ウエディングドレス!
「うわぁ!綺麗!」
「南ちゃん綺麗!」
「うわぁ~いいなぁぁぁぁ!」
千春、頼子、麗奈は南のウエディングドレスを見ながら話す。
「ありがとう♪」
「アヤネ様、腕周りはどうですか?」
「はい、大丈夫です。」
仕立て屋と裁縫師に聞かれながら南は仮縫い試着を進める。
「・・・。」
黙って一点を見つめる美桜。
「なに?ミオちゃん。」
「アヤネちゃん、ソレ。」
美桜は南の胸を指差す。
「ミオ、それは言ってはダメな奴だよ。」
麗奈は美桜の指を掴む。
「偽乳・・・(ボソッ)」
「ねぇチハルちゃん、ミオちゃんアイテムボックスに入れて良いかしら。」
「良いと思います。」
「うそ!嘘です!いやぁ!綺麗だなぁ!羨ましいなぁ!」
後ろから頼子にも羽交い絞めにされもがく美桜は必死で謝る。
「でも本当に羨ましいなぁ。」
麗奈は南を見ながら呟く。
「いいよね~、結婚したくなっちゃう。」
「すれば良いじゃない。」
呟く頼子に答える南。
「へ?」
「こっちの世界で結婚すれば?日本で籍は入れないんでしょ?」
「あー、そっかぁ・・・。」
顎に手を当て本気で考え始めた頼子、それを見た美桜、麗奈も考え始める。
「アリか?」
「アリだね。」
「アリじゃん?」
3人は何故か円陣を組むとボソボソと話始めた。
「結婚かぁ、ハルトと結婚するのいつになるのかな~。」
ポツリと呟く千春。
「え?今結婚出来ないの?」
不思議に思った麗奈が問いかける。
「戴冠式がまだだし、ハルトは戴冠式もまだ先だからって言ってたよ?」
そう言うと千春は横に居るサフィーナを見る。
「・・・婚姻式は出来ますよ?」
「へ?」
「戴冠式もまだ先なので急がなくても良いと言う意味ですから、チハルが婚姻を望むのでしたら明日でも大丈夫・・・いえ、言い過ぎですね、準備も有りますから2小月もあれば大丈夫でしょう。」
サフィーナはニコッと微笑みながら答える。
「アヤネ様、お着換えを。」
「はい。」
試着が終わり、南はドレスを着替える。
「結婚かぁ~・・・ちょっと私出かけて来るわ。」
頼子はそう言うと部屋を出て行く。
「アリンさんの所かな。」
「ウチもちょっと・・・。」
美桜はニヤニヤしながら部屋を出て行く。
「・・・マジか。」
麗奈は2人を見送ると考える。
「ホーキンさん居るかなぁ。」
そう言うと麗奈も部屋を出て行った。
「どうしたんですかぁ?」
入れ違いにモリアンが部屋に入って来ると千春に問いかける。
「なんかねぇ・・・結婚したくなったらしい。」
「あーわかります!」
「あ、分かるんだ。」
「はい!貴族令嬢は婚姻が早いので、知り合いが婚姻すると私もってなりますもん!」
「へぇ~モリアンでもそうなるんだ。」
「でもってなんです?私も一応貴族令嬢ですよぉ?」
「何処が?」
「・・・どこでしょうか。」
自信なさげに呟くモリアン、千春はクスっと笑うと応接室に戻る。
「千春楽しそうだな。」
ルプはウキウキな千春に声を掛ける。
「気のせいじゃない?」
「気のせいな訳あるか、繋がってんだぞ?」
「そうだったわ。」
寝転がるルプに倒れ込みモフモフとお腹に埋まる千春。
「あのねー、結婚出来るらしいんだー。」
「するのか?」
「んー・・・したいかなぁ~。」
「だからヨリ達も楽し気に出かけたのか。」
「そういうこと~。」
「すれば良いじゃないか。」
「ハルトに聞いてみよっかな~。」
「そうだな。」
「・・・ルプはやんないの?」
「・・・俺は別に良いだろ。」
「ダメでしょ、ルクレツィアさんのウエディングドレス綺麗だと思うよ?」
