女性は怖い!by石田

「アヤネちゃんおかえりー!」

「ただいま~、元気ね平田さん。」

「石田おつかれ~。」

「・・・おぅ。」

 学園を訪問し、その後王都を観光した南と石田は千春の部屋に戻っていた。


「石田せんせ~疲れてんねぇ~。」

「・・・そんな事は無いぞぉ。」

「アヤネちゃん王都で引っ張りまわしたんでしょー。」

「そうでも無いわよねぇ?」

「はい!そんなこと無いですよ?!」

「はい、石田せんせ、お茶飲んでゆっくりして。」

 千春はソファーに2人を座らせる。


「この人達がチハルちゃんの先生?」

「そだよー。」

「どうも~♪冒険者やってるユーリンです!」

「同じく!シャルルで~す♪」

「初めまして、南アヤネです。」

「どうも、石田ケンタです、その年で冒険者?藤井達と変わらないよな?」

「うん、ユーリンは同じ歳、シャルルは16歳だよ。」

「で、南ちゃん、石田せんせ、どうだった?学園。」

 千春は南に問いかける。


「歳は中学から高校くらいだけれど、内容は小学生の義務教育レベルね。」

「あ~そんな感じだったなぁ、途中で藤井がやってる孤児院にも寄ったんだが孤児院の方が進んでたぞ。」

「マ?」

「あぁ、少し見せてもらったがドリルを渡しているんだな。」

「うん、100均のドリルをこっちで翻訳してもらって渡したの、石田せんせ文字読めたの?」

「いや、読めないが数字は覚えた、内容は分かったよ。」

 2人は感想を千春に伝えるとお茶を口に含み一息入れる。


「アヤネちゃん王都どうだったー?」

 美桜はニコニコしながら南に聞くと興奮気味に南は答える。


「凄かったわ!見てこれ!」

 南はそう言うとアイテムボックスから買った品を取り出す。


「使いこなしてんねー。」

「いいなーアイテムボックス。」

「ヨリ達は良いじゃん、影収納できるし!」

「ねー私ら使えないもんねー。」

「まぁアイテムボックスの魔道具は貰ってるから言う程不自由はしてないけど。」

 アイテムボックスと影収納が使えない青空と日葵、そして美桜が頷く。


「これこれ、ほら!」

 南は綺麗な青い石が嵌められたネックレスをJK達に見せる。


「おぉー綺麗、宝石?」

「宝石じゃ無いみたいよ?結構安かったもの。」

「いくらだったの?アヤネちゃん。」

「銀貨1枚、日本円で1000円?」

「安いな。」

 南達が話をしていると横で見ていたユーリンとシャルルが答える。


「それ、リーモア領の特産だよ。」

「そうそう、山の方で沢山獲れるんですよ、若い冒険者や子供達が採りに行くんですよね。」

「良いお小遣いになるらしいんでリーモアの冒険者ギルドの常時依頼にあるもんね。」

「ユーリン行ったら沢山持って帰れるんだけどねー。」

「ヤだよぉ、リーモア寒いもん。」

 ユーリンとシャルルは説明しながらリーモア領の事を話す。


「へぇ~、コレ石なの?」

「氷属性の水晶だよ?」

「属性水晶とか有るんだ。」

「うん、熱い所や火山がある所には火の水晶、森の中には木属性、水の中には水属性の水晶が出来るんだよ。」

「・・・あ、アレだ!アリンさんが持ってた石!」

 不意に頼子が思い出すと千春も思い出す。


「あー!そう言えば初めてこっちに来た時見せてもらったわ!でも説明何もしてくれなかったよあの人。」

「・・・ごめんね?」

「ヨリは悪く無いよ、アリンが変なだけだから。」

「・・・それはそれで悲しい。」

「どんまいヨリ。」

「それじゃコレ何か効果あるのかしら?」

 南は青い石を手に取り問いかける。


「魔力を通すと冷えますよ。」

「へぇ~。」

 南は軽く魔力を通すと驚く。


「うわぁ冷たい!」

「南ちゃん触りたい!」

「はいっ。」

「うぉ!つめたっ!」

「チハル!ウチも触りたい!」

「ほら!」

「うひょ!つめたっ!」

 楽し気に石を触りながら騒ぐ面々、すると蝙蝠がパタパタとシャンデリアから降りて来る。


「ん?アルデア?」

 蝙蝠は床に降りるとアルデアが現れた。


「こんにちはチハル。」

「いらっしゃい、次誰だっけー?」

「はーい私でーす♪」

 日葵が手を上げる、南と石田はキョトンとした顔でアルデアを見る。


「あら、初めまして、私はアルデア・ド・ルシーと申しますわ。」

 軽くゴスロリのスカートを摘まみカテーシーのような礼をするアルデア。


「初めまして、藤井・・・チハルちゃんの教師をしている南綾音と申します。」

「どうも、石田健太です・・・あの、噂のヴァンパイアの子?」

 石田は南を見ながら呟くと南も「多分。」と答え千春を見る。


「うん、ヴァンパイアのアルデアだよ、見た目は私達と同じだけど5000歳くらいの真祖ヴァンパイアなの。」

「そうそう、某国を1人で制圧出来るヤバい人。」

「やってたねー、しかも眷属が更にヤバいって言うね。」

「カオスドラゴンのカオちゃんな。」

 千春や頼子、青空達も一緒に説明をしていると日葵とアルデアは椅子に座る。


「はいアルデアちゃん。」

「いただきます♪」


かぷっ


「本当にヴァンパイアなのね。」

「居るんだなヴァンパイア。」

 2人が見ているとアルデアがチラリと石田を見る、そして顔を赤くする。


「はーい!はいはい!石田後ろ向いてー!」

「ダメだよ~アルデアは見られてると恥ずかしがるから。」

「ほら!石田!見たらダメ!」

 頼子に頭を横に向けられ、千春は視線を遮ると美桜は石田の目を押さえる。


「みない!みない!ちょっとお前達!見ないから!首折れる!」

「可愛い子ね。」

「うん、可愛いでしょ。」

 千春は何故か嬉しそうに南へ答える、そしてアルデアの食事が終わるまで南の買って来た物で盛り上がった。



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「ぷはぁ。」

「もういい?」

「うん、ありがとうヒマリ。」

「いいえ~♪どういたしまして♪」

 日葵が言うと横に立っていた青空が回復魔法で傷を癒す。


「アルデア今日の夜空けてる?」

「勿論、って言うかいつもヒマよ、来なかったらイーナがウルサイもの。」

「イーナは?」

「ユラにくっついてるわ、もうすぐ学園終わって帰って来るわよ。」

「いつもありがとうねー。」

「あの子が好きでやってるから構わないわよ。」

 クスクスと笑い千春の横に座るアルデア。


「・・・あ。」

「どうしました?」

「いえ・・・その・・・。」

 ごにょごにょと呟く石田に南は顔を傾げる。


「何?石田せんせ。」

「なにー?きになるー。」

「途中で止められると気になるよねー。」

 テーブルに居た大愛や花音達も石田を見る、皆に見られ石田は言葉に詰まりながら呟く。


「ほら、その・・・アヤネさんが言ってた子が今揃ってるなと。」

「アヤネちゃんが言ってた子?」

 美桜は石田に言葉を返す。


「あぁ、その、アイテムボックスが使える人・・・。」

 チラッと南を見る石田は目が合うと、サッと目を逸らした。


「南ちゃーん眉間に皺よってるよー。」

「あー条件的な事聞いちゃった感じ?」

「言って無いんだ、アヤネちゃん。」

 JK達に言われ頷く南。


「怯えすぎでしょ。」

「何したの南ちゃん。」

「・・・次聞いたらグーで殴るって言ったの。」

「「「「「「「あー。」」」」」」」

 皆はそう言うと石田を見る、石田はそっぽを向いたままだ。


「千春、それって確定じゃないでしょ?」

「いやぁ確定じゃん?」

「まぁ確かに・・・。」

「ウチら無理だし他の人も無理だもんね。」

「使える男性皆無ってのも分かんないよね。」

 JK達がコソコソと話していると扉が開く。


「いたー!南先生!」

「ココに居たのかー、客間に戻ったかと思ったわ。」

 ママさんズがワイワイと部屋に入って来る。


「千春ちゃん南先生借りるわよ?」

「いや、私じゃなくて石田せんせーに聞いた方が良くないです?」

「・・・石田先生どうしたんです?」

「いえ!どうもしてません!」

「南先生借りて良いかしら?」

「えっと・・・。」

 石田が南を見ると頷いている。


「どうぞ。」

「はーいそれじゃお借りしますね~、南先生一緒に来てください♪」

 珍しくテンションが高い智美は南の手を取り部屋を出て行く。


「・・・はぁぁぁぁぁぁ!」

 大きな溜息を吐いた石田にJK達が突っ込む。


「石田、もし気付いても口に出してはならぬぞよ?」

 美桜はニヤリと笑いながら石田に言う。


「・・・いや、もうなんとなくわかったから。」

「ほほう?答え合わせしとく?石田せんせ~?」

 眉間に皺を寄せながら圧をかける千春、そう、石田の視線が千春、アルデア、そしてサフィーナとユーリンの胸に行っていたからだ。


「いや!しなくていい!しない!もう聞かないし言わない!」

 両手をプルプルと振りながら千春に言う石田。


「担任の威厳消えてんなぁ。」

 ポツリと呟く麗奈。


「しゃーないじゃん、こっちじゃただのおっさんだもん。」

 真顔で答える大愛。


「いや、チハルにお願いされて来たんだからそれは可哀そう。」

 花音は哀れむ目で石田を見ながら呟く。


「俺はまだ28だおっさんじゃねぇぞ!」

「おっさんじゃん。」

「おっさんじゃん?」

「おっさんだよね?」

「十分じゃん。」

「おっさんですよ?」

 JK達に即答された石田はがっくりと項垂れる。


「・・・私5000歳だけど?」

「アルデアは永遠の18歳で良いんだよ。」

「そうなの?」

「そうだよ?」

 千春が言うとJK達は頷く、石田はもう一度溜息を吐くとポツリと呟いた。


「女って怖ぇ~・・・。」






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