エイダン国王動く!
「あらあらあら・・・あららら。」
「アルデアどうしたの?」
アルデアは不意に声を上げるとマルグリットが話しかける。
「ヨリ達の方が凄い事になってるわ。」
「どんなふうに?」
「・・・既に屋敷が半壊ね。」
「あら~、よっぽど酷い事になってたのかしら。」
「えぇ、メリーナは体中痣だらけ、話を聞いていたら喉も潰されて声が出せなかったみたいね。」
「・・・酷い。」
アルデアとマルグリットの話を聞き、氏族長のトゥルソとリータは目を見開く。
「大丈夫なのですか?」
リータはアルデアに問いかける。
「えぇ、ヨリ達が回復魔法で治したわ。」
「ヨリ・・・達?」
「えぇ、アイトネ様にお願いしたみたいよ?「聖女にして」って。」
「そう・・・それほど酷かったのね。」
そう呟くマルグリットの横でエイダン国王はポツリと呟く。
「あの時潰しておけばよかったのぅ。」
遠くを見つめながら呟くエイダン。
「あの時?」
アルデアが問いかけるとマルグリットが答える。
「冒険者時代に行った事があるのよ。」
そう言うと眉間に皺を寄せながら話始める。
「あの時・・・ルクも巻き込まれる事件があったの。」
「ルクレツィアさん?」
「そう、あの子獣人でしょう?ジャシールの獣人差別は知っていたけれどあそこまで酷いとは思わなかったわ。」
「そうじゃな、他国の文化じゃ、儂らよそ者が口出しする事では無いのじゃが、あまりにも酷い扱いをしていた人間にルクレツィアがキレたんじゃ。」
「そこから私達と衛兵との大乱闘。」
「何をいっとる、お前達が一方的に殲滅したじゃろうが。」
苦笑いで答えるエイダン。
「それで、チハルの方は?」
「今話をしているわ、アイトネ様の様子からして、この貴族はまともね。」
「そう、チハルの方は大丈夫そうね。」
「えぇ・・・あーヨリの方はかたが付きそうよ。」
アルデアはクスッと笑みを浮かべる。
「ヨリ達は殺してない?」
「えぇ、でもほぼ瀕死ね。」
「ビェリー達?」
「一番やってるのはリリとクゥクゥね、相当怒ってるわ。」
「妖精を怒らせるなんて、バカな貴族ね。」
「その次はモリアンが多いわね。」
「そのバカ貴族はどうなんじゃ?」
「まだ生きてるわよ、もう動いてないけれど。」
状況を説明しながらアルデアは目線を変える。
「ジャシール王を見つけたわ。」
「どうせろくな王じゃないでしょうね。」
「その様ね、商人と話しているみたいだけれど、獣人どころか市井の人すらゴミ扱いしてる、笑い方も汚い、反吐が出るわ。」
汚物を見たように顔をしかめるアルデア。
「ふむ。」
エイダンは一呼吸置くと立ち上がりユラ達の所へ行く。
「ユラ、イーレン、妖精を借りてもいいかの?」
「はい?」
「ポポを?」
「あぁ。」
エイダンはニコッと微笑むと妖精2人を見る。
「王様なにするの?」
「ん、ちょいとあの国を潰そうかと思ってのぅ。」
「楽しそう!」
「何したら良いんだ!?」
「ちょいと竜騎士団を呼ぶだけじゃよ。」
「エイダン?!」
「エイダン国王?本気なの?」
「うむ、たまに市井に行くんじゃが、調和のとれた種族達を見るのが楽しくてのぅ。」
「よく抜け出してるものねエイダン国王。」
「・・・獣人や妖精族にも友達が出来てのぅ、迫害されるのは見たくないんじゃ。」
市井の居酒屋で楽しく飲んでいた友を思い出すエイダン。
「ただ、今、国を潰すと獣人の暴動が起きるのが怖いのぅ。」
「確実に国が落ちれば起きるでしょうね。」
「何かいい知恵は無いのかしら?」
2人の言葉にアルデアが呟く。
「うちの旦那達に聞いてみる?」
春恵は虚空を見つめながら話す。
「タイキ殿か。」
「えぇ、あの人と勇さん、あと啓治さんと翔平さんも一緒に戦国談義してたわ、歴史からの知恵が出てくるかもしれないわ。」
「ほう、それは良いかもしれぬのぅ、ハルさん一緒に一度戻って貰えますかの。」
