南先生と石田先生!

「南ちゃんいらっしゃーい!」

 千春は門を通って入って来る先生に駆け寄るとブレスレットを渡す。


「はいこれ付けてくださーい。」

「ブレスレット?」

「はい、翻訳魔道具です。」

「・・・はい?」

「石田もつけてね。」

「あぁ・・・、つけたら良いのか?」

「うん、持ってるだけでも良いけどね。」

 そう言うと千春は応接室の扉を開ける。


「きた?」

「きたきた。」

 扉を開けるとJK軍団が待っていた。


「いらっしゃいアヤネちゃん♪」

「こっち座ってくださーい。」

 美桜と麗奈に手を引かれソファーに座る2人、2人はキョロキョロと部屋を見回す。


「ルプー姿出して良いよー。」

「ビェリーもでておいで。」

「コンちゃーん。」

 千春達は声を掛けるとペット達が姿を現す、そして子供ドラゴンのミカとゼル、デンハ達もコンの術が消え姿を現す。


「藤井!?これは?!」

「えっと異世界でーす、この子達は私達のペットだよ。」

「石田会うのは初めましてだな、俺はルプ、日本で土地神をしていた狼だ。」

「わっちも日本の土地神しとったビェリーっちゅ~ばい、よろしく!」

「コンです!」

 いつもの3人は千春達の横に来ると挨拶する。


「ミオ~来たわよー。」

「お母さんナイスタイミング。」

「本当に連れて来たのねぇ、どうもお久しぶりです。」

 美桜の母美咲が挨拶をすると先生2人も立ち上がり頭を下げる。


「えっと・・・藤井さん?」

「あ、色々今から説明するんで・・・。」

 千春がそう答えていると横から三珠と彩葉が現れる、そして。


「吾輩はミタマだにゃ。」

「・・・イロハよ♪」

「うわぁぁぁ!!!!」

「・・・日本人形まで。」

「綾音さん!怖くないんですか?!」

「怖くは無いですね・・・可愛いですよ?」

 可愛いと言われ照れる彩葉。


「チハルさーん!お呼びしましたー!」

 モリアンが扉をバーン!と開けると後ろから笑いながらエンハルトが現れる。


「待たせたか?」

「んにゃ、ちょうど良いとこ、お母様は?」

「もうすぐ来ると思うぞ。」

 エンハルトは千春の横に立つと先生2人に笑みを浮かべながら挨拶をする。


「ようこそジブラロールへ、私はエンハルト・アル・ジブラロール、この国の第一王子そしてチハルの婚約者です。」

 微笑みながら挨拶をすると、先生2人はポカンとした顔で「どうも。」と頭を下げる。


「さ、座って座ってー。」

 千春が言うと2人はまたソファーに座る、すぐにサフィーナがお茶を淹れ2人の前に並べる。


「メイド?」

「侍女ですよ~。」

「・・・あ!」

「どうしたんですか?!健太さん!?」

「いや!藤井の婚約者!」

「って言われてましたね。」

「いえ!王子様って言ってたんですよ!」

 石田先生はそう言うと千春を見る、千春はニコッと笑い頷く。


「それで?藤井さん、相談事って・・・言う話だったわよね?」

「はい!こっちで先生探してるんです。」

「先生?」

「はい、こっちって貴族はそれなりに勉強してるんですけど小学校レベルなんですよ。」

 千春はジブラロール、異世界の学問事情を説明する、そして識字率や学問、ついでと言わんばかりに魔法の話まで進めた。



---------------------



「・・・本当なの?」

「ぜーんぶ本当です。」

「こっちで先生・・・ねぇ。」

 南先生は顎に指を当て首を傾げている。


「石田なにぼーっとしてんの?」

 横で見ていた美桜が石田先生に声を掛ける。


「あ、ああ、あ~・・・あぁ~・・・えぇぇ?」

「おぉ~混乱しておるwwww。」

「クッソ笑うwwww。」

