南先生と石田先生異世界でお泊りする!

「はぁぁぁぁ・・・気持ちいい。」

 南は湯船に浸かると目を瞑り気持ちよさそうに呟く。


「いいでしょ~アヤネちゃん。」

 美桜は南の横に来るとニヤリと笑みを浮かべながら湯船に入る。


「これ千春の専用風呂なんですよ。」

「・・・凄いわね。」

「王女様で次期王妃だもんねーチハル。」

「本当なのね~。」

「はい、本当なんですよ、困った事に。」

「ついでに聖女って言うね。」

「いや、それはヨリ達もじゃん。」

「私はまだでーす。」

「うちもまだでーす。」

「私もちがうよー。」

 麗奈、大愛、花音も湯船に浸かりながら答える。


「みんな聖女になるの?」

「アイトネに神託スキル付けられて、呼ぶたびにスキルが上がるんですよ。」

「スキルが10になると目出度く聖女認定されます。」

 頼子と美桜が悲しそうに答える。


「はぁ~・・・。」

「どうしたの?南ちゃん。」

「ん、凄いなぁって思って。」

「何が?」

「全部。」

「南ちゃんこっちで暮らします?」

「んー・・・正直暮らして良いなぁ~って思ってるかな。」

「おぉー!」

「でもまだ日本でもやりたい事が沢山あるのよ。」

「例えば?」

「まずは貴女達の卒業ね。」

「ぉぉ~先生っぽい。」

「先生よ?」

「他には?」

「ま、色々ね、大人になると色々目標も有るのよ。」

「そうなんだ、お父さん達はすんなり異世界に来たのにね。」

 青空の言葉に美桜や麗奈もウンウンと頷く。


「私の家はまだ来てないよ。」

 そう答えるのは花音だ。


「宮沢さんの両親は何しているの?」

「父は医者で母は看護師です。」

「あら、そうなのね、それじゃ色々と思う所があるでしょうね。」

「思う所?」

「えぇ、話を聞いたけれど、日本の科学や医療技術を異世界に持ち込むのは・・・不可能とは言わないけれど、かなり難しいと思うわ。」

「え?魔法も有りますよ?」

「でも診断する為の機械やMRIみたいな高額な機械もあるでしょう?」

「あー・・・。」

「似たような物作れないのかな?」

「詳しくは分からないけれど話を聞いた限りでは無理でしょうね。」

「でも薬は有りますよ。」

「あるねー、何でも治す万能薬が。」

「え?そんな物が有るの?」

「はい、世界樹の実がソレです。」

「何でも?ウイルス性のワクチンや疫病にも効くの?」

「・・・分かんないです、効くかも?」

 千春が答えると皆も首を傾げる。


「色々とやってみないと分からない事が多すぎるわねぇ。」

「先生そう言うの分かるの?」

「ん、分からないわよ、ただ日本・・・地球の常識的な知識で言っただけよ。」

 すまし顔で答える南。


「それじゃ南ちゃんはこっちに来れない?」

「ん~~~~~来るわ。」

「やった!」

「やったね!」

「毎日来るの!?」

「うぇーぃ!」

 ニッコリと答える南に喜ぶJK達。


「来るとしても暫くは週末か週に何度かくらいでしょうね。」

「なんで?毎日来ればいいじゃん。」

「そうそう、足もあるじゃん?」

「石田に送り迎え!」

「いや、もう石田も連れて来ればいいじゃん、アイトネ様がOK出したんでしょ?」

『呼んだ?』

「呼んでないぃぃぃぃぃ!」

 アイトネの名前を呼んだ麗奈が叫ぶ。


「アイトネ様は女神様ですよね?」

『えぇ、この世界の管理者をしてるわ。』

「なぜ藤井さん達の面倒を?」

『チハル達が作る食事が美味しいから♪』

「それだけですか?」

『えぇ♪』

「・・・。」

『心配しないで良いわよ、そんな面倒は起こりえないしそう言う事は私が処理するから。』

「へ?今心読みました?」

「南ちゃん何思ったの?」

「・・・ほら、世界の危機を救うとか、命を懸けて戦うとか・・・有るじゃない?」

『チハル達の周りに居る大人は皆優しいわね、皆あなた達の心配ばかりしてるわ♪』

「ありがてぇ~。」

「ほんと有難いね。」

「って言うか先生以外はみんな親だし。」

 JK達が話すと南はクスクスと笑う。


「それじゃ私も色々と考える事があるから上がるわね。」

 そう言うと南は湯船から出る。


「あなた達明日も学校なんだから早く寝なさいよ?」

「はーい!南せんせー!」

「りょうかいでーす!」

「アヤネちゃん明日学校つれてってー♪」

「ミオ、石田の車に全員乗れないって。」

「チッ・・・無理か。」

 南は苦笑いしながら脱衣所へ行くと侍女達が待機していた。


「アヤネ様こちらへ。」

「え?ちょっ?」

 千春の侍女軍団、レナエとクラミナが南の体を拭くとクーネス、トーテルが服を着せようとする。


「ちょー!?自分で着れますから!」

「いえ、チハル王女殿下のお客様で御座いますので。」

 クーネスはニコッと微笑むと着替えを手伝う。


「どうぞこちらへ。」

 クーネスは微笑みながら南を促す。


「え~・・・はい。」

 南は侍女達に連れられ部屋を移動する、途中ペット達が盛大に酒盛りをしているのを見て思わず笑みが零れるが、そのまま別の部屋に移動する。


「こちらが客間で御座います、ごゆっくりお寛ぎ下さいませ。」

 千春の部屋から少し離れた客間の扉を開くクーネス、中には居心地悪そうに石田が座っていた。


「アヤネさん!」

「ケンタさん。」

「それではお茶をお入れしますので。」

 クーネスはそう言うとお茶を淹れる、横ではトーテルがカップを並べる。


「・・・凄い部屋ですね。」

