石田邸で幽霊退治!

「あれじゃん?」

 コソコソと歩く美桜は麗奈に言う。


「モヤってんね。」

「さっきの幽霊と違うね。」

「アレが魂の残滓かー。」

 曲がり角からこっそり覗く2人。


「魂にしては弱すぎますね~。」

「残滓だからよ~♪」

 コンとリリは2人の頭の上で呟く。


「近寄っても大丈夫?コン。」

「大丈夫ですっ!僕もいますので!」

「流石御使い!頼りになるぅ~♪」

「それじゃ近寄ってみる?」

「そだね。」

 2人は廊下を曲がりそっと歩きながら幽霊に近づく、するとモヤはフワリと動き美桜達に向かって飛んで来た。


「来たぁぁあ!」

「ちょー!?」

 踵を返し走る2人は来た道を戻りアイトネの方へ向かう。


「アイトネ様いましたぁ!」

「きたきた!よってきた!」

 2人は階段を駆け下りるとアイトネの居る部屋へ駆け込む。


『見つけた?』

「はいぃ!今コッチに向かってます!」

「きたよぉぉぉ!」

 アイトネは座ったままフワリと手を振ると霧の様な霊は消滅した。


「おっしゃー!後一匹ぃ!」

「ミオちゃん・・・。」

「なに?アヤネちゃん。」

「あと4体居るらしいの。」

「マ!?」

「うん。」

「アイトネ様まとめてエイッて出来ないんです?」

『出来るわよ?』

「してください!」

『えぇ~?だって千春が楽しそうにしてたんだもん♪』

「ちーはーるー!」

「チハル!何を考えてんのよあの子!」

 2人は千春の名を叫ぶ。


『大丈夫よ、聖女の称号は霊にも強いわ、何も出来ないわよ?』

「そうなんです?」

『えぇ、なんなら聖女は除霊も出来るわ♪』

「何故それを先に教えてくれないのですかぁ!?」

『楽しいでしょ?』

「・・・チハルの思考的に?」

 美桜はジト目でアイトネを見ると、アイトネはニコッと笑みを浮かべお茶を飲む。


「しゃーない、次行くかぁ。」

「大丈夫って言われたらちょっと安心したわ。」

 美桜と麗奈はそう言うと、コン、リリを頭に乗せ部屋を出て行った。



---------------------



「ソラ、みつけたー?」

「まーだー、カノンは?」

「いないねぇ。」

 3階の廊下を歩きながら2人は歩く。


「ミカ、幽霊見える?」

「見えるわよ?ついでに浄化しちゃう?」

「あ、ミカってそう言えば天使だったね。」

 子供のドラゴン姿をしたミカはクスクスと笑う。


「サンジュも御使いじゃん?浄化?除霊できるの?」

「うきっ?けせる!」

「それじゃアイトネ様の所に誘導しなくても良いんじゃね?」

「たーしーかーにー。」

 美桜達とは違いスタスタと歩く2人は部屋の扉を開ける。


「ん~・・・なんもなし!」

「異常なし!」

 扉を閉め次の部屋へ向かう。


「ここ2人で住むんだよね?」

「じゃない?」

「デカすぎん?」

「部屋多いよねー。」

「執事さんとか侍女さんが住み込みなのかな~。」

 次の扉を開く2人。


「・・・いる気がする。」

「なにこの悪寒。」

 部屋に入った瞬間に走る悪寒を感じた2人は部屋を見回す。


「いた!」

 花音は部屋の隅にある黒い塊を指差す。


「カノン、アレ寄って来る?」

「わかんない。」

 花音はそう言うと黒い塊の方へそっと歩いて行く。


「こんにちわ~い。」

 そーっと声を掛ける花音、黒い塊はピクリと動くと壁の中へ消えていった。


「隣の部屋に行った!」

「おっけ!」

 青空はミカを抱きかかえ隣の部屋へ走る、そして扉を開けると黒い塊が青空に向かって飛んで来た。


「キャァ!」

「ハッ!!!」

 ミカは魔力を飛ばすと黒い塊に当たり光と共に消滅した。


「有難うミカ。」

「聖魔法の浄化よ、ソラも使えると思うわよ?」

「マジで?」

「えぇ、聖魔法の中級くらいの魔法だから、皆使えると思うわ。」

「おぉー!ゴーストバスター出来るじゃん!」

「ソラ!だいじょうぶ!?」

「カノン!ミカが消してくれたよ。」

「さすが!天使ドラゴン!」

「そんでさ!私達も浄化魔法使えるらしいよ?」

「マジで?」

 花音と青空はミカを見る、そして浄化魔法を教えてもらった。



--------------------



「・・・。」

「ダイアビビりすぎじゃん?」

「ヒマリぃぃこわいぃぃぃ。」

「ゼル君ついてるから大丈夫だって。」

 大愛は悪魔ドラゴンのゼルを抱き締めながら歩く。


「あんまり抱き締めると苦しいんじゃない?」