「いやぁ呼んだ甲斐あったわぁwwww。」

「マジでそれなwwww。」

「いや、失礼だってwwww。」

 JK軍団は大笑いしながら石田先生を見る。


「一応呼んだ理由はそう言う事なんですけどー、何か聞きたい事有ります?」

「えぇあるわねぇ、ありすぎて何から聞こうかしら。」

「藤井!」

「はい!石田先生!・・・なに?」

「まず一つ目、藤井のお母さんって・・・あの、再婚したのか?学校では確か・・・。」

「あー、小さい頃に死んだんですけど、こっちで転生して今女神してます。」

「・・・あぁ、そうか・・・・・・・・・・・・え?」

 ポカンと口を開ける石田先生。


「お父さんは?」

 南先生は続けて問いかける。


「ジブラロールで1つ領を持ってるんですよ、ヨリのお父さんなんですけど、そこのお手伝いしてますね。」

「日本のお仕事は?」

「辞めてきましたね、あ、今ウカ様の所の社員だっけ?」

 千春はうろ覚えで春恵を見ると頷く。


「そうよー、宇迦之御魂様の会社に登録してるわね。」

「うかのみたまさま・・・聞いた事あるわ。」

「あれです、狐の神様です。」

「あー!そう言えば!それそれ!」

「ちなみにコンちゃんはウカ様の御使いですよ。」

 美桜の頭に乗って見ているコンはペコリと頭を下げる。


「チハル、メグ様が来られましたよ。」

 千春の横でサフィーナが呟くと扉のノックが鳴る。


「はーい!」

 千春が声を出すとナッテリーが扉を開ける。


「お待たせしたかしら?」

「いえ!大丈夫で~す♪」

「いらっしゃいませ、私はマルグリット・アル・ジブラロールと申します。」

「ジブラロール国の王妃様ですよ~♪」

 千春は何故か嬉しそうに紹介する。


「私は南綾音と申します、藤井さん達の学校の教師をしております。」

 南先生は立ち上がり挨拶をする。


「そちらの方は?」

 マルグリットは石田先生に声を掛けると、石田先生はハッと意識を取り戻す様に立ち上がる。


「石田健太と申します、藤井千春さんの担任をしております。」

 すくっと立ち上がった石田先生は先程と打って変わりビシッと挨拶を返す。


「優しそうな先生達ね。」

 マルグリットは千春を見ながら微笑むと千春もウンウンと頷く、そしてマルグリットと先生2人は国の教育状況を話し始めた。


「先生ご飯たべるー?」

 話しが一息つくと、不意に頼子が2人に声を掛ける。


「いや!話しが終わったら飯に行く予定だから。」

「えー、魔国牛で美味しい料理準備してるのにー?」

「魔国牛!?」

「そ、国産のA5和牛もビックリな魔国牛だよ♪」

「なにそれ美味しそう。」

 南先生は嬉しそうに言葉を返す。


「お酒もあるよ~ん。」

 千春はそう言うとアイテムボックスからペット用のテーブルにお酒を取り出す。


「そ・・・それが魔法なのか?」

「うん、アイテムボックスって魔法で~す♪」

「石田先生、御相伴にお預かりいたしませんか?」

「え?まぁ南先生がよろしければそれでも構いませんが。」

「石田ーなんでさっきみたいにアヤネって言わないのぉ~?」

「ちょ!?平田!?」

「アヤネちゃんもさっき健太って言ってたじゃん?」

「ん、まぁ・・・そうね。」

「へぇ~、お付き合いしてんの?」

「内緒だけどね♪」

 南先生はもう隠すつもりは無いようで美桜と普通に話しを始める、石田は両手で顔を隠し項垂れる。


「チハル、先生たちもこちらに来る事になるのかしら?」

「えっとぉ、アイトネー。」

『はーい♪』

「どうでしょう!」

『問題な~し♪』

「はい!女神様の審査も終わりましたので大丈夫です!南ちゃんこっちで生活します?」

