料理教室!③
「ヨリちゃーん。」
「お母さん来たの?」
「そりゃ来るでしょ。」
ゾロゾロとママさんズが顔を出す。
「ん~♪良い匂い。」
「ほんっと良い匂い。」
「あら、和食だけじゃないのね。」
「ハンバーグ美味しそう♪」
ママさんズは出来た料理を見て話す。
「こんばんはお邪魔してます。」
「あら南先生、お婆様の料理覚えた?」
「教えてもらった物はメモしてますので。」
「お婆様の料理美味しいですものねぇ~。」
「私達も覚えたいくらいだわ。」
ママさんズ達の話を聞いた文恵は微笑みながら答える。
「いつもは手を抜いてるからねぇ。」
「手を抜いても美味しいなら、それが一番ですよ。」
「毎日作ってると手を抜きたくなる時もあるわよねぇ~。」
「ほんっとソレ。」
「食材一杯あるわねぇ、まだ作るの?」
食材を見て美咲が千春に問いかける。
「いえ、コレで終わりですよ?」
「あら、そうなの?」
キョトンとした顔で返事を返す美咲、麗子がスマホを手に千春へ問いかける。
「レナちゃんがLIMEで教えてくれたけど料理教室なのよね?」
「はい!」
「そうだよママ。」
「そっかぁ、それじゃぁ私達も教えちゃおうかしら?」
麗子がそう言うとママさんズが腕捲りをする。
「南先生、主婦の時短料理も覚えてみる?」
「はい!是非!」
「さぁ~てそれじゃその食材でささ~っと作りましょうか♪」
ママさんズ指導で南は更に料理を始める、美桜や麗奈、青空達までが準備を手伝い始め千春と春恵、文恵は思わず微笑む。
「それじゃこっちは任せておこうかね。」
「そうね。」
「いいの?手伝わなくて。」
「大丈夫だよ、主婦はこれを1人でやってるんだから。」
文恵はそう言うと料理を手にし庭に出る、千春も一緒に料理を手にすると後ろを付いて行く。
「お供えするの?」
「するよー、天照大御神様に何か作ったらお供えしてねって言われてるからねぇ。」
文恵は姫桜神社の前に行くと、お供え用のテーブルに料理を並べる、そしてパンパンと柏手を打つ。
「あら!文恵!何か作ったの?」
天照大御神は直ぐに鳥居から現れ声を掛ける。
「私じゃなくこの子達が作ったんですよ。」
「おばぁちゃんのレシピだけどね~。」
「美味しそうね♪」
「お食べになりますか?」
「勿論頂くわ、ちょっと待ってね。」
天照大御神はそう言うと目を瞑る、すると鳥居から2柱現れた。
「呼ばれました?天照様。」
「文恵のご飯食べるでしょ?」
「勿論!」
現れたのは宇迦之御魂と木花咲耶姫だ。
「あら?私達だけですの?」
木花咲耶姫がキョロキョロと見まわす。
「カグヤとイワちゃん、ウズメにも声かけたわよ、用事が終わったら来るでしょ。」
軽く答える天照大御神は腰を下ろす。
「他の料理もお持ちしますね。」
文恵は笑みを浮かべながら伝えると宇迦之御魂は指をパチンと鳴らす。
「お呼びで御座いますか。」
キツネ耳の巫女が2人現れる。
「文恵ちゃんのお手伝いしてね。」
「「はい。」」
2人はペコリとお辞儀をすると文恵の横に立つ。
「それじゃお願いしましょうかね。」
当たり前の様に文恵は2人を連れ部屋に戻ると千春は天照大御神に声を掛けた。
「アマテラス様、男神様は呼ばないんですか?」
「呼んでないわよ、五月蝿いでしょアイツ等。」
「えぇ~、みんな彼氏の為に覚えた料理なので男性の感想も聞きたかったんですけど。」
「あら?そうなのね・・・しょうがないわねぇそれじゃ呼んであげるわ。」
アマテラスは目を瞑る、先程よりも少し長めに目を閉じたあとに門から2人の男神が現れた。
「おう!飯か?酒か?」
「お呼びいただき有難うございます。」
須佐之男命と月読命が声を掛けて来る。
「文恵が指導した子達の食事よ、男の意見も聞きたいらしいわ。」
「ほほぅ?それは楽しみだ、これか?」
テーブルの上に置かれた料理を見て須佐之男命はニヤリと笑みを浮かべる。
「他にもあるみたいよ?まだ作ってるみたいだけれど。」
見えないはずの厨房に目を向ける天照大御神。
「お?源治も居るじゃねぇか。」