「大丈夫だ、ダイアが全力で抱き着いたらキツイが。」

「大丈夫ならいいけどね~♪」

 日葵はリリを連れ先を歩く。


「・・・お?」

「何!?なになになになに!?!?」

「アレみてみ?」

 日葵は廊下の先にある絵を指差す。


「・・・絵じゃん。」

「うん、あの肖像画さ~。」

「なに!?なになに!?」

「ワッ!」

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」

「あははははははwwww」

「ひまりぃぃぃぃ!!!!!」

「半分冗談だよ。」

「半分って?」

「あの絵居るよね?」

 日葵はクゥクゥと話す。


「いるわね~。」

 クゥクゥは日葵の周りをくるくる回りながら呟く。


「ゼル!?ゼル!?アレ幽霊!?」

「あぁ、しかも魂残ってるぞ。」

「え?残滓じゃないの?」

「違うな、アレは残滓じゃない、霊魂そのものだ。」

「うっそん・・・ヤバい?」

「いや、悪魔は魂の扱いに慣れているからな。」

 ゼルはそう言うと小さなドラゴン姿から悪魔の姿になる。


「お?ニューバージョン?」

 角と蝙蝠の羽は変わらないが、顔は人の、服は執事の様な服に着替えていた。


「捕まえてアイトネ様の所に持って行くか?」

 ゼルがそう言うと2人は頷く、ゼルはその姿を見てクスッと笑うと壁の絵の前に立つ。


「ほぉ~、この家の主だった魂か?」

『・・・デテイケ』

「それは出来ないな。」

『デテイケ・・・サモナクバ』

「答えは変わらねぇよ。」

 ゼルはそう言うと壁に手を突き刺す。


『ggyぁぁぁぁgrrr』

 声にならない声で叫ぶ絵、そしてゼルの手には青白い光が握られていた。


「残滓ならそのまま消滅させるんだが、どうする?ダイア。」

「アイトネ様の所に持って行こ!」

「そうしよう!ゼル君そのままお願い!離さないでよ!」

 ゼルに言う2人は後退りする、そして駆け足でアイトネの所へ向かった。



--------------------



「ルプ、気配とかわかんない?」

 千春はテクテクと歩きながらルプに問いかける。


「分からない事も無い気もしない気がする。」

「どっちなのそれ?」

「教えたら面白くねーだろ?」

「あ、分かってた?」

「そりゃぁ分かるだろ、ウキウキじゃねぇか。」

 千春と魂が繋がるルプは千春が楽し気に探索している事を言う。


「千春余裕じゃん・・・。」

 頼子はビクビクしながら千春の腕を掴み話す。


「だってアイトネも居るし、この2人は土地神だし?」

「そりゃそうだけどさぁ・・・。」

 千春達も1階にある部屋を探索していた、そしていくつかの扉を開け部屋を見渡す。


「んーなんもないねー。」

 千春はキョロキョロと見まわすが変化が無くつまらなそうに呟く。


「ここ物置?」

「っぽいね。」

 頼子は木箱を見て呟く。


「新しいから南せんせーの物かな?」

「かもね。」

 部屋に入り見渡すが変化の無い部屋に興味を無くした2人は扉に手をやるとビェリーが呟く。


「あそこやね。」

 ビェリーの見る方をルプも見ていた。


「あそこに在るな。」

 ルプは部屋の隅に狼姿のまま歩くと木箱を器用に動かす。


「ルプ、何?」

「ココに隠し扉がある。」

「え?何処?!」

 ルプは木箱の下にある絨毯を捲り上げると木の床が見える、そしてその床をルプは魔法で削り飛ばすと金属の扉が現れた。


「ココだ。」

「おぉぉ!地下!?」

「多分そうだな、ここを通ったヤツの匂いが残っていた。」

「これは流石に見つけられんやろうねー。」

「ビェリー良く気付いたねぇ~。」

「ココだけ温度が低かったんよ。」

「熱探知?」

「そうば~い。」

 頼子も感心しながら扉を見る。


「んじゃ開けようか♪」

「マジか千春チャレンジャーだなぁ。」

「えー?そりゃ行くっしょー♪」

「大丈夫?」

「・・・大丈夫だよね?ルプ。」

「霊が居た所で遅れはとらねぇよ。」

「わっちもついとるけん大丈夫ばーい。」

 ルプとビェリーの言葉に安心する2人は頷く。


「それじゃ扉開けるよ?」

「千春そっちね。」

「おっけ、いっせーので行くよ?」

「うぃ~っす。」

「いっせーの!」

「「せ!」」

 微かに埃を撒きながら金属の扉は開かれた。





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