冒険者ギルドで回復を!
「たのもー!」
千春は冒険者ギルドに入るといつもの掛け声で入る。
「お、姫様、依頼か?」
「姫様お久しぶりですね~。」
「姫様依頼か~?」
冒険者が千春を見るとわちゃわちゃと声を掛けて来る。
「ちがいますよ~ん。」
頼子と並んで受付に向かう千春、受付は直ぐに立ち上がり奥の部屋へ案内する。
「チハル王女殿下いらっしゃいませ、こちらへどうぞ。」
「あざまーす!」
後からサフィーナ達が付き一緒に奥へ向かうと冒険者ギルドマスター、レオが声を掛けて来た。
「チハル王女殿下!」
「ギルマスさんお疲れ様でーす。」
「如何なされたので?」
「ロイロがやっちゃった人の回復にきました~♪」
千春が答えると目を開くレオ、そして少し考えると別の部屋へ案内した。
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「ここです。」
「お邪魔しまーす。」
開けられた扉を抜けるとユーリン達が立っていた。
「チハルちゃん!?」
「やほー。」
「どうしたの?!」
驚くユーリンに千春は軽く答える。
「回復しにきたよー。」
「コレだけど出来るの?」
ユーリンはピクピクと痙攣している男を指差す。
「おぉ~やったねぇロイロ。」
千春はそう呟くと男の前でしゃがみこみ回復魔法を掛ける。
「・・・ヒール!」
ぽわりと光る男、そして痙攣が止まりぐったりとしたまま動かなくなった。
「あれ?」
千春は動かない男に少し焦りを感じたが、シャルルが直ぐに確認する。
「大丈夫、寝てるだけだよ。」
「良かったわー、あとはコレ?」
腕や足が曲がるはずの無い方へ向いた男を見る、頼子が横に立つとレオに指示をする。
「腕から行きますから真っすぐに伸ばしてもらえます?」
「こうか?」
腕の向きを本来の向きに戻すと頼子は魔法を掛ける。
「ヒール♪」
同じく体がぽわりと光る、そして足も同じ様に回復させると千春、頼子はもう一人を見る。
「コレどうなのかな。」
「いやぁコレ脊椎やってるよね。」
曲がらない方向で、くの字になった男を見ながら2人は呟く。
「治れで治るかな?」
「とりあえず真っすぐにして貰わないとかなぁ~。」
治療法を考えているとユーリンが横で話しかける。
「ダメならその時はこの男の運命って事だから気にしなくて良いと思うよ?」
「そうそう、話聞いたらこいつ等手慣れてたみたいだし、初めてじゃないよ。」
シャルルまでもが同じ様に話す。
「ま、やってみよ。」
「そだね、千春これ飲んで2人で掛けよう。」
ペットボトルに入った水を2人は飲む、いつもの魔力回復用世界樹の泉水だ。
「ぷはぁ~。」
「さ、やってみよっか。」
頼子が言うと2人はピクリともしない男の横に立つ、レオとギルド職員が男を真っすぐに寝させると回復魔法を掛ける。
「「ヒール!」」
レオは魔法が掛かると男の顔を触る、そして目や脈を確認すると頷く。
「動けるかは意識を取り戻してからになるが、多分大丈夫だろう、チハル王女殿下有難うございました。」
「ギルマスさん、もっと砕けて話してもらっていいのにぃ。」
「あ~そうだったな、王族ってのが先に頭に在るもんでな。」
ニコッと笑うレオ、そのタイミングで扉が開き三珠と彩葉が入って来る。
「千春だわ。」
「にゃ?」
「イロハ、ミタマ、どうしたの?」
「ロイロを連れて来たのよ。」
彩葉が言うと扉からロイロが顔を覗かせる。
「チハル。」
「ロイローやりすぎだよー?」
「・・・。」
「でも女性助けたんでしょ?」
「うむ・・・。」
「あと、服破けたって?」
「・・・うむ・・・。」
「服は気にしなくて良いよ、ちゃんと直してあげるから。」
「本当か!?」
「任せなさい!」
「千春が直すの?」
「は?家庭科3の私が出来るわけないじゃん、コラリーにお願いするよ。」
