勉強おしえてっ!

「ヒマリ出来たー?」

「んーまだー。」

「チハルは?」

「まーだー。」

 学校に向かいながらJK軍団は寒空の下のんびりと歩く。


「ヨリはどんな感じ?」

「ぼちぼちなー。」

「ミオ達は?」

「イメージは出来た!」

「ほほう?そりゃ良かった。」

「でも刺繍は無理だわー。」

 無理だと言いつつも笑顔で答える美桜、そして教室に入るといつもの授業が始まった。



--------------------



「ヒマリ、ステルってどんな字か分かる?」

「ん、ステルならこうだよ。」

 日葵はノートにジブラロールの言語でノートに書く。


「こう。」

「ふむふむ。」

「覚えるの?」

「ん、プレゼントに名前付けたくてさー、名前くらい私が入れたいなって思ってさ。」

「へぇ~。」

 ニヤニヤと笑みを浮かべる日葵に青空は照れるように顔を逸らす。


「名前良いな、ヒマリ、トラディって書いて。」

「ダイアも?」

「名前くらい覚えておいても損はなかろうぜ!」

「っていうかまだ書けなかったんだね。」

「・・・はい。」

 日葵はクスクスと笑いながらノートに名前を書く。


「はい。」

「さんきゅ~♪」

 大愛はノートを受け取ると自分で複写していく。


「チハルはハルトさんの名前書ける?」

「うん、覚えたよ、あと自分の名前も書けるよ。」

「流石王女殿下だね。」

「なんかさぁ、クラークさんが書類持ってきたらサインする事あってさ、名前は書けるようになったよ。」

「宰相さん?」

「うん、良く分かんない書類もってくんの。」

「分かれよそこは。」

「いや!一応説明はしてくれるんだよ!?」

「でも分からないと。」

「・・・はい。」

 コクリと首を下げる千春。


「私も書けるよん。」

 横から頼子が楽し気に話しかける。


「マジで?!」

 反応したのは美桜だ。


「ミオは書けないの?」

「・・・書く機会無くね?」

「無いっちゃー無いね。」

「まだ今からよ!」

「そうだね、でも書けた方が良いよ。」

「・・・はい、覚えます。」

 ガックリと首を下げる美桜、すると後ろから声が掛かる。


「あら、変わった字ね、何処の国の文字?」

「あ!アヤネちゃん!」

 美桜は驚き後ろを振り返ると、英語の担当、南綾音先生がのぞき込んでいた。


「南アジア・・・ネワールでは無いわね、クプタ・・・シンハルほど丸くないわね、何処の言葉なの?」

「へ!?えっと!あー・・・え~。」

 言葉に詰まる美桜。


「南ちゃ~ん、石田と良い感じらしいね~。」

 ニヤニヤと笑みを浮かべながら声を掛ける麗奈。


「・・・学校では内緒にして、お願い。」

「えー良いじゃん、うちの学校職場恋愛禁止なの?」

「禁止じゃないわよ、教頭曰く推奨らしいし?」

「へーそうなんだ。」

 麗奈はそう言うと隠した手を振りノートを閉じさせる。


「・・・で?さっきの文字何処の国なの?」

「う゛・・・なんで?」

「外国語覚えるの好きなのよ、あなた達が書いてる文字に興味持っただけよ?」

「へ・・・へぇ~・・・。」

「これジブラロール語ですよ。」

 しれっと言う千春。


「ジブラロール?聞いた事無いわね、どこの国かしら。」

「結構昔の文字っぽいですよ、なんか可愛いんで私達の名前書いてみてたんです。」

「へぇ~、そうなんだ、私の名前で書ける?」

「ヒマリ書ける?」

「書けるよー。」

 日葵はそう言うとノートにミナミアヤネとジブラロールの字で書く。


「はい南ちゃん。」

「へぇ~珍しい、これ貰っても良い?」

「・・・いいです・・・よ。」

 日葵はチラリと千春を見ると千春は苦笑いで頷く。


「ありがと、さ、授業始めるわよー。」

「「「「「「はーい。」」」」」」

 南先生はそう言うと教壇に立つ、千春達はワラワラと机に戻り授業が始まった。



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「あせったわぁ~。」

