料理教室実食!
「どうかしら?ケンタさん。」
「美味しいです!」
南は石田の前に座り食べている所を見ながら微笑む。
「よかった♪」
「これは藤井のお婆さんのレシピですか?」
「そう、他にも色々教えてもらったから楽しみにしててね。」
「うわぁそれは楽しみだ。」
美味しそうにハンバーグを口にする石田、南はそれを嬉しそうに眺めた。
「南せんせー嬉しそう。」
「そりゃ自分が作った料理美味しいって言ってもらったら嬉しいに決まってるじゃん。」
「だよねー、ウチも言われたら超!嬉しいもん。」
千春の言葉に麗奈と美桜が答える。
「作った方も嬉しい、食べる方も嬉しい、最強じゃん。」
「でも作る方は大変じゃん?」
青空と大愛が横から話しかけると千春が答える。
「大変って事は無いかな、慣れかなぁ。」
「千春は作る時も楽しそうだもんね。」
「趣味だからね。」
「趣味かぁ、皆を幸せにする最強の趣味だね。」
「大げさだなぁ。」
頼子に言われ笑いながら千春は答える。
「幸せかぁ、こっちに来て幸せな事多くて麻痺しちゃいそう。」
ポツリと呟く日葵、皆は日葵を見ながら考え始める。
「最初は驚きの方が大きくて、魔法とか空飛んだりとか冒険したり楽しいが来て、今は大事な人が出来て幸せ感じてるよ。」
花音は日葵を見ながら呟く。
「うん、私も一緒だね。」
「ほんとソレだね。」
「千春のおかげだね~。」
麗奈と美桜が言うと頼子が千春にお礼を言う。
「私がこっちに来れるようになったのは、あのおっさんのおかげだし。」
「あー、ジブラロールを不幸にしようとしたおっさんね。」
「線香あげてた人?」
「そ、その人、名前忘れたけど。」
千春はぽけーっと考えながら答えると周りを見回す。
「みんな楽しそう。」
王族が一つのテーブルを囲み楽し気に食事をしている、その横では男神やペット達、源治も交じり酒盛りをしている、皆笑顔だ。
「千春ちゃん。」
「天照大御神様、料理どうですか?」
「美味しいわ、あなた達の年でこれだけ作れるなんてすごいわね。」
「おばぁちゃんのレシピが美味しいんですよ。」
「それも否定しないけれど、あなた達の料理に対する気持ちがこもって美味しいわ。」
「気持ちですか?」
「えぇ、愛情たっぷりのね♪」
天照大御神の言葉に頼子が問いかける。
「愛情って、味有ります?」
「有るわよ、受け取り側がそれを感じるかどうかは別としてね。」
「受け取り側?」
「えぇ。」
天照大御神は石田と南を見る。
「私達に供える食べ物にも願いがこもるわ、その思いを私達は感じる事が出来るもの。」
「信仰心的な感じですか?」
頼子は天照大御神に問いかける。
「そうよ、それと同じ様に愛情も料理に入っていくわ。」
「そうなんですねぇ~。」
天照大御神の言葉に思う事があるのか頼子が呟く。
「幸せって何だと思う?」
不意に問いかける天照大御神。
「幸せ?結婚とか?」
「お金持ちになるとかじゃん?」
「就職して出世するとか。」
美桜、青空、大愛が答える。
「それは客観的に感じる共通認識の幸せでしょう?」
「へ?どういう意味ですか?」
「皆がこうなると幸せを感じるだろうと思う幸せと、本人が本当に幸せと思う事は違うって事よ。」
「・・・難しいでっす!」
天照大御神の言葉に美桜が頭を抱えながら叫ぶ。
「大雑把に言えば・・・あなた達は幸せを見つける事が上手って事よ♪」
そう言うとニコッと微笑み天照大御神は自分の席に戻った。
「ん~?」
大愛は腕を組みながら首を傾げながら唸る。
「千春意味わかる?」
「ん、なんとなくね。」
「おぉ、説明ぷりーず!」
「えっとぉ、私は皆と一緒にこの世界で遊べて良かったなって事かな。」
「幸せ?」
「超!幸せ。」
「どれくらい?」
「あれくらい。」
千春は食事をする皆を指差す。
「・・・あ~、うん、幸せそうだぁ。」
日葵は千春の指先を見ながら微笑む。
「チハルおねーちゃん!」
「ユラ、ご飯は?」
