むりむりむり、アイテムボックスに入らないし。」
平原をのんびり過ごしている羊を見ながら呟く、平原には100頭以上の羊が居た。
「好きなだけ持って行けば良い。」
パパドラは一緒に丘から覗き込みながら答える。
「全部は無理だけど、入るだけ連れて行きたいね。」
「大丈夫なの?沢山持って行っても。」
千春と頼子がパパドラに問いかける。
「こいつらの群れはこれだけじゃない、向こうの方にも幾つもの群れが居るからな。」
「生態系的には問題無いと。」
「しっかし多いなぁ。」
「ココには天敵が居ないからな。」
「肉食動物居ないの?」
「居ないな。」
「魔物は?」
「居ない。」
「へぇ~。」
「ココは俺達ドラゴンのテリトリーだからな。」
「へぇ~、ドラゴンのテリトリーなのに羊は居るんだね。」
「その平原の先に行けば俺達よりも多くの敵が居る、あいつらはそれを知っているからこの平原で暮らしているんだ。」
「まだドラゴンに食べられる方が被害少ないと。」
「そう言う事だ。」
「そして私達に捕獲されると。」
パパドラの言葉に美桜が羊を見ながら呟く。
「それじゃ捕まえますか~♪」
千春はそう言うと箒を取り出す。
「チハル隊長!どういう作戦でしょうか!」
麗奈は杖に跨りながら言う。
「私とサフィーがアイテムボックス開けて待ってるからそこに落とすように皆で誘導!」
「「「「「「「了解!」」」」」」
JK達はそれぞれの杖や箒に跨り地面を蹴った。
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「ミオ!そっち行ったよー!」
「はいはーい♪」
地上スレスレを飛び回りながら羊を追い掛け回すJK達。
「千春!次いくよー!」
「おっけー!」
地面にアイテムボックスを開く千春、頼子は羊を追い回しながら誘導する、そして地面に這うように開いたアイテムボックスの中に10頭の羊が落ちて行く。
「チハルこれくらいでいいんじゃない?」
「そだね、みんなー!てっしゅー!」
千春が叫ぶとJK達は高く浮き上がり羊たちを解放する。
「どう?」
「サフィーと私で40頭くらいだね。」
「少なくない?」
「飼ってたら増えるっしょ、ユラとフィンレーが公国に行く頃には沢山増えてるんじゃない?」
「最初から沢山連れて行っても大変でしょう、少しずつ増やしながら育てた方がいいですよ。」
千春の言葉にサフィーナも答えながら頷く。
「それじゃミッションコンプリートと言う事でいいのかな。」
麗奈は杖を片付けながら問いかける。
「うん、それじゃ用事も終わってるし帰りますか。」
千春はそう言うと来た時と同じ様にドラゴンの背に乗ると里に帰った。
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「ただいまー。」
「おかえりなさい!チハルさん!」
「なにしてんの?」
「トランプです!」
お留守番をしていたモリアンはドラゴニュートと一緒にトランプで遊んでいた。
「で?それ何?」
テーブルの上には貴金属や古いコインが置かれていた。
「えっと・・・ちょっと賭けを。」
「・・・モリーちゃん?」
「はい!お返しします!」
ジト目で見る千春にモリアンがコインや貴金属を押し返す。
「別に構いませんが。」
男性のドラゴニュートが首を傾げる。
「これ高そうですけど。」
「私達にはあまり価値がある物では無いので。」
「そうなの?」
「はい、人間が落としていった物を持っていただけなので。」
「へぇ~・・・。」
千春はクルリと首を回しパパドラを見る。
「パパドラさん!」
「なんだ?」
「宝物庫とか有ります!?」
「あるぞ?」
「見れます!?」
「あぁ、なんなら持って行ってもいいぞ?」
「え”?」
「ジブラロールで世話になるだろうからな。」
「あ~、それは別に心配しなくても大丈夫です、お金なら沢山あるので。」
「ほぉ、良い所の娘だったか。」
パパドラが言うとママドラが突っ込む。
「あ、言って無かったわ。」
ママドラの言葉にマリーナとティスケリーも突っ込む。
「この子こう見えてもジブラロール王女殿下よ。」
「こう見えても聖女なのよ?」
「・・・マリーナさん、ティスケリーさん、こう見えてもって。」
