二度目の年末!
「年末ですにゃぁ。」
「年越しどっちでやる?」
「こっちで良いんじゃね?」
「初詣は行きたいな。」
「私さー初詣でルプに会ったんだよ。」
「あーあの近くの神社?」
「今カラスくんが居るんだっけ。」
「居るねー。」
JK軍団は千春の応接間でトランプをしながら話す。
「年越し蕎麦は?」
「乾麺買ってるから茹でるだけー。」
「千春って蕎麦打ちしないの?」
「は?なんで?」
「いや、なんでって・・・作りそうじゃん。」
「ヤだよめんどくたい。」
「そういやパパが前蕎麦作ってたなぁ。」
「マジで?」
麗奈は思い出しながら呟く。
「うちのお父さんは無理じゃないかなー。」
「どうだろ・・・ちょっとまってね。」
麗奈はそう言うとLIMEを送る。
ピロン♪
「・・・お、作れるって。」
「おー!マジか。」
「うん、でも道具が家にあるから取りに帰らないとだってさ。」
「道具って何が居るんだろ。」
千春はスマホで検索する。
「そば打ち台?のし台?あとめん棒。」
「綿棒?耳掃除すんの?」
「ちゃうわ!麺を伸ばすやつだよ。」
「あー、そっちね。」
「今の話の流れで分かれよミオ。」
ゲラゲラと笑いながら賑やかに話すJK軍団。
「あ、こね鉢ってのもいるっぽい。」
「どれどれ?」
千春は画像を頼子に見せる。
「これって金属でも良いのかな。」
「ヨリ作れる?」
「多分いけんじゃないかな、材料はあるし。」
「棒も作れるんじゃね?」
「私も手伝うわ。」
麗奈も同じ様にスマホで調べながら言う。
「あとはー・・・そば粉?」
「ネットでも買えるけど時間ないな・・・たけぇ!」
「え?いくら?」
「500g3個で1万超え。」
「それめっちゃ良いそば粉じゃん。」
「ジブラロール産のそば粉ないの?」
「そば自体はあったよ、おやきみたいなの焼いて売ってたし。」
「あ、食べたわソレ。」
「ルノアーさんに聞いたらあるかもね。」
JK達は必要な物を調べていく。
「チハル、商業ギルドに行けば有ると思うわよ?」
サフィーナはクスクスと笑いながら千春に言うと、千春はポンと手を打つ。
「ソレだ!んじゃヨリとレナは道具作ってくれる?私そば粉買って来るわ。」
「うぃーっす。」
「ほいよー。」
「ウチらは?」
「お父さん達連れて来てもらえる?」
「おっけー!ソラ、ダイア行こう!」
「うぃーっす!」
「肉体労働はお父さん達に任せるべぃ。」
皆は立ち上がる。
「それじゃ行ってくんねー。」
「チハル、出かける時は報告でしょ?」
「・・・商業ギルドに行くだけだよ?」
「別に良いわよ?後で怒られるのはチハルだもの。」
「サフィーのいぢわるぅぅぅ。」
「はいはい、連絡させるから待っててください。」
笑みを浮かべながらサフィーナはナッテリーに言うと、ナッテリーは直ぐにエンハルトの所へ走って行った。
------------------
「チハル様、了解頂きました。」
「はーい、それじゃ行きまっしょー。」
千春が箒を取り出すと、サフィーナ、サリナ、そしてワークスも庭に出る。
「いってきまーす。」
「いってらー。」
「気を付けてねー。」
「あの護衛で何を気を付けろと?」
「いや、テンプレじゃん?」
「あ、そういうやつね。」
頼子と麗奈が話している間に千春はあっという間に見えなくなった。
------------------
「お、やってるな。」
「ヨリ、お父さんもそば打ちした事あるぞ。」
「マ?」
「おう、お前も食べた事あるぞ?」
「いつ?」
「これくらいの時だ。」
頼子の父、勇は膝より下に手を置く。
「小さすぎ!覚えてないよ!」
「で?それは捏ね鉢か。」
「うん、小さい?」
「んーもう少し大きい方が良いだろうな、何人分作るんだ?」
「えっとぉ、私達とお父さん達でしょ、お母さんも食べるっしょー、ビェリーも食べるよね?」
「勿論食べるばい!」
「ルプ君とロイロちゃんも食べるじゃん?」
「食べるだろうね。」
「あと!あの人!」
「え?誰?」
「ほら、呼んだら来る人。」
「あー・・・ヨリ、誘導してね?」
「・・・バレたか。」
「あぶなぁ、名前呼ぶところだったよ。」
「誰の?」
「アイとn・・・。」
『呼んだ?』
「・・・ヨリぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「ぎゃははははあはははあははは!!げふぉげふぉげふぉ!」
『楽しそうね~♪』
「アイトネ様そば食べます?」
『今から作るの?』
アイトネは頼子と麗奈の手元を見ながら問いかける。
「はい、その道具作ってます。」
『手伝う?』
「作れます?」
『もちろん♪』
