ロイロキレる!
「で~?何があったの?ルプ~。」
箒で飛びながらルプに話しかける、空を駆けるルプは苦笑いで話始めた。
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「ロイロ~コレも食べて~。」
彩葉は三珠に乗りロイロへ言うと、ロイロは屋台の前に立ち注文する。
「ミタマも食うか?」
「吾輩はお腹いっぱいにゃー。」
「大きくなればまだ入るじゃろ。」
「きりがないにゃぁ~。」
ロイロは海鮮の串焼きを受け取ると金を払い口に入れる。
「ん!美味いのぅ。」
「美味しい♪」
ロイロの味覚に同調した彩葉は頬に手をやり嬉しそうに呟く。
「なんにゃ?」
通りの奥で騒めく音を聞き取った三珠は奥を見つめる。
「どうしたミタマ。」
「アッチでおんにゃのこの声がしたにゃ。」
「ふむ、ちと見て来るか。」
ロイロは通りの奥へ足を向ける、後ろから三珠と彩葉が付いて来る。
「良いじゃねぇか。」
「やめてください!」
「ちょっと相手するだけだ、すぐ終わる。」
「嫌です!」
「嫌でも連れて行くけどな、はっはっは!」
男3人は女性の手を握りながら奥へ連れて行く。
「ほぉ~?最近この手の者を見なくなったと思ったんじゃが。」
ロイロは男達に聞こえるように声を上げる。
「何だお前。」
「お!可愛いじゃねぇか、コイツにも相手してもらおうぜ。」
「そうだな、ん?なんだこの猫と人形。」
男達はロイロ達を見ながら勝手に話す。
「お前らそう言う事は娼館でやる物じゃぞ。」
「は?関係ないだろお前には。」
「それが有るんじゃなぁ。」
「ほぉ?それじゃぁお前に相手してもらおうか。」
「娼館の女とはな。」
勝手に勘違いした男達はロイロに近付く。
「ヤルにゃ?」
「ロイロに任せた方がいいわよ?」
彩葉と三珠が話しているとロイロに向かって来た男達が走って近寄って来た。
「ほぉ~儂を襲うか。」
ロイロは1人目の男を避け足を掛けると、男は盛大に転がって行った。
「てめぇ!」
もう一人の男はロイロの前で立ち止まり殴りかかって来る、ロイロは拳を手で払い除け、背中に蹴りを入れた。
「お、お前ら何やってんだ!」
「くそっ!この女!」
「・・・。」
盛大に転んだ男が立ち上がりロイロに向かって両手を広げながら突っ込む、ロイロはヒョイっとジャンプすると男の背に足をおろし踏みつける。
「ぐっ!」
「やめておけ、お主らでは相手にならんぞ。」
ロイロがそう呟くと同時に蹴りを入れられた男がロイロの服を掴んだ。
ビリッ!!
「あぁぁ!!!!!!!!!!」
袖を掴んだ男は服を引っ張ると、ロイロの袖が半分になる、ロイロは思わず声を張り上げた。
「ふ・・・ふくが・・・チハルが買ってくれた服が・・・。」
ロイロは男達を無視し、破れた袖を悲し気に見つめる、そして。
「キサマラ・・・タダデスムトオモウナヨ・・・。」
ロイロの声が低くなり、腕や足、そして尻尾が鱗で覆われる。
「な・・・何だコイツ!」
「人間じゃねぇ!」
「獣人!?いや魔族か!?」
男達が怯んだ所をロイロが動く、まずは袖を破った男だ。
「ヨクモ服ヲ!」
「ロイロ!」
首を握りしめ今にも引き千切ろうとしたロイロに彩葉が声を上げる。
「・・・フン!」
男は口から泡を吹き出しながら壁に叩きつけられる、そして足元で転がる男の両腕を握ると曲がってはいけない方へ曲げる。
バキッ!バキッ!
「フン!」
腕を離すと男の足をロイロは踏みつけた。
バキッッ!
