南せんせーはA!

「石田先生お待たせしました。」

「いえ!大丈夫です!」

 南は石田の車に乗り込むと石田は車を出す。


「いまだ半信半疑な所があるんですよねぇ~。」

「俺もです。」

 2人は千春の家に向かいながら話す。


「お泊りセット持ってきてと言われたので準備しましたけど、どんな服持って行けば分からなかったんですよね。」

「俺は普段着とスーツ持ってきましたよ。」

「スーツ着るんですか?」

「・・・えっと、はい。」

「へぇ~、王様とお話もするでしょうし私も持ってくれば良かったかなぁ。」

 のんびりと話しをする南、石田は少し緊張気味に会話をする、そして藤井家に到着すると駐車場に止め玄関の前に立つ。


「いらっしゃいませ♪」

「うわぁ!」

「え!?」

「どうぞ~♪」

 春恵は扉を開けると2人を招き入れる。


「凄いタイミングで扉開けられましたね。」

 驚く石田は思わず問いかける。


「えぇ、扉の向こうが見えるので♪」

「・・・それって女神だからですか?」

「えぇ、立ち話もアレなんでこっちにどうぞ~♪」

 春恵はそう言うと2人の手を取り異世界へ連れて行った。



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「・・・でけぇ。」

 千春はルプとロイロ、ビェリーを見ながら呟く。


「コレがロック鳥?」

「ドラゴンじゃん。」

「羽あるよ。」

 頼子達は聖獣のドラゴンよりも大きな鳥を見ながら呟く。


「解体せずにそのまま焼くのじゃろ?」

「いや、無理じゃん?」

 ロイロに速攻で言葉を返す千春。


「チハル、コレどうする?」

「んんんん!!!コレは無理!解体してもらおう!」

「アイトネ様にオーブン作ってもらうんじゃなかったのか?」

「コレ焼こうと思ったら家サイズのコンロ置かれちゃうよ!?」

「良いんじゃないか?」

「よーくーなーいー!」

 ルプは少し残念そうに千春を見る。


「丸焼きは鶏でいいっしょ、ルノアーさんに食堂で焼いてもらうから、ね?」

「まぁ仕方ねぇか、これはどうするんだ?」

「鳥肉は有難いからね、ハーブチキンにグリルチキン、唐揚げも作るしこれだけ大きいならローストチキンもアリかな。」

「チハル、タンドリーチキンまた作ろうよ。」

 麗奈が嬉しそうに話す。


「辛口で?」

「辛口で!」

「ちょー!甘口も!」

「はいはい、ミオちゃんは甘口ね~♪」

「おこちゃまっぽく言うなし!」

「あははははwww」

 話をしているとエーデルとホーキンが現れる。


「チハル王女殿下、これは?」

「今ロイロ達が獲って来たんですよ、あ!これ解体出来ます!?」

「出来ますが・・・ここですとちょっと。」

「そうですね、ココだと・・・庭が血まみれになりますね。」

 エーデルが困った風に言うとホーキンも頷きながら話す。


「血まみれは嫌だな、ビェリーこれ収納してエーデルさんと解体してもらっていい?」

「いいばーい♪」

「さんきゅ!」

 ビェリーは影に収納するとエーデルを連れ移動した。


「チハルおねえちゃーん!」

 部屋の扉が開きユラとマルグリットが入って来る。


「楽しそうね。」

「はい!楽しいです!」

「フフッ、先生方は?」

「今日の夕方来ますよ。」

「そう、アヤネさんにドレスを仕立てたのだけれど。」

「え?!もうですか?!」

「えぇ、この前来た時にエリーナとアルベルが調べてるわ。」

「見ただけで?」

「えぇ、おおよそだから婚姻の儀で着るドレスはちゃんと計測するわよ。」

「あー・・・婚姻の儀って話お母様も考えてたんですね。」

「勿論よ♪お付き合いしてるのでしょう?準備は万端よ、初めてあちらの世界から来た人がジブラロールで婚姻の儀を行う、力も入るわよ。」

「お手柔らかにお願い致します・・・。」

 後ろから入って来たエリーナ、アルベル、そして数名の侍女がドレスを運び入れる。


「うわぁ!綺麗!」

「なにこれ!?アヤネちゃんのドレス?」

「らしいよー。」

「へー!すごーい!」

 JK達は並べられたドレスを見て大騒ぎだ。


「あれ?これ胸のサイズ違くない?」

 美桜が桜色のドレスを見ながら呟く。


