プレゼントは手作りで!

「ただいま千春~♪」

「おかえりー、なんかいいネタあった?ヨリ。」

「うん、なんとなくイメージは出来たよ、千春は?」

「まぁぼちぼちね♪」

「おぉ~?その感じだともう決まってるっぽいね。」

「バレたか。」

「付き合い長いからね~。」

 千春と頼子が話をしていると美桜や麗奈、青空達も帰って来る。


「おかえりー。」

「ただいまっ!」

「ん~ただいまぁ・・・。」

「ありゃ?ソラ決まらなかった感じ?」

「うん、こう・・・異世界だと!ってイメージが全然わかなくてさぁ。」

「別に異世界に拘る必要ないじゃん。」

「そうなんだろうけどさぁ、チハルは?」

「まぁぼちぼち考えてるよ。」

「・・・あー、ヌイグルミ?」

「・・・それはどうかな!」

「ヌイグルミかぁ良いねぇ。」

「・・・なんでバレんの?」

「いや、普段ルプヌイ持たないじゃん。」

「寝る時出してるよね。」

 ルプのヌイグルミを抱いた千春は顔を赤くする。


「魔石で何か作るかぁ。」

 大愛はそう言うと魔道具のカバンから魔石銃を取り出す。


「ダイア、流石にそれはダメだと思うよ。」

「わかってるよぉ、でも何かヒントになるかな~って。」

 青空に言われ答える大愛。


「はーい!」

 不意に手を上げる日葵。


「はい、ヒマリさん。」

 麗奈が日葵を指差し答える。


「別に配るプレゼントは秘密じゃなくてもよくない?」

「・・・まぁそだね。」

 日葵の言葉に麗奈が頷く。


「うちらのプレゼント交換はさ、秘密でも良いけどお世話になってる人には皆で考えても良いと思うんだよね。」

「ヒマリ!採用!」

 悩んでいた青空が声を上げる。


「ソラ考えるの面倒になっただけじゃん?」

「言うんじゃぁないよ!」

「それで?作る物考えてる人何作るの?」

 青空が千春を見る。


「私はコレ。」

 ルプのヌイグルミをテーブルに置くとユラも狐のピノをテーブルに置く。


「おぉぉ!歩いておるぞい!?」

「ヌイグルミにゴーレム化の魔石を入れてるんだよ。」

「は!?そんな魔道具作れたの?!」

「うん、デンハがね。」

「精霊魔法的な?」

「そ、精霊魔法。」

「うーん・・・。」

 話を聞いた麗奈が唸る。


「チハルそれって小さい子なら喜ぶだろうけど・・・大人はどうかねぇ。」

「んぁ~・・・まぁそう言われれば・・・お父様がヌイグルミ貰っても困るかなぁ。」

「喜ぶとは思うけどね~。」

 千春が唸ると頼子が笑いながら答える。


「で?笑ってるヨリのネタはなんじゃらほい?」

「私?私は前オークションで出した魔法陣組み込んだ宝石をアクセにしようかなって。」

「あ~良いね~。」

「ちょーっとまったぁ!」

 日葵が手を上げ頼子を止める。


「なに?ヒマリ。」

「それオークションで幾らで売れたか覚えてる?」

「えっとぉ・・・1000枚超えた気がするね。」

「1200枚くらいじゃなかった?」

 千春と頼子が言うとサフィーナがポツリと呟く。


「1265枚ですよ。」

「・・・ヤバいか。」

「ヤバそう。」

「でも元手はタダなんだよなぁ。」

「アルミ缶潰して作った宝石に魔法陣組み込んだだけだもんね。」

 頼子と千春はウンウンと頷きながら呟く。


「・・・ソレ、ダメかぁ。」

 話を聞いていた麗奈が残念そうに呟く。


「レナもソレ考えてたわけ?」

「うん、私も作れるからさ。」

「流石は魔石技師。」

「ヨリは宝石加工技師だっけ?」

「そんな名前付いてたなぁ。」

 天井を見上げながら2人は話す。


「でも身内だけだし良いんじゃね?」

「そうだよ、効果だって家内安全だったよね?」

「うん、アリンさんから教えてもらった紋章だよ。」

「魔法陣と同じって言ってたね。」

「他の紋章は無いの?」

「あるよ、防御UPとか火力UPとか。」

「マジか、色々作りたいな。」

「話それてんぞ~。」

 思わず突っ込む日葵。


「祝福とかそう言うのじゃないなら良いんじゃない?」

「祝福?」

「ほら、千春がドラゴンの卵につけたやつとか。」

「あ~・・・つけたなぁ、あれって紋章と言うか魔法陣に出来るのかな。」

 千春はドラゴンの卵に聖女の祝福を付けた事を思い出す。


「祝福の仕方はアイt・・・うぉっと危ない!」

 美桜は思わず名前を呼ぶところで言葉を止めた。