苦笑いで千春も突っ込む。
「王女だったのか、それならそうと言ってくれ。」
「いや、ドラゴンに王女だからって何も変わらなくないです?」
「・・・。」
「ママドラさんも変わらなかったですよね。」
「そんな事は・・・ない・・・わよ?」
「ま、それは置いといて、ジブラロールの生活は問題ないですよ、家も仕事も有りますし・・・お父様は倒れるかもですが(ボソッ)」
「それでは案内するか。」
話を変えるようにパパドラが歩き始める、千春達はその後ろを楽し気に付いて行く、しばらく歩くと崖になった所へ辿り着く。
「ココに色々ある。」
「お邪魔しまーす!」
「明るいね。」
「魔法かな?」
「あ、あれだ、魔石っぽいね。」
「宝石に魔法付与してるみたいだね。」
「お、流石魔石技師レナ様!」
「やめてよミオ。」
JK達はキャッキャと楽し気に洞穴へ足を踏み入れる、しばらく歩くと扉が現れる。
「ここだ。」
扉を開くと中には光り輝く宝石や金貨、財宝が無造作に置かれていた。
「おぉぉぉ!お宝だぁ!」
「すっごーい!」
「なんでドラゴンってお宝集めるんだろう。」
「チッチッチ、ソラどん、それはお約束ってやつなんだよ。」
「えぇ~?」
「パパドラさん、これどうしたんですか?」
騒ぐJK達を置いといて、千春がパパドラに問いかける。
「貢物がほとんどだな。」
「貢物?」
「あぁ、数千年前には神の様に崇められていた事もある。」
「おぉ~。」
「そりゃぁ黄金のドラゴンだもん、昔の人はそう思うかもだよ。」
千春と頼子が感心しているとパパドラは続けて話す。
「人の手に負えない事が有ればこういう物を貢ぎ願いを言って来る。」
「助けたんです?」
「気分次第だな。」
「あ、助ける事もあったんですね。」
「あの頃は俺を討伐しようと来る者は居なかったからな。」
「最近なんです?」
「あぁ、ここ数百年くらい隣の大陸から来た者達が沢山来たな。」
「隣の大陸?」
「ここをさらに西に行くと大きな港町が有る、その先にある大陸だな。」
「ココを西?」
千春はそう言うとサフィーナを見る。
「この里は既にジブラロールの領から外れています、さらに西となると交易も無い国になりますね。」
「へぇ~、その港ってどれくらい西なんですか?」
「俺が1時間ほど飛んだ所だ。」
「・・・え~っと、ロイロが1時間飛んだらどれくらい行けるんだっけな。」
千春はスマホを取り出しメモを見る。
「ロイロが1人だと時速400㎞くらいだったよね。」
「うむ、先程飛んでいた速度を考えると儂より早いぞ。」
「マジで?んじゃ400㎞以上先かー。」
「遠いなー。」
「ねぇ千春、王都からハース領まで何キロだっけ?」
「多分だけど800㎞くらい。」
「ここは?」
「アイトネー、どんくらーい?」
『ここ?王都から2400㎞くらいよ~♪』
「西の港町はー?」
『え~っと、600㎞くらいね。』
空を見上げながら答えるアイトネ。
「アイトネ何見て答えてるの?」
『空から見てるわよ?』
「便利だな女神様。」
『行ってみる?』
「・・・いや、今は良いや、ジブラロールの領でさえまだ行って無い所あるし。」
『えぇ~?新しい食材有るかもしれないわよ?』
「・・・それは見てみたいけどぉ~、今は良いかな、やる事いっぱいだし。」
『あら残念、行きたくなったら言ってね♪』
「そんときは頼みまーす♪」
千春とアイトネが話していると美桜がジャラジャラと宝石を手に近付く。
「見てチハル!」
「すごいねぇ。」
「欲しいなら持って行っていいぞ。」
「えぇ~?チハル貰って良いの?」
「パパドラさんが良いって言ってるし、いんじゃない?」
「それじゃコレ貰って行こ♪」
「ミオそれ付けるの?」
親指程の真っ赤な宝石が付いたネックレスを1つ手に取る。
「まさか、お母様にプレゼントするの♪」
「リュトリュイーズ様?」
「そっ♪」
嬉し気にそう答える美桜。
「アイトネ、一応確認だけど、危ない品無いよね?」
『そうね、アレとアレ、あとはあそこらへんはちょっと触らない方が良いわね。』
「皆ストーーーーーーップ!!!!」
千春は大声で皆に声を掛け宝あさりを止めた。
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