色々準備で忙しい!
「再来週センター試験が始まるが、緊張せずにいつも通りにやればいい。」
石田は皆の前で真面目な顔で話すと、男子生徒が手を上げる。
「森本、なんだ?」
「先生!結婚するって本当?!」
「・・・何処で聞いた?」
「さっき職員室行ったら大塚先生が話してましたー!」
「・・・本当だ。」
石田は項垂れながら頷くと皆が騒ぎ始める。
「ひゅー!先生に春が来たー!」
「相手だれ!?」
「英語の南ちゃんらしいよ?」
「マ!?」
「えー!なれそめとか聞きたいんだが!?」
一斉に騒がしくなる教室、石田は両手を上げながら皆を静かにさせる。
「俺の事は良いんだよ!静かに!しーずーかーにー!」
騒ぐ生徒を落ち着かせる石田。
「で?南先生って本当なんですか?」
女子生徒が改めて確認すると、コクリと頷く石田。
「結婚式はいつですかー!」
「俺達も行って良いのかな?行きたいんですけどぉ!?」
「せんせー!私も招待状欲しい!お祝いしたい!」
「私もー!」
「うちもー!」
「せんせー!」
また騒ぎ出す生徒達、すると教室の扉が開く。
「石田先生どうしました?」
「山下先生すみません、ほら!お前ら静かにしろ!」
「山下せんせー!石田先生の話詳しく!」
「はぁ、そう言う事ですか。」
山下先生は苦笑いしながら答える。
「詳しくも何も本人が居るんだから直接聞きなさい、HRが終わってな!」
怒り口調だが笑みを浮かべる山下先生は扉を閉めた。
「まだこっちの式は決まってない!生徒を呼ぶかは南先生と考えておく!お前達はセンター試験の事を考えろ!」
「ん?石田せんせー、こっちって?」
思わず言葉に出してしまった石田は焦りつつも誤魔化す。
「こっち~・・・俺の実家かこっちでやるかって意味だ。」
適当に誤魔化す石田は話を終えると皆は帰り始めた。
「石田せんせ~バレるの早くない?」
こそっと話しかける千春。
「遅かれ早かれだ。」
「あっちでもやるんだよね?」
「あぁ、マルグリット様が準備してくれている・・・らしい。」
「知らないの?」
「アヤネさん・・・南先生が対応してくれているからな。」
「ふぅ~ん、それじゃアレも知らない感じか。」
千春はクスクスと笑いながら呟くと、石田は千春をガン見する。
「藤井・・・アレって何だ?」
「なんだろうねぇ~、ほら、あんまり話してると他の人が来るよ?」
チラッと目線を横に動かすと、女子生徒が石田に向かって歩いて来ていた。
「石田せんせー!」
「先生は忙しい!またな!気を付けて帰れよ!」
そう言うと勢いよく扉を開け石田は消えた。
「チハルちゃん、石田なんて?」
「ん、詳しい事は南せんせーに任せてるってさ。」
「えぇー、ミナミちゃん捕まえて聞くかぁ。」
女子生徒達はそう言うとカバンを手にし教室を出て行った。
「千春アレって何?」
頼子が千春の横でこそっと話しかける。
「サプライズ的な奴だよ。」
「へぇ~、なにすんの?」
「王都をパレードだよ。」
「うわぁ!恥ずかしい!」
「あっちじゃ名誉な事らしいよ?」
「国が違うとそう言う感覚も違うんだねぇ。」
「国と言うか世界だけどね。」
千春は笑いながらカバンを手にし立ち上がる。
「ヨリ、私スーパー寄って帰るけど、どうする?」
「つきあうよ。」
「さんきゅ、ミオ達は?」
「どうだろね。」
2人が美桜達を見ると同じくカバンを手にし千春の所へ来るところだった。
「かえるべ~。」
「スーパー寄って帰るんだけど。」
「おっけーつきあうよ~ん。」
「先に帰ってても大丈夫だよ。」
「良いよ、何買うの?」
「苺!」
「イチゴいいねー。」
「苺でなにすんの?」
「誕生日ケーキ作るんだよ。」
