雨音を聞きながらまったりタイム!
「御機嫌麗しく、チハル王女殿下。」
「フランちゃんおはよー、朝からどうしたの?」
「お母様の用で登城致しましたのでご挨拶にと。」
「はいってはいってー♪」
フランシスはお辞儀をすると部屋に入る、そして初めて見る女性を目にし挨拶を交わす。
「初めまして、フランシス・オーレンと申します。」
フランシスはこの女性が日葵の姉、陽菜だろうと礼をする。
「ご丁寧に、日葵の姉の陽菜と申します。」
「フランちゃんお菓子食べるー?」
気さくに声を掛けソファーをポンポンと叩き座るように促す千春。
「失礼致します。」
「どうしたの?フランちゃん、何か緊張してない?」
「そ・・・そうですか?」
「うん、あと様付け禁止ね。」
「・・・はい、チハルさん。」
サフィーナのお茶を受け取ると一息つくフランシス。
「で?」
「え?」
「何か悩み事あるっしょ?」
「・・・悩み事と言うか、お茶会にお誘いさせて頂きたいと思いまして。」
「ん、良いよ?」
「あの・・・ヒナ様もお呼びしたいのですが。」
「ヒナねーちゃん?」
2人は陽菜を見ると、キョトンとした顔でフランシスを見る。
「お茶会って何するの?」
「お菓子食べながら駄弁るだけだよ。」
「あの、チハルさん、いつものお茶会ではなく貴族が集まるお茶会です。」
「あ、そっちのお茶会?」
千春はいつもの身内だけのお茶会だと思っていたが違っていたようだ。
「はい、オーレン公爵家主催のお茶会で御座います。」
「へぇ~、ヤーテちゃんとかテールキちゃんも来るの?」
「はい、呼びます。」
「そっか、ヒナねーちゃん行く?」
「ん~・・・あんまり興味無いんだよね~。」
乗り気では無い陽菜を見て焦るフランシス。
「あ、あの、チハル様の考えられたお菓子が沢山でまふ!」
「へ~、チハルちゃんお菓子も作ってんだね。」
「あと!あと!えっと!えー・・・美味しいお茶も・・・ありましゅ。」
「フランちゃん、その心は?」
焦るフランシスを見て千春が突っ込むと、うつむいたまま黙るフランシス。
「チハル、ヒナさんを呼ぶと言う事はそう言う事ですよ?」
困ったフランシスを見かねてサフィーナが話す。
「どういう事?」
「これは私の考えなので、フランシス嬢は何も言ってません、宜しいです?」
「・・・あー、はいはい、了解。」
察した千春は頷く。
「ヒナさんは相方が決まっておりません。」
「うん、さっきも話してたもんね。」
「はい、聖女であり王女であるチハルの御友人の姉、そしてその御友人ヒマリは他国とは言え次期王妃になる者です。」
「あ~ね。」
「ユゲ家はまだ爵位を貰っておりませんが、近々確実に貴族となります。」
「そうなの?」
「え?そうなの?」
千春と陽菜がサフィーナを見る。
「はい、間違いなく、ジブラロールもしくはブルーワグ、それか両国で頂くことになるでしょう。」
「え?両国で爵位貰えるの?」
「貰えますよ、実際に持っている貴族も居ますので。」
「へぇ~・・・って事はこのお茶会って貴族の繋がり的な目的なのかぁ。」
千春はそう言いながらフランシスを見ると、両手で顔を隠したままうつむいていた。
「ん~、まぁ行きましょうか。」
陽菜は何でも無い様に答えるとフランシスはガバッと顔を起こし陽菜を見る。
「本当で御座いますか!?ヒナ様!」
「うん、貴族が集まるお茶会って考えてみたら良い経験になりそうだし、別に男が嫌いって訳じゃ無いし?」
「それじゃ私も行くかぁ、ヤーテールキにも会いたいし。」
「チハルさん、そこくっつけて言わなくても良くないです?」
「いいじゃん、あの2人いっつも一緒だし。」
モリアンの突っ込みに笑いながら答える千春。
「で?いつやるの?」
「えっと、えっと・・・まだ決まっておりませんが近日中にご連絡させて頂きます。」