「ひっ!!!ひぃぃぃぃ!!!!」
女性の腕を掴んでいた男が悲鳴を上げながら背を向ける、ロイロは一瞬で駆け寄ると、男を思いっきり蹴り上げた。
「ぐぎゃぁぁぁ!!!!」
ベチャッ
「ロイロやりすぎぃ~。」
「これ生きてるにゃ?」
彩葉はロイロに、三珠は泡を吹く男を前足でツンツンと突きながら呟く。
「ロイロ様・・・あぁロイロ様有難うございます!」
「・・・おぉ、あー、大丈夫か?」
「はいっ!お助けいただき有難うございます!」
女性はロイロにお礼を言う、この王都でロイロや彩葉、三珠を知らない者は殆ど居ない。
「ロイロ!」
「ルプか。」
「どうした、殺気立ってたが・・・あ~、やっちまったか?」
「殺してはおらぬぞ?」
「珍しいなお前がこんなに怒るとは。」
「そうじゃったぁ!!!ルプ!これを見てみろ!こやつらがー!こやつらがー!!!」
ロイロは服の袖を指差しながらルプに言う。
「あぁ、前に千春が買ってくれた服か、破れたのか。」
「こやつらがやったんじゃぁ!」
「また買ってもらえば良いじゃねぇか。」
「いやじゃ!コレが良いんじゃ!」
破れた袖を見せながら泣きそうな声でロイロは言う。
「それくらいなら侍女に言えば補修してくれるだろ、ほら、ヌイグルミ作っていたコラリーは上手だぞ
。」
「・・・後でお願いするかのぅ。」
ショボンとするロイロ、ルプは珍しい光景にクスクスと笑う。
「で?こいつらはどうするんだ?」
ルプが足元で転がる男を前足でグリグリと踏みつけると、女性が話しかける。
「この男達は他の町の冒険者って言ってました。」
「冒険者か、それじゃ冒険者ギルドに捨てて帰るか。」
「・・・。」
「ロイロ、連れて行くぞ。」
「・・・儂もか?」
「当事者が行かなくてどうするんだよ。」
「チッ。」
舌打ちしながら男2人の足を手に取ると引きずりながら表に出る、もう一人はルプが背中に乗せる、そしてロイロ、ルプ、彩葉、三珠は冒険者ギルドに向かった。
--------------う----
「と、言う事だ。」
「ありゃー、そりゃ怒るかぁ。」
「千春、その服って良い服なの?」
「んにゃ?ウニクロのセール品。」
「新しいの買ってあげたら良いんじゃない?」
ルプの説明が終わり千春と頼子が話していると、一緒に飛んでいるサフィーナが話しかける。
「ロイロさんあの服大事にしてたもの。」
「そうなの?着てる所見た事無いんだけど。」
「街ではよく着てるみたいですよ?汚れたら私の所に持ってきて洗浄魔法かけてくれー!っていつも言ってるわ。」
「洗濯すれば良いのに。」
「洗濯したら痛むからって言ってたわよ?」
「そこまでか!」
「よっぽど嬉しかったか気に入ってたんだろうねぇ~。」
「両方だと思いますよ?」
クスクスと笑うサフィーナに釣られて2人も微笑む。
「そりゃロイロ叱れないなぁ~。」
「だねぇ~。」
「そもそも女性を引きずり込んで手籠めにしようとした男が悪いんですよ。」
「そりゃそうだ、ってこっちはそう言う事良くあるの?」
「今は聞きませんね、前はたまに耳にしました。」
「前って?」
「ロイロさんが裏を仕切る前ですね。」
「おぉ~犯罪ギルドか~。」
「そう言う事だ、だからあまりロイロを叱るなよ。」
「はいはい、ルプもロイロに優しいねぇ~。」
「魂で千春と一緒に繋がってるからなぁ、兄弟みたいなもんだ。」
「ルプが弟?」
「いや俺が兄だな。」
「ロイロちゃんが妹?お爺ちゃんみたいな話し方するしお酒呑んでる時はおっさんなのに?」
「気分的な物だ、思ったより幼いぞあいつ。」
「分かるーロイロってたま~~~~に乙女っぽい事するからね。」
ロイロが居ないのを良い事に3人はゲラゲラと話しながら空を飛ぶ、そして冒険者ギルドが見えると皆は地上へ降りた。
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