「え?それは無理よ?学校が有るじゃない。」

「こっちで先生してくれたら助かるんだけど。」

「えぇ~?今すぐじゃ無いわよね?」

「もち!私達も高校卒業したいし、専門か短大か分かんないけど進学するつもりだから。」

「そう・・・勉強を教える手助けするのは大丈夫よ。」

「おー!たすかるぅ!こっちに来た時の衣食住は完璧に揃えるから!あとお給金も出すので!」

「お給金?!給料が出るの?」

「うん、私が出すから。」

 千春がそう言うとマルグリットが声を掛ける。


「チハル、ジブラロールの学問の先生よね?国から出すわよ?」

「いやぁお母様、ほんっと・・・私お金使って無いんですよね。」

「・・・そうね、増える一方ですものね。」

「はい、それにヒマリの方もお願いする事になるんで。」

「はーい!元はブルーワグの算数の話から始まった事なんで私も出しまーす!」

 日葵が手を上げながら言う。


「藤井さん・・・お給料出せるほど稼いでるの?」

「はい、ぶっちゃけて言うと学校を余裕で経営出来るレベルでみんな稼いでます。」

「一番稼いでんのレナだよね。」

「飛行の魔石最強伝説。」

「アレはヤバいね。」

「今回ヨリが作った刻印入り宝石もヤバいじゃん。」

 JK達が話始めると南先生は思案気に呟く。


「少し考えても良い?」

「勿論ですよ、それじゃ一息入れるのでご飯しましょう!」

 千春がそう言うと侍女達が一斉に食事を運び始める。


「一番人気の魔国牛すき焼きでございまぁ~す!」

 何故か青空達も料理を運びながら南先生と石田先生の前にコンロを置く。


「うわぁ良い匂い!」

「はい、なまたまごー♪」

「ご飯も有りますよー♪」

 前に並べられる料理に2人は顔を見合う。


「凄い、美味しそう♪。」

「・・・はい、凄いですね。」

「石田、お酒呑むっしょ?」

「いや、車で来てるから。」

「泊れば良いじゃん、モリー客間準備出来る?」

「はーい!準備出来てまーす♪お二人一緒で?」

「一緒でいいっしょ?」

「一緒だしょ?」

「今更だよね?」

「そりゃ一緒じゃん?」

「これで別だと逆に可哀そう?」

 JK達は一斉に先生2人を見ると、南先生はニコッと笑みを浮かべ頷く、石田は固まったままだ。


「それじゃみんなも食べよー。」

「おー!たべるべたべるべー!」

 皆は席に座ると手を合わせる。


「「「「「いただきまーす!」」」」」

 皆は一斉に肉を取る、南先生も頂きますと呟くと肉を一切れ取り口に運ぶ。


「!?」

 モグモグと口を動かす南先生は石田先生の背中をバンバンと叩く。


「うぉ!?どうしました!?」

「美味しい!」

「マジっすか。」

 石田先生はそう言われ肉を取り卵につけ口に入れる。


「・・・んっま!!!!」

「うまいっしょー!」

「マジ美味いよねー!」

 横で食べていた大愛と日葵が石田先生に言う、そして。


「平田さんこれ高いわよね?」

「ん?いや、高いらしいけどウチら普通に食べてるよ?」

「チハルが何頭分も持ってるよね?」

「んー?今3頭分くらいあるよ。」

「チハル私も持ってるわよ?」

「あとブラブルもあるよね。」

「ブラブルも美味しいよねー。」

 JK達の言葉に南先生が続ける。


「ブラブルって?」

「ブラックホーンブルって言う牛の魔物だよ~。」

 美桜は肉を食べつつ答える。


「・・・これ毎日食べれるの?」

「食べれますよ、こっちに来れば・・・ね♪」

 千春はニヤリと笑い答える、そして先生2人は黙々と魔国牛のすき焼きを堪能した。







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