「ん~、こっちではどうか知らないが、一生に一回の晴れ姿って言うからなぁ。」
フムフムと考え始めるルプ。
「チハル様、エンハルト殿下御呼び致しましょうか?」
サリナは微笑みながら声を掛ける。
「いや、忙しいっしょー。」
「それでは様子をお伺いして参ります。」
「はーい。」
サリナはそう言うと部屋を出て行く。
「忙しくなりそうね。」
サフィーナは微笑む。
「サフィーもだよ?」
「え?」
「第二夫人じゃん。」
「・・・そうでした。」
「一緒に式あげようね~♪」
「はい、そうですね♪」
千春はルプに埋まりながら幸せそうに微笑んだ。
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「タイちゃん。」
「なに?ハル。」
「千春が結婚したいみたいよ?」
「そっか~。」
ムカイ領でのんびりとお茶をしていた大樹と春恵、春恵は遠見で千春の様子を見ながら微笑む。
「驚かないの?」
「驚かないよ、あの2人仲良いし、千春は勘違いしてるっぽかったけどね。」
「すぐに結婚出来る事?」
「うん。」
「なんで教えてあげなかったの?」
「俺が言う事じゃないからね~♪」
「あら、意地悪ね~。」
「大事な娘だからね、やっぱり寂しいじゃないか。」
「そうね。」
2人はニコニコと微笑む千春を思い出し笑みを浮かべる、そして昔話に花を咲かせた。
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「アリンさーん!」
魔導士団、団長職務室の扉をノックもせずに開く頼子。
「いらっしゃいヨリさん、お茶でもしますか?」
「おかしあるよ!」
「あちらのですか?」
「うん!新商品とかあるよーん。」
「それは楽しみですね。」
ニッコリ微笑むアリンハンド、一緒に付いて来た侍女のレナエは慣れた手付きでお茶を淹れ始める。
「・・・で?どうしたんです?」
「へ?・・・お茶しにきたんだよ?」
「へぇ~。」
アリンハンドはニコニコと笑みを浮かべ頼子を見ると、頼子は目を逸らす。
「で?」
「・・・えっとー、結婚って出来る?」
「出来ますよ?」
「結婚したいな~って思っててぇ~・・・いや!前からね!?前から思ってたんだけどね!?急ぐ必要無いし!まだ学生だし!短大だけど大学行くつもりだし!?」
早口で捲し立てながらも言い訳をする頼子、アリンハンドはウンウンと頷きながら聞く。
「・・・南ちゃんのウエディングドレスみてたら・・・いいなーって。」
「大丈夫ですよ、そちらではどうか分かりませんがこちらでも良くある事ですから。」
「そうなんだ。」
「はい、婚姻式が有ると続けて婚姻が続くんですよね。」
「あ~・・・やっぱりそうなんだ。」
「えぇ、世界が違っても同じなんですねぇ~。」
「女心は異世界でも一緒かぁ~。」
「それで?具体的な事はまだ決めて無いんですよね?」
「うん、いいなーって思って確認しに来ただけ。」
「分かりました、一度家に行きましょうか。」
アリンハンドは微笑みながら頼子に言う、頼子もニパッと笑みを返すと頷く。
「母も喜びますよ。」
「本当?」
「えぇ、実家に帰ると聞かれますからねぇ。」
「そっかぁ、ベアトリクス様聞いて来るんだぁ。」
ニヤニヤと頼子は嬉しそうだ。
「それじゃ行きましょう。」
「仕事は?」
「終わってますから大丈夫ですよ。」
アリンハンドは頼子の手を取り立たせる、そして2人はローレル家に向かった。
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