「そっか、時間あるならヒナねーちゃんのドレス作らないとだねー、サリナお願いしていい?」
「はい、すぐに。」
サリナはそう言うと部屋を出て行く。
「フランちゃんも大変だね~。」
「・・・申し訳ありません。」
「問題無いわ、貴族令嬢も大変よねぇ、そこはあっちの物語とかでも・・・あ、あっちの話しても大丈夫?」
「うん、フランちゃんは知ってるし、なんなら日本に遊び行ったし。」
「おぉ!フランちゃん!日本に行ってみてどうだった?感想教えて!」
陽菜は異世界の住人が日本に行った感想が気になりグイグイ問いかける。
「はい!物凄く凄かったです!金属で出来た箱が走って!あとケーキが美味しかったです!」
「ケーキ?」
「うん、バイキング連れて行ったんだよ。」
「あ~あの街にあるデザートバイキング?」
「そ、めっちゃ食べたよねー。」
「はい!物凄く美味しくて!沢山食べ過ぎちゃいました!」
嬉しそうに話すフランシス。
「ケーキかー、ケーキ食べたくなったなー。」
「ヒナねーちゃんケーキあるよ?」
「え?マジで?」
「うん。」
千春はアイテムボックスからホールのケーキを取り出す。
「うわぁ!何この本格的なケーキ!」
「これ王宮料理人シャリーちゃんお手製ケーキかっこ特別仕様かっことじ。」
「なにその特別仕様って。」
「チハルさん・・・それって。」
「うん、フランちゃんが思ってるの正解。」
「また作ったんですか?!」
「無くなったら定期的に作って貰ってるねぇ。」
「ちょっと2人だけ分かって何話してるの?何のケーキなの?」
「これ世界樹の実のケーキなの。」
「・・・またヤバそうな物作ってるわね。」
「実際にヤバいらしいよwww」
千春が軽~く言うとヘドバンかと思う程にフランシスが頷いている。
「サフィーこれ切ってもらって良い?」
「はいどれくらい食べますか?」
「んー、結構デカいからなぁ。」
今時このサイズは売ってないだろうと言わんばかりのケーキを見ながら「これくらい。」と指差す、サフィーナは慣れた手つきでケーキを切り分け小皿に分ける。
「サフィーも食べよ。」
「いただきますね。」
「・・・・・・。」
「はいはい!モリーも食べようか!」
「はい!」
嬉しそうに返事をするモリアン、すると蝙蝠が降りて来る。
「ん?アルデア?」
千春が蝙蝠に声を掛けるとアルデアが現れる。
「美味しそうね♪」
「一緒にたべよ、沢山あるから。」
「頂くわ~♪」
「アイトネー。」
『はーい!あなたのアイトネよ~♪』
「いや、私のじゃないっしょ、食べる?」
『もちろん!』
クスクスと笑いながらケーキを取り分けるサフィーナ、モリアンはお茶を準備する。
「あ、雨降って来た。」
不意に外を見る千春。
「さっきまで天気良かったのに。」
陽菜も不思議そうに外を見る。
『邪魔されずゆっくりお茶したいじゃない?』
「アイトネがやったのかぁ、それじゃ告白タイムは雨が上がるまで延期だね。」
「やったぁ!アイトネ様大好きです!」
大喜びするモリアン、アイトネはニッコリ微笑む。
「それじゃいただきましょ~!」
「「「「「いただきまーす。」」」」」
「んー!美味しい!チハルちゃんすっごい美味しい!」
「でしょぉ~、世界樹の実単体で食べてもたいして美味しくないんだけど、ケーキにしたりジャムにすると美味しいんだよねー。」
「シロップ漬けとか良さそう。」
「あー良いかも、保存きくし。」
『チハルは保存加工しなくても保存出来るじゃない。』
「ちゃうねん・・・シロップ漬け美味しいんだって。」
『そうなの?今度作って♪』
「いいよーん。」
なんでもない、くだらない話をしながら女性達は雨音を聞きつつのんびりとした時間を過ごした。
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