アイトネはそう言うと頼子の手元にある金属に手を振る。
「おぉぉぉ!レナ見て見て!」
「・・・うん・・・すごいすごい。」
「ヨリ、蕎麦はあるのか?」
「今千春が買いに行ったよ。」
「こっちにもそば粉あるのか。」
「うん、普通にあったね。」
「カズヤ、こっちのそば粉で作れるのか?」
麗奈の父、和也に勇が問いかける。
「多分大丈夫だろうね、蕎麦の粘りが足りなければ小麦を混ぜるし、十割蕎麦より失敗は少ないと思うから。」
「よし、ケイジもやるよな?」
「やった事無いぞ?」
「私も無いですねぇ。」
美桜の父、啓治が言うと千春の父、大樹も不安げに答える。
「ま、やってみりゃ良いだろ、アイトネ様捏ね鉢もう少し作れますか?」
『出来るわよ~♪えい!』
アイトネはそう言うと手を振る、すると鉢の材料も無い所に鉢が現れる。
「素材すら要らなかった。」
「うちらの仕事ないなったよ。」
「麺棒作れば良いんじゃね?」
『麺棒も作るわよー♪えい!』
「アイトネ様そんなポンポン作って大丈夫なんですか?」
『大丈夫よ♪特別な仕様じゃないから♪』
「麺伸ばす棒に特別な仕様って何が付くんだろうねぇ。」
「破壊不可とか。」
「ヤバすぎじゃんソレ。」
呆れる様に2人は父達が手にする麺棒と捏ね鉢を見る。
「よし、それじゃ着替えるか。」
「流石にこの格好じゃまずいな。」
貴族の礼服の様な姿のパパさんズは部屋を移動し着替えに向かった。
「ヨリちゃーん!蕎麦つくるんだって?」
「お母さん達も来たの?」
「来るわよ、年末行事でしょ!」
「ちょっと色々買い出ししたいわよね。」
「そうね、ハルさんあっち送ってもらえるかしら。」
「あら、私も一緒に行くわ。」
「モチとか買いたいわね。」
「鏡餅飾る?」
「良いわね、ついでに食材も買って来ましょう。」
ママさんズはワイワイと話しながら部屋を出て行くと日本に買い出しに向かった。
------------------
「ただいまぁ!」
「おかえり千春。」
「おぉ、揃ってるねパパさんズ。」
「やる気満々だよ。」
「助かるぅ~♪」
千春はそう言うとアイテムボックスからそば粉を大量に取り出す。
「・・・買いすぎ。」
「いやぁ、すっごい安かったんよ。」
「そうなの?」
「うん、小麦の半分くらい。」
「マジで?」
「パンの需要増えて小麦の方が高いんだってさ。」
「えーそれって大丈夫なの?」
「大丈夫らしいよ、小麦が高くなったんじゃなくて蕎麦が安くなったらしいから。」
「えー、蕎麦農家大変じゃん。」
「年越しそばとか流行らせたら値段上がるんじゃない?」
横で聞いていた美桜が言うと待ったがかかる。
「千春、そんなに安いの?」
「うん。」
「イサム、あれ進めれるんじゃないか?」
大樹はニヤリと笑い勇を見る。
「だな、なんなら買い占めても良いくらいだ。」
「ムカイ領でも作らせるか?」
「アリだな。」
パパさんズはコソコソと話始める。
「お父さん何企んでるの?」
「千春、蕎麦って色々使えるんだよ。」
「麺以外に?おやきとか?」
「チッチッチ、お菓子も出来るし蒸してそのまま食べるのもあり、何より・・・焼酎!」
「酒かい!」
「サツマイモっぽい芋があったからね、蒸留装置を作ったんだ、麦焼酎も作れるし蕎麦焼酎も作れる!」
「楽しみだな!」
盛り上がるパパさんズをJK軍団はジト目で見る。
「パパ、それはアッチでゆっくり話して、蕎麦打ち頑張ってよ!」
「おう!任せろ!行こうイサム。」
「いっちょやったるかぁ。」
パパさんズは腕捲りをし、厨房に入って行った。
「ウチら何するの?」
「言い出しっぺなんだけどねぇ。」
美桜と麗奈が言うと千春はアイテムボックスから乾物を取り出す。
「出汁でも作るかな。」
「手伝うわ。」
「私もー。」
「ウチも手伝う。」
「私も~♪」
「うちも~。」
「私もやりたい!」
皆は手を上げ千春を見る。
「そんなに人必要ありませ~ん、レナはヒマリ迎えに行って、ヨリは買い出しお願い。」
「何買うん?」
「ジュースとお菓子。」
「了解!」
「ウチらは?」
「彼氏でも連れてこーい!」
「わかった!ハース領行って来る!」
「トラディさん居るかなぁ。」
「ステルさんとこ行ってくるわー!」
皆は千春に言われ散っていく。
「・・・さて、ダシ作るか。」
「チハル、厨房入れないわよ。」
「え?」
千春とサフィーナは厨房を覗くとパパさんズがテーブルを占領し蕎麦を捏ね始めていた。
「・・・食堂の厨房借りよっか。」
「そうですね。」
ポツリと呟く千春にサフィーナは頷くと、2人は食堂に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます