side:クリパ前の皆さま!
「ケーキの準備終わりましたぁ!」
シャリーはやり切った感を出しながらルノアーに伝える。
「ご苦労さん、休憩してくれ。」
「いえ!手伝いますよ♪」
「悪いな。」
「何言ってんですかぁ、王族の方やチハルちゃん達以外の料理も作るんでしょー?」
ルノアーはパーティー用にしては多すぎる料理を次々と準備していた。
「チハルさんの事だ、この日は毎年やる事になるだろうからな、それなら兵士や侍女達にも食べさせたいじゃないか。」
「カッコいいなぁ、それじゃ私はローストビーフのソース作りますねっ!」
シャリーはそう言うと調味料を取りに動く、ルノアーは唐揚げや鳥の丸焼き、唐揚げにポテトフライと、千春達が言った料理を盛り付けながら作業を進めた。
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「アリンハンド様、花火の準備が出来ました。」
「うん、ありがとう。」
「2日連続で花火は王都の人達も驚くでしょうね。」
「これもヨリさんがくれた上質な魔石のおかげですからね。」
「この魔石1つで・・・いくらになるか知らないのでしょうか?」
「知ってますよ、教えましたから、1つで軽く1大月は遊んで暮らせるんですよねぇ~。」
土魔法と火魔法、そして風魔法を織り交ぜた爆裂魔石を手に取り呟くアリンハンド。
「昨日だけで100は飛ばしてますからねぇ。」
「今日もそれくらいですね、それから宰相様より追加の花火を依頼されました。」
「次の催し・・・あぁ豊穣祭で使うんでしょうか。」
「あと、商業ギルドのメイソン様からも打診が。」
「来るとは思いましたが、やっぱり来ましたか。」
「はい、大店商店からの相談もあったそうです。」
「今コレが作れるのはヨリさん達と魔導士団だけですからね。」
珍しくアリンハンドは悪い顔で笑みを浮かべる。
「儲かりますか?」
「めちゃくちゃ儲かりますねぇ、魔導士団は研究費も使いますし、ヨリさん達が見つけた遺跡の調査もお金が掛かってます、助かりますね。」
「ヨリ様には?」
「言いましたよ、お礼をと・・・「いらない。」って笑って言われました。」
「あの方達って欲は無いんですかね。」
「無いですね。」
「勿体ない。」
アリンハンドは魔導士に苦笑いで答える、魔導士団もお給金を貰い生活している以上一般市民と変わらない感覚なのだ。
「それでは時間が来るまで皆さんゆっくりしていてくださいね。」
「はっ!」
アリンハンドはそう言うと魔導師は退室する。
「さて、私も準備しますか。」
アリンハンドは机の引き出しから箱を取り出す。
「これ受け取って貰えますかねぇ。」
小さな箱に入った指輪を見ながら微笑むアリンハンド、心配そうな事を言うが顔は貰ってもらえると確信したように微笑んでいた。
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「ただいま戻りましたぁ!」
ユーリンは大きな声で冒険者ギルドに入る。
「ユーリンさん!ギルマスがお待ちですよ!」
「へ~い。」
「ほら~待ってたじゃない。」
「しょうがないじゃん、チハルちゃんに誘われたら断れなくない?」
「まぁ~・・・そうね。」
2人は急いだ素振りも無く冒険者ギルドの奥に入っていく。
「やっと戻ったか!」
ギルマスのレオは立ち上がりユーリンとシャルルをソファーに促す。
「で!?」
「はい、作れるそうです。」
「そうか!それで?」
「えっとですね~。」
ユーリンはアイテムボックスからちょっと大きめなオーブンレンジ程の箱を取り出す。
「コレです。」
「・・・コレが?」
「はい、フリーズドライ、えっとスープ飲みましたよね、アレを作る道具だそうです。」
「コレで作れるのか・・・凄いな。」
「レナちゃんが開発してるらしいんですけど~、もうすこーし大きく出来るかなって言ってました。」
「試作品って事か。」
「はい、まずはコレで作って、遠出する冒険者優先で渡す感じにすればいいんじゃない?」
ユーリンはそう言うと箱の扉を開く、中にある皿にアイテムボックスから出した果物を並べる。
「これを置いて閉める、そしてこのツマミを回してボタンを押すとロックが掛かって稼働しまーす。」
教えてもらった通りに操作する、そして最後にシャルルが魔力を充填すると動き始めた。
「これで1鐘程放置すると出来上がりです。」
「結構時間掛かるんだな。」
「これでも早い方らしいですよ?」
「そうなのか、大量生産は難しいな。」
「この装置を沢山作れば同時に作れますから、量産する予定ではあるそうですね。」
「ふむ、これは商業ギルドも手を出すだろうな。」
