先生拉致る!
「・・・・。」
南綾音は職員室のPCを睨むように見ていた。
「南先生どうされました?」
後ろを通った石田先生が声を掛ける。
「あ、石田先生、ちょっと・・・。」
「なんですか?その記号。」
「これですか、弓削さん達が書いてた文字なんです、これでミナミアヤネと読むらしいんです。」
「へぇ~・・・変わった文字ですね、何処の国の文字なんです?」
「・・・ジブラロール文字らしいんですが。」
南先生のPC検索には国に関係ない事柄だけが表示されていた。
「適当に書いた記号じゃないんですか?」
「そう思ったんですが、文字としてちゃんと成り立ってるみたいなんですよね。」
南先生はそう言うとノートPCを閉じる。
「弓削ってうちのクラスの弓削日葵ですよね?」
「はい、あと藤井さんや向井さん達も書いてましたね。」
「・・・あ~・・・あの子達かぁ。」
苦笑いしながら遠い目をする石田先生。
「何か?」
「いや、え~っと・・・プライベートな話になるのでここではちょっと。」
「そうなんですか。」
2人が話していると美桜が職員室の戸を開ける。
「3年3組平田です!南先生・・・いた!」
美桜は南先生を見つけ指差しながら声を上げる。
「こら、指を差すな。」
「石田・・・先生はイイのー!」
「石田もいんの?」
ぴょこっと顔を出す麗奈、その後ろにはいつものメンバーが勢揃いだ。
「石田も連れてったら?」
「数学の先生じゃん?算数とか教えれんの?」
「似たようなもじゃん?」
後ろで話すJK達の声を聞いて石田先生が近づく。
「なんだ?算数教えて欲しいのか?」
「教えれるの?」
「当たり前だ、小学校教諭一種持っとるわ。」
「へー・・・なにそれ。」
「勉強を教えれる免許だよ。」
「「「「「へー。」」」」」
「どうしたの?平田さん。」
石田先生の後ろから南先生が声を掛けて来る。
「今日ヒマ?」
「・・・は?」
「なんだ?何か用なのか?」
「石田はいいのー!アヤネちゃんに用事あるんだから。」
「なに?何の用事?」
「えーっと・・・。」
美桜が言葉を詰まらせると千春が話す。
「今後の進路の相談を!」
「おいこら、担任の俺に言えよそう言う事は。」
「・・・ちゃうねん。」
「なにがちゃうんだよ。」
「色々ちゃうねん。」
「・・・意味わからんぞ?」
「まぁいいや、石田先生も今日ヒマ?」
「ヒマに見えるか?」
「うん。」
「・・・先生だって忙しいんだぞ?」
「2人とも部活持ってないじゃん?」
「まぁ、持ってないが。」
「今日うちに来れないですか?」
「藤井の家か?」
「はい!」
「確か藤井のお父さんは海外出張中だったろ。」
「帰ってきてますから。」
「・・・で?平田の話はどうなった?」
「あ、ウチも同じ話なんで。」
「それじゃ平田の家にも行くのか?」
「チハルの家で全部話付きます。」
ニコッと笑みを浮かべ伝える美桜。
「・・・う~ん。」
「藤井さん何か悩み事でもあるの?」
「はい、色々と、まぁそれは色々と。」
「・・・そう、お父さんとお話したらいいのかしら?」
「あ、えっと、そうですね。」
「分かったわ、何時頃行けば良い?」
「南先生、行くんですか?」
「えぇ、直接私に話をしに来たんですから、思う所があるんでしょう?」
南先生はそう言うと時計を見る。
「藤井さんの家って何処かしら。」
南先生はそう言うと千春から住所を聞き確認する。
「そうねぇ、7時くらいになるけど大丈夫?」
「はい!大丈夫です!」
「南先生、俺も行きます。」
「そうですね、担任も行った方が良いですよね、一緒に行きましょう。」
「それじゃ俺が車を出しますから。」
「お願いします。」
石田先生と南先生はそう言うと千春達を見る。
「親御さんにも連絡した方が良いか?」
「いえ!こっちで話しときますんで!」
美桜と千春は満面の笑みで答える。
「それじゃ待ってますんで!」
千春が言うと皆も頭を下げる、そして職員室を退室した。
「何なんですかねぇ。」
石田先生は腕を組み頭をひねる。
「悩み事って言ってましたし、進路相談的な事なんでしょう?」
「親御さんも関わってるようですし、話を聞いてみますか。」
「そうですね、それじゃ今日のお食事はソレが終わってからで?(ボソッ)」
「・・・はい(ボソッ)」
2人は苦笑いで話すとすぐに仕事に戻り急いで終わらせた。
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「ただいまー!」
「ウチは一応お母さん呼んどくわ。」
「そだね、そう言う体(てい)で呼んだしね。」
美桜はそう言うとLIMEで美咲に連絡を入れる。
「千春・・・先生呼ぶの?」
春恵は苦笑いで千春に問いかける。
「あー、また思考読んでるー。」
「見えるんだもん、で?勉強を教えてもらうの?」
「うん、数学というより算数とかそういう分野。」
「ん~、まぁソレも有りねぇ、こっちは識字率も低いし計算も出来ない人多いから。」
「貴族は学園に行くから勉強してるけど、それでも小学校レベルだからねー。」
千春と春恵が話をしていると花音が話しかける。
「数学って必要性感じないもんね。」
「確かに!」
相槌を打つ青空。
「さいんこさいんたじぇんとー。」
「三角関数とかこっちで何に使えるんかね。」
「ルートとか?」
「二次不等式とか何処で使うんよってマジ聞きたいわ。」
何かしら嫌な思いがあるのか大愛や日葵も突っ込む。
「ま、そう言う事で先生たちにこっちで先生出来ないかと思いました!」
千春は春恵に手を上げながら言う。
「もうー、簡単に巻き込んじゃって、大丈夫なの?」
「ダメそうだったらアイトネにいつものお願いする予定。」
『呼んだー?』
「今からー。」
『それで?その2人を視たら良いのね?』
「うん、めっちゃ真面目な先生2人だから問題無いと思うんだけど。」
『チハルの記憶を見たけど・・・問題無いわね。』
「あ、記憶で分かるんだ。」
『一応直接視るわよ♪』
「お願いしまーす。」
アイトネと話し、千春達は部屋を変え着替える、そして先生たちが来るのを待つことにした。
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「ココですね。」
カーナビを見ながら石田先生は千春の家に到着する。
「駐車場止めて良いんでしょうか?」
「取り敢えず止めておいて藤井さんに確認しましょう。」
石田先生は車を止める、そして2人は藤井家の呼び鈴を鳴らす。
ピンポーン
「はーい。」
ガチャ
「石田と申します。」
「はい、お聞きしてます、ご足労おかけします。」
「いえいえ・・・えっと。」
「千春の母の藤井春恵と申します。」
ニッコリと微笑み答える春恵。
「・・・え!?」
「石田先生?どうしたんです?」
「いや、え!?えっと、藤井さんの・・・お母様?」
「はい♪」
「いやいや!え!?たしか藤井さんのお母様は!」
「あ、その話もゆっくりご説明しますのでどうぞ♪」
春恵はそう言うと2人を家に迎える、そして。
「あ、靴を持ってこちらへどうぞ~♪」
「・・・え?」
「へ?」
2人はクローゼットの奥を見て言葉を無くす。
「さぁ御二人とも手を。」
石田先生と南先生は春恵が出した手に思わず自分の手を乗せると異世界へ連れていかれた。
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