「あ、ほんとだ、こっちとサイズ違うね。」

 麗奈は空色のドレスと比べながら頷く。


「サイズ間違いました?」

 千春はエリーナに問いかける。


「いえ・・・アヤネ様が試着の際に合わせる為で御座います。」

「ん?」

「どういう・・・。」

「・・・はっ!もしかして!」

「あー!!!そう言う事!?」

「え?どういう事?」

 青空と大愛が何かに気付き日葵がコテンと首を傾げる。


「多分だけど・・・パッド入れてるんじゃない?(ボソッ)」

「え?マジで?(ボソッ)」

「パッド入れてアレなの?」

 日葵は何気に失礼な事を言うが、皆はボソボソと話始める。


「千春、仲間増えそうだよ。」

「ほぉ?それは確認しなくてはいけませんなぁ!」

 頼子の言葉を聞き嬉しそうに言う千春、すると門の部屋から春恵が入って来る。


「先生来たわよ~♪」

 春恵の後ろから石田が、そしてその後から南が入って来る。


「いらっしゃい!石田!」

「アヤネちゃんいらっしゃーい!」

「さっきぶりだがな。」

 石田は苦笑いしながら麗奈と美桜に声を掛ける。


「うわぁ!凄いドレス!」

 南は並んだドレスを見て声を上げる。


「これ全部南ちゃんのドレスだよ。」

「え?どういう事?」

「どういうも何も、お母様が準備したドレスなんだけどね。」

 千春はそう言うとマルグリットを見る。


「いらっしゃい、アヤネさんのドレスを準備致しましたわ、試着して頂けるかしら?」

「へ!?ちょ?チハルさん?」

「そう言う事です。」

 千春はニコニコと笑みを浮かべるマルグリットを見て苦笑いする。


「あーやーねーちゃん!」

「きゃぁ!!!」

 美桜は南の後ろに回ると胸を鷲掴みする。


「んーーーーーAA!」

「し!失礼ね!もっとあるわよ!?」

「いや、やっぱりパッド入れてるじゃん。」

 美桜はそう言いながら南の胸をワシワシする。


「ちょっとぉ!?」

 ペチンと美桜の手を叩くと美桜は離れ千春の後ろに回ると、千春の主張していない胸をグワシ!と掴む。


「・・・うん同じくらいだね。」

「私Aだよ?」

「・・・うん・・・うん・・・そうだね・・・Aだもんね。」

「同情するなぁぁぁ!!!」

 ウガー!と両手を上げる千春。


「千春、って事はアレ使えるんじゃね?」

 頼子はニヤっと笑みを浮かべ千春に言う。


「あ、南せんせー、アイテムボックスの魔法教えるから真似して♪」

「え?何?」

「こう・・・この空間に箱があるイメージで箱の蓋をこじ開けて広げるイメージで。」

 そう言いながら千春は空間にアイテムボックスを開ける。


「あ、この前やってた魔法ね、こう?」

 南はそう呟くが何も変化は無かった。


「チハル、アヤネさんはまだ魔力の使い方を知らないでしょうに。」

「あ・・・そうだった。」

「魔法・・・使えるの?」

「んー、今んとこ女性陣は概ね使えてるから。」

「そのアイテムボックスも使えるの?」

「可能性は高いです!」

「そうなんだ。」

 南は少し嬉しそうに答える。


「魔法は私が後で教えるわ、アヤネさんまずは試着しましょうね♪」

「・・・はい。」

 ほのかに感じた圧を感じた南は素直に返事をすると、千春の寝室に拉致されていった。


「石田~♪アレ準備してきた?」

「あぁ、準備して来た・・・本当にするのか?」

「もち!あの木見て。」

 外を指差す麗奈、石田は窓際に行くと上を見上げる。


「・・・でっかいな!」

「元は世界樹だからねー。」

「世界樹・・・あの葉っぱで生き返る奴か。」

「生き返りはしないけどねー、これが姫桜だよ。」

「これが・・・。」

「あとでアイトネ様に花を咲かせてもらうから。」

『呼んだー?』

「呼んでないですぅぅぅぅぅぅ!!!」

 麗奈はがっくり膝を落とす。


「うん、次はレナだな。」

「ほぼ確じゃん?」

「ダイア余裕だな。」

「うちあんまり名前呼んでないからね。」

 床に手を突く麗奈をJK軍団・・・もとい聖女軍団は生暖かい目で見つめた。







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