ケーキを作るよ!

「チハル。」

「いらっしゃいハルト。」

「話を少し聞いたが?」

「あーはいはいはい、うん。」

「婚姻の儀は進めて良いのか?」

「いいよー♪」

「軽いな。」

「遅かれ早かれ!」

「まぁそうだが、ニホンの学校は良いのか?」

「あっちで籍入れるわけじゃ無いし、まぁいいかな~って。」

「そうか、しかし準備に時間掛かるぞ?」

「うん、そこはお任せで!」

「分かった、早く進めるとしても1大月は掛かるからな。」

「急がなくても良いよ、南せんせーの結婚式もあるし、そろそろお母様、赤ちゃん生まれるでしょ?」

「そうだな、色々とあるなぁ。」

 エンハルトは遠い目をしながら考える。


「さっきミオとすれ違ったんだが。」

「あ~、多分内容は一緒だよ。」

「フッ、ほんとお前達は思ったらすぐ行動だな。」

「えぇ~そんな事なくない?」

 千春の答えに呆れるエンハルト。


「話は分かった、チハルは忙しいんじゃないのか?」

「あ!そうだった!」

 千春はそう言うとアイテムボックスを開く。


「え~っと、ケーキケーキ!」

 ぽいぽいと苺を取り出す千春。


「フィンレーのケーキでしょー、南せんせーのウエディングケーキでしょー。」

 ブツブツと呟き始めると、準備を始める。


「チハル、ここで作るの?」

 サフィーナは材料を見ながら問いかける。


「んー・・・結構クリームとか使うし、王宮の厨房に行こうかな。」

「チハルさ~ん、王都のスイーツ店に行けば良いんじゃないんですか~?」

 モリアンの提案に千春はポンと手を打つ。


「その手があった!シャリーちゃんに手伝ってもらえば早いかも!」

「あと、ケーキ作りなんですけどぉ~。」

「なに?」

「ユラちゃんも作りたいような事言ってましたよ~?」

「マジか、ユラは?」

 千春が問いかけるとモリアンが答える。


「今魔導士団の研究室でドライフラワー作ってますよ。」

「へぇ~・・・あぁ~プレゼントか。」

「そうで~す。」

「モリー、ユラに声かけて来てくれる?私も準備するから。」

「了解でっす!」

 モリアンはそう答え部屋を飛び出した。


「あとは~っと。」

 厨房に入ると必要な道具などを確認する千春、するといつもの気配を感じた。


((・・・。))

「・・・。」

((・・・。))

「まだケーキできてないよー?」

((シャリーは今王宮の厨房にいるわよ~。))

「マジか、さんきゅーアイトネ、ケーキ出来たら試食する?」

((するっ!))

「出来たら呼ぶね~♪」

 そう答える千春、王宮の厨房ならとサフィーを連れ厨房に向かった。



-------------------



「後は生クリームを大量に、それをホイップしてホイップクリームにしてください、砂糖は生クリーム100に対して砂糖は14、ケーキ用なので固めに作ります。」

 シャリーは王宮の厨房で指示をする。


「シャリー、スポンジケーキはどれくらいだ?」

「オーブンに入るだけ作って下さい、3回くらい焼くので気にせずどんどん焼いて下さい。」

「シャリーさん!フルーツは?」

「王族用は私が準備しました、他のケーキは王宮にある果物はどれでも使って大丈夫です、それはお祝い用として食堂用に出します。」

「王子殿下の方は?」

「話ではチハルさんが持ってくるそうなので大丈夫です。」

 次々と指示を飛ばしながら動き回るシャリー、ルノアーもシャリーの指示で動いていた。


「本当にチハルさんが来るのか?」

「はい、お告げがありましたので・・・。」

「女神様か。」

「はい、間違いなく来ます。」

「ケーキを作るお告げか。」

「はい・・・っていうかそういうお告げしか来ないですもん。」

 苦笑いで答えるシャリー、しばらくすると千春が厨房に入って来た。


「ルノアーさん来たよーん。」

「本当に来た!」

「へ?」

「チハルさーん!」

「シャリーちゃん!ケーキ作りたいんだけど手伝ってくれる?」

「はい!もう準備万端ですよ!」

 両手を広げ厨房を見せるシャリー、奥では既にスポンジケーキが焼かれ、料理人はシャカシャカとホイップクリームを作っていた。


「・・・アイトネー。」

((・・・。))

「アイトネ~ありがとうね~。」

((♪))

「アイトネ様がどうかされました?」

「ん、ケーキ出来たら食べるってさ。」

「そうなんですね、頑張って作りましょう!」

「アイトネのケーキを作るために来た訳じゃ無いんだけどなぁ。」

「まぁまぁ、良いじゃ無いですか、私が試作作ったらいつも遊びに来てくれますよ。」

 シャリーはニコニコと千春に言う。


「来るの?」

「はい、名前呼んだらすぐ来られますよ?」

「名前呼んだら来るんだ。」

「はい♪」

「へぇ~、アイトネェ!!!!!!」

『・・・呼んだぁ?』

「シャリーちゃんの神託スキル幾つ!?」

『・・・10。』

「マ?」

『ま。』

「それ知ってる人は?」

『居ないわよ。』

「そっか、ん~~~~~そっかぁ~~~~~。」

 千春はシャリーの手を取るとシャリーを見る。


「ナカ~マ。」

「はぃ?」

「さ、ケーキ作ろうか。」

「あ、はい。」

 準備を始める千春は厨房を見て驚く。


「終わってんじゃん。」

「いえ!ケーキはこれからが本番ですからっ!」

「そだねぇ~。」

 話をしているとモリアンとユラが入って来る。


「お連れしましたー!」

「チハルおねーちゃん!きたー!」

「はいはーい、ユラはフィンレーのケーキ作り手伝ってね。」

「がんばる!」

 可愛くガッツポーズを作るユラに千春は微笑む。


「モリー、はいこれ。」

 千春はチョコプレートとチョコペンを渡す。


「はい!了解です!何て書きます?」

「フィンレー9歳の誕生日おめでとうで。」

「了解です!」

 慣れた手付きでチョコペンの先を切り、文字を書き始めるモリアン、ユラが横でのぞき込む。


「ユラちゃん名前の所書きます?」

「書いて良いの?」

「良いですよね?チハルさん。」

「良いよー、ユラが書いたら喜ぶかもね。」

 2人は楽し気に文字を書き始める。


「よし!それじゃ私はウエディングケーキを作ろうかな!」

「お手伝いします!」

「シャリーちゃん、3段くらいのケーキ作るから生クリーム固めに作りたいんだけど。」

「大丈夫です!砂糖14%で作ってます!」

「わかってるぅ~♪」

 千春はそう言うとケーキを作り始めた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る