「旦那の方は今集まってるから呼んで来るわ、エイダンさんは竜騎士団の方を準備してもらえます?」
「わかった、ルル、ポポ頼む。」
「「おっけ~!」」
2人は直ぐに外へ出ると氏族長の広い庭にフェアリーリングを作る、春恵は手を振り消えた。
「国王いくよ!」
「王様!はやくはやく!」
「お、おうちょっとまて、メグ!チハル達が帰ってきたら話をしておいてくれ。」
「分かったわ。」
そう言うとエイダンは妖精2人と一緒に消えた。
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「たいちゃん♪」
「うわっ!ハル?どうしたの!?」
「ハルさん、どうしたんですか?」
「珍しいですねこっちに顔を出すの。」
パパさんズは勢揃いで春恵を見る。
「ちょっと知恵を借りたいのよ。」
「お?俺に分かる事なら。」
「みんなにも聞いて欲しいの。」
春恵はそう言うと千春達が動いている事、そしてエイダンの話からこれからの事を話した。
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「奴隷解放宣言の時はどうだったかな。」
「アレは南北戦争の戦力を削る為の施策だ、その後も酷い話だったぞ。」
「あぁ人種差別は無くならない、今現在でも残る問題だからな。」
「日本を見習えば良いのにな。」
「肌の色の違いで偏見しないからな。」
「話逸れてっぞ。」
「おっと、そうだなぁ・・・それぞれの種族に代表を作らせるとか。」
「それが早いんだよな、今のジャシール国の国王は没するだろうからな。」
「確定事項だろう。」
「そうなると・・・人と獣人の代表か?」
「出来ればもう1つの代表が欲しいな。」
「・・・妖精族か?」
「うん、人と獣人、二つの種族だけでは絶対に対立は続くだろ。」
「妖精族かぁ・・・。」
「別に妖精族じゃなくても良いんじゃないか?」
「例えば?」
「・・・ほら、チハルの部屋で一緒に遊んでる3人。」
「あ~、イーナちゃんか。」
「あぁ魔族だろ?」
「魔族か、魔国から誰か呼ぶのか?」
「うーん、難しいだろうなぁ。」
パパさんズは解決案を考えるが中々出て来ない。
「千春が聖女の言葉として平和を訴えれば人間はある程度影響ありそうだがなぁ。」
ポツリと呟く大樹に春恵が話しかける。
「あ、そうそう、ユラちゃん、イーナちゃん、あとレンちゃん全員聖女になったわよ。」
「「「「「「はぁ?!」」」」」」
パパさんズは目を見開き驚く。
「あと、女子高生達も全員聖女になりました~♪」
楽し気に話す春恵にパパさんズは顎が外れたのかと言うくらい口をポカンと開ける。
「待て、話が変わるぞ。」
「あぁ、獣人の聖女と魔族の聖女が居るわけだ。」
「人の聖女、イーレンちゃんは同じくらいの歳だろ?」
「あぁ、この三人に扇動させるのもアリだな。」
「ただどうやって扇動させるかだ。」
「竜騎士団を呼ぶんだろ?城を潰せば注目される、そこで何かしらの文言を・・・。」
「プロバガンダか。」
「あぁ、3種族の幼女、そして聖女だ、目を引くだろうし話も聞くだろ。」
「それに女神やモート神も居るわけだ。」
「ドラゴンもな。」
「うん、イケそうだな。」
「よし、向こうに行ってエイダンさんと話を詰めるか。」
パパさんズはそう言うと立ち上がる。
「ハル、移動手段は?」
「ジブラロールでルルとポポが待機してるわ、人数が多いようなら私が送るから大丈夫よ♪」
「流石女神だなぁ。」
「えへっ♪」
「はいはい、いちゃつくのは終わってからにしてくれよタイキ。」
そう言うとパパさんズは準備を終わらせ集まる。
「それじゃジブラロールに行くわね。」
春恵はそう言うと手を広げると皆はその場から消えた。
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