「おや?アレは珍しいお酒ですね。」
「・・・おぉ!黒竜じゃねぇか。」
2柱は目敏く源治の前にある酒を見て部屋に向かう。
「あぁ~今日も酒盛りかな~、お酒足りるかな?」
「千春ちゃんお酒の事は気にしなくて良いわよ、準備させるわ。」
「いえ!おもてなしなので準備します♪」
千春はいつもの様にスマホで酒屋のHPを表示しポチポチと注文を入れる。
「慣れてるわね。」
「いっつも注文してますから。」
「まだ高校生よね?」
「私は飲みませんよ?」
「こっちでは飲めるでしょ?」
「美味しくないので。」
「あら、勿体ないわね。」
「えぇ~?」
「今はお酒は二十歳からって言われてるけれど、ちょっと前までは普通に飲めたものね。」
宇迦之御魂と千春の話を聞いた木花咲耶姫が呟く。
「そうなんですか?」
「えぇ、ほんの100年前くらいに決められたのよ。」
「・・・ちょっとじゃ無いですよ。」
苦笑いしながら千春はお辞儀すると部屋に向かう、すると青空からロイロが降りて来た。
「チハル、楽しそうじゃな。」
「ロイロおかえりー、今日は料理いっぱいお酒一杯、神様いっぱいだよ。」
「おぉー!酒盛りか!」
「そうなると思うよ。」
「酒はあるのか?」
「おじぃちゃんが持ってきたのと手持ち分、それと今お酒注文した~。」
「流石じゃ!」
ロイロはそう言うと部屋に入り気さくに須佐之男命へ声を掛けていた。
「んー・・・。」
「チハルどうしました?」
「サフィー、今から王族と厨房の皆、あと神様もうちょっと増えそうなんだけど、この部屋じゃきついよね。」
「隣に準備させましょう。」
隣に拡張された広い応接間、別名宴会部屋に準備をとサフィーナは侍女達に声を掛ける。
「いつもの割り振りでテーブルの準備、神様テーブル、王族テーブルはいつもの席数を。」
「「「「はいっ!」」」」
レナエ、クラミナ、コロソ、ジエルは直ぐに返事を返し部屋を出て行く。
「料理の方も追加が必要かしら。」
「そうだねぇ、ルノアーさん達がレシピ覚えたなら練習がてら量産してもらおうか。」
「そうですね。」
2人は厨房に入るとママさんズが無双していた。
「野菜は一度熱した油に通すと時短になるわ。」
「電子レンジが有れば良いんだけどね。」
「それで大丈夫でしょ。」
「南先生、次はこっちね♪」
「は!はいぃ!」
「さっき漬け込んだ肉を調理するわね。」
「はい!」
「中火で焼くから待つ間にコッチを・・・。」
3つの料理を同時進行で作る智美、時短をメインにと調理方法を教える美咲、調味料の配分を教える麗子、南は必死で頭に詰め込む。
「チハル、南ちゃんヤバい。」
「パニクってんねぇ。」
「いや、お母さん達が凄すぎじゃん?」
「でもさ、チハルも同じ事してるよね。」
JK軍団は千春を見る。
「ん?あぁ、慣れたら出来るよ?」
「それが出来ない人もいるんじゃよチハルどん。」
「私シングルタスクだから無理だわぁ。」
JK達はママさんズと南、そして手伝いしているだけで必死なルノアーたちを見ながら呟いた。
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「千春、石田先生が帰って来たわよ。」
「迎え行ってくるー!」
千春は門を通り玄関を開ける。
「おかえりなさい!」
「・・・生徒にお迎えされるのはやっぱり慣れないな。」
「しょうがないじゃん、ココ通れるの私かおかぁさんか神様だけだもん。」
「まぁそうなんだが・・・おじゃまします。」
「チッチッチ!そこはただいまでしょ。」
「はいはいただいま、アヤネさんは?」
「んっふー、あっちで頑張ってるよ♪」
「頑張る?」
千春は石田の手を取りクローゼットを通る、そして応接室に入る石田。
「・・・なんだこれ。」
ワイワイと騒ぐJK達、そして入れ替わりに部屋を動き回る侍女達、のんびり座る王族にルプ達と騒いでいる神様達をみて石田は思わず呟いた。
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