レオはフリーズドライ製造機を見ながら呟くと、もう1つの件を問いかける。
「缶詰は?」
「そっちはムカイ領の方で開発してるらしいですよ?」
「ヨリちゃんのお父様が領主だったよね。」
「うん、作ったら冒険者ギルドに優先で卸すって言ってましたから、暫く様子見だねー。」
「そうか、そうか、うん、まぁ今まで無かった物だ、急いでも仕方ないだろうな。」
諦め気味に言うレオを後目にユーリンとシャルルが立ち上がる。
「それじゃ私達は行きますね。」
「ん?何処に行くんだ?」
「チハルちゃんにパーティー誘われてるんで♪」
「は?また行くのか?」
「はい、チハル王女殿下に誘われてるんで♪今日も美味しい料理沢山たべれる~♪」
「お友達になって良かったぁ♪」
2人はニコニコで話すとレオに手を振り部屋を出て行った。
「・・・美味いんだろうなぁ、うらやましい。」
稼働するフリーズドライ製造機を見ながら寂しそうにレオは呟いた。
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「エーデルこれを持って行きなさい。」
第一騎士団長エーデル・キアヌの母、リュトリュイーズは装飾された箱をエーデルに渡す。
「これは?」
「家に代々受け継がれるネックレスよ。」
エーデルは箱を受け取り開けるとネックレスが入っていた。
「母上、宜しいので?」
「えぇ、もう私の娘ですもの。」
「まだ式も挙げておりません。」
「良いの!早く一緒に過ごしたいわ♪」
急に子供の様にはしゃぎ始めるリュトリュイーズにエーデルは笑みを浮かべる。
「はい、今日渡します。」
「お願いね♪」
ウキウキで部屋を出て行くリュトリュイーズを見送るエーデルは着替えを終わらせると箱を大事に持ち王城へ向かう。
「・・・仲が良いのは知っていたが・・・仲良すぎだな。」
嫁姑問題の強い貴族間の婚姻に恐れすらしたエーデルは微笑みながらピンクに染まる大木を見上げ呟いた。
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「ホーキン!」
「父上!?」
第一騎士団副団長、ホーキン・ブレンダーは父親に呼ばれ驚く。
「チハル王女殿下の宴に今日も呼ばれているそうだな!」
「はい、父上。」
「そうか、手土産は?」
「プレゼントを準備しております。」
「何を持って行くのだ?」
「これを。」
キレイにラッピングされた箱を見せるホーキン。
「何だ?中身は何だ?」
「水晶の置物です。」
「・・・ふむ、もう少しこう・・・派手な物の方が良いのではないか?」
「いえ、レナさんは可愛い物が好きなので。」
「お前がそう言うのなら・・・そうなのだろうが、ブレンダー家の未来が掛かっておるのだぞ。」
ブレンダー家当主、ダーブル・ブレンダーは腕を組みながら考える。
「あなた!」
「なんだ!?」
後ろから大きな声で怒鳴る女性、ホーキンの母ラニア・ブレンダーが怒った顔で近寄る。
「ホーキンの事で口を出さない様に言いましたわよね!?」
「あ・・・あぁ、しかしだ、レナ嬢とのお付き合いはブレンダー家の未来が・・・。」
「それも込みで言っているのです!」
ラニアに言われショボンとするダーブル。
「母上、落ち着いて下さい。」
「いいえ!言わせて頂きますわ!」
プンプンと音が聞こえそうなほどにお怒りのラニアはダーブルにこんこんと言い聞かせる。
「すまん!俺が悪かった!おちつけ?な?ラニア!?」
「ホーキン。」
「はいっ!」
「レナちゃんにコレを渡してくれる?」
「これは?」
ネックレスに丸い金属が付いた物を渡されたホーキンは問いかける。
「ココを押すと開くの。」
「ココですか。」
ホーキンは言われた通りに押すとパカッと開く、ロケットネックレスだ。
「こ・・・これは?」
「この前レナちゃんにもらった、ぷりくらって絵よ。」
ロケットネックレスには千春達が映ったプリクラが貼られていた。
「姿絵を入れるのだけれど、この前渡しそびれたのよ、お願い出来るかしら?」
「はい、必ず渡しておきます。」
「お願いするわね、あなた、まだ話は終わってませんからね?」
「・・・ホーキン、そろそろ王宮に向かった方が良いのではないか?」
「そうですね、それでは行ってまいります。」
ホーキンはそう言うと部屋を出る、扉を閉めると、またラニアの声が聞こえたが構わずホーキンは家を出る。
「俺もこうなるのかな。」
ポツリと呟いたホーキン、しかし麗奈に言われるのなら問題は無いかと微笑み王宮へ向かった。
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