「うん、こんな部屋泊った事ないですよ。」

 石田は部屋を見回しながら呟く。


「どこの高級リゾートホテルのスイートルームですかね。」

 南はポカンと口を開け部屋を見る。


「こんな部屋に藤井達は住んでるんですねぇ。」

「落ち着きませんね。」

 石田の言葉に思わず笑みを浮かべる南。


「こちらに住まわれるのでしたらご準備出来ますが?」

 ニッコリ微笑みお茶を石田と南に出すクーネス。


「え?」

「あちらからのお客様には国王陛下、王妃殿下より爵位と屋敷をご準備させて頂いております、御要望と有ればお伝えさせて頂きます。」

「侍女の貴方にその様な事が出来るの?」

「はい♪」

 何でもない様に返事をするクーネス。


「それでは何か有ればそのベルを、魔道具になっておりますので直ぐに人が参ります。」

 クーネスはソファーテーブルに置いてある可愛いベルを見ながら言うとお辞儀をし部屋を出て行った。


「・・・気を利かせてくれたのかしら?」

「多分そうでしょうね。」

 そう言うとお茶を口に含む南。


「!?」

「どうしました?」

「美味しい♪」

「・・・本当だ、美味い。」

「ケンタさん・・・どうします?」

「う~~~~~ん。」

 南は石田に問いかけると、石田は唸る。


「ですよねぇ・・・。」

 唸る石田を見て苦笑いする南。


「まずは・・・これから、この異世界で何を進めるか、準備が必要かな。」

「あ、来るのは前提なんですね。」

「そりゃ来るでしょう?」

「・・・毎日でも来たいですね♪」

「流石に毎日は無理ですが・・・これも考えながら進めますか。」

「そうですね、ケンタさんお風呂入りました?」

「入りました、温泉でした・・・凄いですね。」

「・・・もう普通に話しても良いんじゃないかしら。」

「あ、あー、そうだった、なんか緊張しちゃってついつい。」

 2人はクスクスと笑いながらお茶を口にする。


「私は本気でコッチに住んでも良いと思ってるわ。」

「俺も同じかな、ただ教師は辞めたくないんだよなぁ。」

「それは私も一緒、両立出来るならそうしたいかなぁ?」

「これって副業になるのか・・・稼ぎが有ったら副業かな?」

「ならないんじゃない?」

「うーん、そこも藤井達に要相談か。」

「話変わるけれど、あの子達しっかりしてるわね。」

「うん、あっちでも変わったと思ってたけど、コレが原因だったとはね。」

 千春達を思い出し2人はまた微笑む、そして夜が深けるまで2人は話し合った。



---------------------



「おはようございます。」

 南はクーネスと一緒に千春の応接室に入る。


「おはようございます南先生。」

 春恵はお茶を飲みながら挨拶を返す。


「あの子達は?」

「まだ寝てますよ。」

 時計を見ると時計の針はまだ6時を指していない。


「おはようございます。」

 後ろから石田も入って来ると挨拶を交わす。


「おはようございまーす!朝食は如何なさいますか!?」

 元気に挨拶を返すモリアン。


「えっと、途中でコンビニに行こうかと。」

 石田は元気に声を掛けて来るモリアンに驚きながらも返す。


「コンビニですかー?こっちで食べたらタダですよー!」

「・・・コンビニ知ってるんですか?」

「はい!たまにチハルさんと行きますんで!」

「「えっ!?」」

 モリアンの言葉に驚く2人、そして寝室の方から千春が、その後ろからは頼子達もゾロゾロと入って来る。


「おはぉぉぉ。」

「おはようございまーす。」

「あ!アヤネちゃん!石田おはー!」

「お、おう平田、元気だな、おはよう。」

「おはよう平田さん。」

「チッチッチ、こっちじゃミオって呼んで!」

「あ、先生私もチハルって呼んで。」

「私はヨリで、両親もいるんでゴチャるんで。」

 美桜達はそう言うとソファーに座る。


「朝飯どするー?」

「ウチハンバーガー。」

「朝からよく食えんね。」

「私サンドイッチにしよ。」

「私はご飯が良いかにゃ~。」

「んじゃ食堂行こっか。」

「うぃっす、石田、アヤネちゃんご飯まだっしょ?」

 美桜は2人に声を掛けると2人は無言で頷く。


「青空達は?」

「もう来るよ。」

「それじゃ準備しよっか、先生達学校早くいかないとダメとかある?」

「いや、車だからな、ここからなら7時半に出れば問題無い。」

「アヤネちゃんも?」

「うん。」

 美桜に答える南、すると美桜は南の横にススス~っと移動し耳打ちする。


「昨日はお楽しみ?(ボソッ)」

「・・・するわけないでしょう、今後の話をして寝たわよ。」


ゴツン!


「いたぁい!!!!」

「ひーらーたー。」

「暴力反対!」

「南先生を困らせるんじゃない!」

 拳骨が落ちた美桜は頭を押さえながら文句を言う。


「でも一緒に寝たでしょー!」

「・・・何もしてないぞ。」

「ふ~ん・・・ヒール!」

 美桜は自分の頭に回復魔法を掛ける。


「ミオ、そう言うのは聞いちゃダメだよー。」

「そうそう、生暖かい目で見守ってたら良いんだって。」

「ムフフフフ♪そうだね♪」

「お前ら・・・。」

「まぁまぁ石田先生、チハルちゃんそれじゃ食堂って所で食べるの?」

「うん、色々あるから楽しみにしててね!」

 そう言うと千春は立ち上がる、そして皆を連れ食堂へ行くと先生2人はまた驚く事になった。






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