「でーすーよーねー。」
ケラケラと笑いながら答える千春と納得する頼子。
「で!この人達どうすんの?」
千春はまだ意識の戻らない男達を指差しながら問いかける。
「本来なら兵士に引き渡しジブラロール王国の法で裁くのだが。」
レオは意味ありげな言い方で答える。
「本来なら?」
「あぁ、まずは冒険者証の剥奪は確定だ、そして犯罪奴隷として罰が下されるだろう。」
「でも違うって事?」
「うむ、性犯罪だからな。」
レオはそう呟くとユーリンを見る。
「今呼んでるからもうすぐ来るんじゃないかな?」
ユーリンが呟くと千春が首を傾げる。
「なんでユーリンなの?」
「そっち方面の管理してるからだよー。」
ユーリンの言葉に首を傾げていると部屋の窓からノックが聞こえる、皆が窓を見ると、パタパタと羽ばたきながら窓を叩くゴスロリ少女が居た。
「ラミじゃん。」
「ラミちゃんだ、久しぶりだね。」
千春と頼子が呟いているとユーリンが窓を開ける。
「ごめんね~急に呼んで。」
「いいのいいの♪この3人がソレ?」
「そ、チハルちゃんとヨリちゃんが回復したから、持って行って好きなようにして良いよ。」
「りょうか~い、それじゃ受け取り書類はコレね~。」
魔族のゴスロリ少女ラミ・レイジィは紙をユーリンに渡す、ユーリンはそれをアイテムボックスに入れるとユーリンは影から数匹の眷属を出す。
「あなた達こいつ等連れて行きなさい。」
蝙蝠の羽が付いた猿のような獣が男達を捕まえると外に飛び出し飛んで行った。
「ラミちゃんアレどうするの?」
「ん?私達が美味しく頂くわよ?」
「食べるの!?」
「ある意味そうよ♪私達の食事は精力なの♪」
「・・・あ!そう言えばアルデアが言ってたわ!」
「生かさず殺さずたっぷり頂きながら下僕として働いてもらうわ~♪」
「うわぁ・・・まじっすか。」
「ラミちゃんさっきの紙ってなに?」
疑問に思った頼子が問いかける。
「王国に提出する身元引受書類よ、ちゃんと王国に許可もらって仕事してるのよ。」
「へぇ~~~~~~・・・マジか。」
「仕事してるんだ、ラミちゃん。」
「それはそうとして、ラミちゃん。」
「なに?」
「ダンジョンは?」
「・・・さ!用事終わったから帰るわね!ばいばーい!」
ラミは目を逸らし窓から逃げる様に飛び出した。
「・・・ユーリン、あれがそっち方面って事?」
「そうだよー、ラミちゃんが仕切ってる娼館の経営も管理してるんだよ、一応犯罪ギルドのお仕事♪」
「娼館やってたんだラミちゃん。」
「うん、男達は喜んでお金を払い満足、ラミちゃん達は食事も魔力も取れて満足!」
「Win-Winの関係ってやつかぁ。」
「あの男達どうなるの?」
「お客が居ない時、ラミちゃん達の相手させられるのと、娼館の掃除やらなんやら色々させるみたい。」
「逃げないの?」
「逃げないらしいよ?って言うか逃げれないらしいよ、詳しくは知らないけど。」
「そっか・・・それじゃ一件落着って感じなのかな。」
千春は腰に手を当てながら呟く。
「千春、用事終わったなら王都プラプラする?」
「そだね、最初の目的はそれでしたわな。」
2人はウンウンと頷く。
「儂は王宮へ戻る。」
「あいよー、コラリーちゃんとドロテちゃんは今ユラの所に居るから。」
「わかったのじゃ!」
ロイロは千春に答えると窓から飛び出る。
「みんな窓から出て行くね。」
「翼あるからねぇ~。」
呆れた様に呟く2人。
「千春!食べ歩きする?」
「するよーイロハ一緒に行く?」
「行く!」
「ミタマもいくかーい?」
「いくにゃー。」
千春達はレオに声を掛けると冒険者ギルドを出る、そして王都に遊びに行った。
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