「誰の?」
「フィンレーだよ。」
「あー!そう言えば!」
「昨年何あげたっけ。」
美桜と麗奈は思い出したのか話始めた。
「確かボードゲームだったよね。」
「そうそう、五目並べと六芒星のゲームね。」
「今年は何あげよっかー。」
昨年プレゼントした物を思い出しながら呟く2人、そして。
「うちら何送る?」
大愛が青空と日葵、花音を捕まえ話始める。
「文字読めないし、簡単なゲーム?」
「それミオ達がやってんじゃん。」
「何か作る?」
「何かって何よ。」
「ん~、あ!フォトフレームとか!」
「イイね!家族の写真撮って送るか!」
「良い!それ良い!」
キャッキャと騒ぐ4人。
「ほら!みんな帰るよー。」
「うぃーっす。」
「ほいほーい。」
「私一回家帰ってから行くわ!」
花音が手を上げる。
「どうしたのカノン。」
「パパが趣味で一眼レフのカメラ持ってんのよ。」
「おぉ~本格的な奴?」
「うん、めっちゃ高いヤツ。」
「壊したら怒られるよ?」
「壊さないよ!?」
「んじゃカメラは花音に任せた、うちらは額縁探しに行こうか。」
「ソラ、そこはフォトフレームって言おうよ。」
「同じじゃん?」
「違うじゃん。」
「どっちでもいいんじゃー!」
ウガー!と両手をあげる青空、千春はゲラゲラと笑いながら教室を出ると皆もゾロゾロと教室を出て行った。
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「ルプぅぅぅぅぅぅ!」
ガバッ!!!
「どうした?ユラ。」
寛いでいたルプにダイブするユラ。
「おはなばたけ!」
「お花畑がどうした?」
「いきたい!」
「良いぞ。」
ルプはそう言うとユラを乗せたまま立ち上がる。
「サフィー、ちょっと出かけて来る。」
「少し待ってもらえますか?ルプさん。」
サフィーナはそう言うと通信魔道具を手に何やら話を始める。
「ユラ、花で何するんだ?また冠か?」
「んーん!コレ作りたいの!」
ユラはルプが寛ぐ壁一面に飾られたドライフラワーを指差す。
「これか?」
「うん!」
「これを持って行けば良いじゃないか。」
「だめー!これはルプの!」
ユラはブンブンと首を振りながら答える。
「ルプさん、竜騎士団が2名付きます。」
「いらねーんだがなぁ、まぁ王女が遊びに出るなら必要か。」
「はい、侍女はコラリー、ドロテだと無理がありますから、クーネス姉様とトーテルを連れて行って下さい。」
「わかった。」
「あと、今花が沢山咲いている所は・・・。」
サフィーナはクーネスに話掛け、リヴィル領の話をする。
「ルルさん、リヴィル領のフェアリーリングは大丈夫ですか?」
「だいじょうぶ~♪」
ユラの頭の上でくるくる回っている妖精ルルはサムズアップしながら答える。
「それではルプさんお願い致します。」
「おう、任せろ。」
庭に出ると竜騎士が降りて来る、そして皆はフェアリーリングに入るとリヴィルへ飛んだ。
「なんで急にお花畑なんですかねぇ~。」
モリアンは消えたユラ達を見送ると呟く。
「プレゼントよ♪」
サフィーナは楽し気に話す。
「・・・あ!フィンレー様!」
「そ、今日チハルがケーキを作るって言ってたわよ?」
「やったぁ!!!!!!痛ぁぁぁい!!!!!!」
「フィンレー様の誕生祭ケーキよ、なんであなたが喜ぶの。」
脳天直撃のチョップを食らいモリアンはうずくまる。
「・・・でも試食つくりますよねぇ?」
「・・・多分ね。」
モリアンは頭を押さえつつ、片手はガッツポーズでこっそりと喜んだ。
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