「いーーーーーーっぱいたべた!」
「そっか、美味しかった?」
「んふー!すっっっっっごく美味しかった!」
「よかったねぇ~♪」
「うん!」
満面の笑みで答えるユラは千春に抱き着きながら答える。
「あー、なんとなくわかったわ。」
頼子はユラを見ながら呟く。
「ヨリわかっちゃったんだ。」
「そりゃユラちゃんみたらわかるっしょ。」
皆はユラを見る、ユラは急に皆に見られキョトンとするが、直ぐにニパッと微笑む。
「ごめん、私今幸せだわ。」
ユラの笑顔を見て思わず呟く青空。
「ウチもだわぁ~。」
「これを幸せと言わずなんというのか。」
皆はユラの笑顔につられ微笑む。
「チハル様。」
横に立つワークスが声を掛けて来る。
「ワークスさん、どうしました?」
「お客様がお見えになっておりますが、如何なさいましょう。」
「誰だろ。」
千春は立ち上がるとワークスと一緒に部屋を出る、そこにはオーレン公爵令嬢、フランシスが立っていた。
「フランちゃん!どうしたの?」
「チハル王女殿下ご機嫌麗しく。」
「あ、そう言うの良いから。」
バッサリと貴族挨拶をぶった切り千春が問いかける。
「で?」
「その・・・チハルさんが料理教室を開いているとお聞きいたしまして。」
「あ~、うん、今それの実食してるよ。」
千春はそう言うと扉を開け、中を見せる。
「・・・し、失礼致しました!」
フランシスは王族や見知った神の宴を目にし謝罪する。
「いいのいいの、料理食べて行く?」
「いえ!それは御遠慮させて頂きたく!」
「えぇ~美味しいのにぃ~。」
「その、後日で構いませんので料理教室を私達にもして頂けないかと。」
「いいよ?」
「良いんですの?!」
「うん、でも実食の時またこうなるかもよ?」
「う”っ・・・それは・・・はい・・・。」
指差す千春の先を見てフランシスは言葉を詰まらせる。
「南せんせーもまだ作りたいだろうし、次は呼ぶね♪」
「はい!」
嬉しそうに返事をするフランシス、しかし何故か千春に腕を掴まれていた。
「へ?」
「それじゃ一緒にご飯しようか。」
「え?」
手を引く千春、一瞬戸惑い抵抗しようかと思ったフランシス、しかし仲が良いとは言え王女殿下の誘いを無下に断る事が出来ず引きずられる様に拉致され椅子に座らせられる。
「モリー!1人分追加ー!」
「了解でーす!ちょうど今ルノアーさんが出来たって言ってましたので取って来まーす!」
モリアンは楽し気に料理を運ぶ、この宴が終われば好きな料理をたらふく食べられると聞いているからだ。
「あ、あの!?」
「フランちゃんおひさ~。」
「ヨリ様!お、お久しぶりです。」
「フランちゃん私も作ったんだよーこれ食べてみてよ。」
美桜は自分が作った肉じゃがを大皿から小皿に移しフランシスの前に置く。
「お・・・美味しそうです。」
「箸使える?」
「はい、大丈夫です。」
「ミオ、今ジブラロールで箸使えない人居ないらしいよ。」
「マ?」
「マ。」
「箸使えない人は国外の人らしいからすぐわかるんだってさ。」
「へぇ~。」
美桜と麗奈が話をしている間に料理が運ばれてくる、フランシスは目を見開き料理を見つめる。
「いい香りです!」
「これはルノアーさん作だけどレシピは皆と一緒だから。」
「は、はい!いただきます!」
そう言うとフランシスは肉じゃがを口に入れる。
「!」
「どう?どう?」
美桜はフランシスを見ながら問いかける。
「美味しいですっ!」
「よっしゃー!」
「これは・・・卵ですか?」
「そ、私が作っただし巻き卵だよ~♪」
千春はアイテムボックスから焼き立てのだし巻き卵をフランシスに出す。
パクッ
「・・・ふぁ・・・うぅ・・・。」
「どう?」
「・・・幸せすぎて倒れちゃいそうです。」
「ふっ、また1人幸せにしてしまったぜ。」
千春はニヤリと笑みを浮かべた。
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