「おしい!」

「おしくないわ!」

 ゲラゲラ笑いながら大愛が美桜に突っ込む。


「でも某女神様なら祝福の紋章作れそうだよね。」

『よんだー?』

 某女神と遠まわしに言った大愛が床に手を突き項垂れる。


「うそぉぉぉ(ボソッ)」

「笑った罰じゃい。」

 ケラケラと笑う美桜。


「アイトネ、呼んでないけど祝福の紋章とか有るの?」

『無いわよ?でも作れるわよ?』

「あ、作れるんだ。」

『ん~、あぁそう言う事ね、どういう祝福の宝石作るの?』

「いや、作れるか聞いてるだけで作るとは言って無いし心を読まないで頂きたい!」

 千春は苦笑いでアイトネに言う。


『そうねぇチハルとヨリとソラなら簡単に作れるわよ、ミオもね♪』

「へ?なんでウチもそっちなんですか!?」

『今呼んだから♪おめでとう♪』

「呼んでないですぅ!!今呼んだのダイアですぅぅう!!!」

『その前に半分呼んだでしょ?』

「アレカウント入るの!?」

『えぇ♪ミオの言葉で気付いたもの♪』

「ミオ。」

「なに・・・チハル。」

「ナカーマ。」

「よっしゃぁ!セーフ!!!!」

 嬉しそうに言う千春に喜ぶ大愛、項垂れる美桜。


『それじゃ聖女に作れる祝福の紋章を教えるわね♪』

 アイトネはそう言うとフワリと手を動かす。


「おぉぉ!すごっ!」

「へぇ~こんな模様作れる気がしない。」

「わ~綺麗な紋章。」

「・・・うん、凄いです。」

「チハルおねぇちゃんこのもようなにー?」

 聖女の頭に直接紋章を覚えさせるアイトネ。


「なに?何か見えたの?」

「見えたと言うか・・・記憶に埋め込まれたと言うか。」

「うん、なんか見えた。」

「へぇ~、流石聖女。」

「ユラちゃんも見えたんだね。」

「ユラもしれっと聖女になってるからねぇ。」

 頼子はおもむろに影から宝石を取り出すと魔力を通す。


「ヨリ作り方分かるの?」

「ん、なんとなくわかるね~。」

 頼子はそう言うと宝石に魔力を通す、そして。


「祝福♪」

 ぽわっと光る宝石の中に細かい模様が入った紋章が浮かび上がる。


「おぉぉぉ!」

「すごぉぃ!」

「ヨリ、まだ宝石ある?」

「あるよん。」

 青空は頼子から宝石を受け取ると、同じ様に魔力を通す。


「祝福♪」

 同じ様にぽわっと光る宝石、そして宝石の中に同じ紋章が浮かび上がった。


「おぉ!出来た!」

「ヨリ!私も貸して!」

 千春は楽し気に宝石を受け取り魔力を通す。


「祝福♪」

 ぽわっと光る宝石。


「おぉぉ!出来た!ユラもやってみ?」

 千春は宝石をもう1つ受け取るとユラに渡す。


「しゅくふくって言うの?」

「そ、やってみて。」

「・・・しゅくふく♪」

 ぽわっと光る宝石をユラはじーっと見る。


「できたー!」

「出来たねー♪」

 キャッキャと喜ぶ聖女達。


「・・・ヨリ、私も。」

 どんよりした顔で美桜が手を出すと、頼子はニッコニコの顔で宝石を渡す。


「・・・しゅくふくぅ。」

 同じ様にぽわりと光り紋章が浮かび上がる。


「できたしぃぃぃぃぃ!」

「おめでとう。」

「おめでとう。」

「ミオおねえちゃんおめでとう!」

「ミオ、ナカーマ。」

 4人をジト目で見る美桜。


「で、アイトネこの紋章の祝福効果って何?」

『これ?この持ち主に悪意を持って近寄ると悪意が跳ね返る祝福よ♪』

「・・・アウトじゃん?」

「・・・いや、これあげる人って身内じゃん?あった方がよくね?」

「・・・悪意が跳ね返るってどれくらいの威力何だろう。」

「・・・試すのが怖いな。」

 4人は宝石を見ながら呟く。


「アイトネさま、どれくらいこうかあるの?」

 ユラはアイトネに問いかける。


「嫌がらせをするレベルならその嫌がらせ程度、殺意を持っているなら殺意が帰って来るわよ。」

「うっわこわ!」

「でもお守りとしては最強じゃん?」

「そりゃ女神様から直伝の祝福だよ、最強に決まってるわ。」

「でもあんまり作るとヤバくね?」

「だねぇ、誰にあげるか決めてから作るか。」

「そうだね。」

 JK達とユラは誰にあげるかの話で盛り上がる、そしてこの話を後日聞いたエンハルトとアリンハンドは頭を抱えた。






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