 授業が終わり昼休みに皆が集まり昼食を取る。


「ま、この世界の言葉じゃないし探せないっしょ。」

「でも色々知ってたね。」

「ねー、なんちゃら語って色々言ってたね。」

「ジブラロールって言っちゃってたけど大丈夫?」

「ググっても出て来ないし大丈夫っしょー。」

 千春は気にせず玉子焼きを口に入れる。


「そういやさー。」

「ソイヤッサー!」

「いや掛け声じゃ無いんだわ。」

 日葵は美桜に突っ込みながら話を続ける。


「算数なんだけどさ。」

「どうした急に。」

「数学ではなく算数かい。」

「うん、分数とかをさ、上手に教える方法教えて。」

「・・・ん?誰におしえるん?」

「ルペタ。」

「いや、まだ早かろうぜ。」

「あとコロソとジエル。」

「なんで教えてんの?」

「教えて欲しいって言うから教えてるんだけどね。」

「算数かぁ・・・掛け算割り算までなら教えれるが!?」

「それくらいは私でも教えれるわい。」

「100均にドリル売ってんじゃん。」

「うん、それ持って行ったけど日本語だし説明してんだけど・・・うまく伝わらぬのよ。」

 うーんと唸りながら話す日葵。


「ヒマねーちゃんに教えてもらったら?暇そうじゃん、ヒマだけに。」

 一人で言ってケラケラとウケル大愛を横目に花音が突っ込む。


「ダイアさむっ!・・・パパさん達は教えれないの?」

「うーん、私の教え方と同じ様な感じだったからなぁ。」

「やっぱり先生とは違うからなぁ。」

「先生連れてけば?」

「は?」

「先生って?」

「南ちゃんとか。」

「えー!?」

 花音の提案に驚く面々。


「先生連れて行くのヤバい?」

「ん~?その人が問題無ければノ~プレ。」

 花音に何でもない様に言う千春、そして頼子も話す。


「うん、どのみちアイトネ様に見てもらうし、問題ある人はお帰り願うから。」

「でも勉強教えれる人って貴重だよね。」

「千春そこんとこどう?」

 皆の話に麗奈が千春へ問いかける。


「いんじゃない?」

「いいんかい。」

「でもどうやって呼び出す?いつもと違って私達がお願いするわけだし?」

「そう言われりゃそうだね。」

「でもアヤネちゃん英語じゃん?」

「「「「「あ。」」」」」

「石田も連れてけば?」

 美桜が呟く。


「石田って数学だもんね。」

「どうやって連れてくのよ。」

 花音と青空が美桜を見ながら問いかける。


「・・・アヤネちゃんとの交際をバラされたくなければついて来い!って感じ?」

「いや、ダメだろソレ。」

「脅しやんけ。」

「先に南ちゃん連れて行って、その後石田連れて行くってのは?」

「あー、南ちゃんの方が順応性有りそう。」

「言えてるー、って言うか南ちゃんどうやって連れて行くんよ。」

「・・・交際をバラされたくなけれヴぁ!」

「ミオ・・・無茶ぶりだなぁ。」

「アリだなぁ。」

 千春はぽけ~っとした顔で呟く。


「え?バラされたくなければって連れて行くの?」

「いや、石田連れて行くなら南ちゃん連れて行くのもありじゃん?」

「あーそっちか。」

「大人も結構行ってるけど先生的な人居ないじゃん?」

「いないね・・・お父さん達子供になってるし。」

「ちゃんと仕事してたよ。」

「いや!ソラは知らないんだよ!パパ達めっちゃ遊んでるからね!?」

「マジで?!」

「うん、仕事もしてるけど魔導バイクとか作ってたからね!」

「おぉ!何それかっけぇ!私も乗りたい!」

「免許無くてイイの?」

「良いんじゃない?そのうち作るかもだけど。」

「おーい、話それてっぞー。」

 青空や麗奈に突っ込む頼子。


「よし、それじゃまず南ちゃん拉致ろう。」

 千春はそう言うと立ち上がる。


「どうやって?」

「・・・進学の相談的な感じで聞いてみるかな。」

 千春はそう言うとニヤっと笑った。





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