もうすぐクリスマス!
「寒いです!」
美桜は登校しながら叫ぶ。
「まぁ冬だから。」
「あっち暖かいからねぇ。」
「同じ夏でもジブラロール過ごしやすいよね。」
「魔法で調節してるんだっけ。」
「でも王都に行っても言う程暑苦しい感じしないもんね。」
寒空の中、学校に向かう面々。
「で、期末も終わったんだけど~。」
「次はクリスマスですなぁ。」
「プレゼント交換する?」
「する!」
「レナION行くかね?」
「ミオ~何買うの~?」
青空は美桜の腕に抱き着きながら問いかける。
「言ったら面白くなくない?」
「なくなくない?」
「どっちよ。」
「プレゼントかぁ~。」
千春は空を見上げながら呟く。
「千春何か買うものあるの?」
「いや、逆、なーんも思いつかない。」
「だよねぇ~、あっちで楽しめる物が良いかなぁ。」
「ユラにもあげたいし、おかぁさんとかお母様、お父様にもあげたいし?」
「あららら~?ダーリンにはあげないのぉ?」
揶揄いながら大愛が千春をつっつく。
「・・・あげるよぉ・・・何あげたら喜ぶかなぁ。」
「かぁぁぁ!チハルがあげる物なら何でも喜ぶでしょうがぁ!」
「私もいろんな人にあげたいなぁ。」
騒ぐ大愛や青空を横目に日葵も呟く。
「ヒマリは誰にあげんの?」
「お父さんとかお母さんでしょー、お父様達にもあげたいし、ハチェット様とかルペタにもあげたいしー、コロソとジエルにも何かしたいなぁ。」
「コロソとジエルはもうヒマリの付き人だもんねぇ。」
「うん、ずーっと一緒にいるからね。」
同じ歳の侍女、コロソとジエルを思い出しながら呟く。
「ねぇ、買わずにあっちで作らない?」
「へ?何を?」
麗奈が提案すると美桜が聞き返す。
「ほら、こっちの物って持って行くと面倒な事も有るじゃん?」
「まぁ、今更感あるけどね。」
「あっちで面白い魔道具作ったりさー、色々有るじゃん?」
「空飛ぶ箒とか?」
「それも有りっちゃーありかな。」
「ん~、面白いかもね。」
「よし!今日帰ったらみんなで考えよう!」
「おっけー、ちょっと楽しみになったわ。」
「それな~。」
JK達は何故か皆でスキップしながら学校へ向かった。
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「おかぁさんただいまー。」
「お帰り千春、あれ?みんなは?」
「ん、ネタ探しにION行ったりトイジャラス行ってる。」
「ネタ?・・・あークリスマスのプレゼントなのね。」
「ねぇおかぁさん、シレっと思考読むのやめない?」
「見えちゃうんだもん。」
「だもんって可愛く言ってもダメでーす。」
門の部屋で本を読んでいる春恵にもの言いを付けながら千春は応接室に移動する。
「おかえりなさいチハル。」
「サフィーただいまー・・・あー、トゥトゥいらっしゃい。」
「おじゃましてますわ~♪」
「で?フルールちゃんは?」
「食堂に行きましたわぁ。」
「毎日来てんねぇ。」
呆れた様に呟く千春。
「今日は料理人を3人連れて来ていましたから、料理を教える為に来たみたいですよ。」
「まぁあっちでも作れたら来なくて良いもんね。」
「そうですね、まだ戴冠式は終わってませんが女王陛下になるわけですから。」
サフィーナもクスクスと笑いながら答える。
「お帰りなさいませ!チハルさん!」
「おねえちゃんおかえりなさい!」
「ただいまモリー、ユラ。」
「皆さんは?」
「ちょっとネタ探しにお店周りしてるよ。」
「ネタ?」
「そ、もう少ししたら楽しいイベントがあるんだよ。」
「へぇ~そうなんですね。」
「なにがあるの?」
「ん、クリスマスってイベントだよ、みんなでケーキ食べてプレゼント交換して楽しむ日なの。」
千春は分かりやすくユラに説明する。
「ユラもぷれぜんとする!」
「皆さんにプレゼントとなると沢山必要ですねぇ。」
「モリー、1つで良いんだよ。」
「へ?皆さんにあげるんですよね?」
「んにゃ、1人1つ準備して誰にどのプレゼントが行くか分からないってヤツするから。」
「えー、皆さんにあげたいですぅ。」
「ユラもー!ユラもおねえちゃんたちにあげたい!」
「まぁ私も個別であげるつもりだけどね。」
千春は話をしながらカバンをアイテムボックスに入れ着替えに移動する。
「んー、何にしようかなぁ。」
寝室に移動するとサフィーナがついて来る、そして千春の呟きに問いかける。
「誰にあげるんですか?」
「イツメンにはさっき言った様に1つで良いんだけど・・・お父さんとかお母さん、お父様達、ユラとか・・・サフィーとかにもねぇ~。」
「あら嬉しい、チハルに貰えるなら何でも嬉しいわ。」
ニコニコしながら千春の着替えを手伝うサフィーナ。
「で!何にしようか考えてるんだよね。」
「皆さんは何にするか言われてました?」
「んにゃ、それを考えに今日出かけてるんだけどさ、こっちで作れる物をって言ってたんだよ。」
「こっちで?」
「うん、あっちの物を魔道具で作れないかなって。」
「・・・それはまた凄い事を考えますね。」
「ほんと・・・誰だこんな事言ったの。」
千春は苦笑いで呟く、着替えが終わり応接間に戻る。
「チハルおねえちゃん見て!」
ユラは狐のヌイグルミを床に置くとヌイグルミが歩き始める。
「ピノって歩けるんだ・・・イロハが操ってるの?」
「違うわよ?」
「へ?!んじゃなんで動いてんの!?」
「デンハちゃんのまほーなのー!」
ユラはペットが寛ぐスペースに新しいクッションの上で寛ぐ猫の精霊デンハを見る。
「精霊魔法ですよ・・・ニャ。」
「精霊魔法で操れるの?」
「単純なゴーレムの核と同じ魔法なんです・・ニャ。」
「へぇ、精霊魔法でゴーレム作れるんだ。」
「ウッドゴーレムで村を護衛させるときに使う魔法ですね・・・ニャ。」
「・・・デンハそれ魔石に組み込めるの?」
「はい、組み込めますけど、大きな物は僕には無理ですよ?・・・ニャ。」
「いや、コレで良い!コレが良い!ユラ、一緒に人形つくらない?」
「作る!」
「デンハ、ちょっと数多いけど魔石で魔道具作ってもらえる?お礼するから。」
「頑張ります!・・・ニャ!」
「お礼は何が良い?」
千春は作る物が決まりウキウキで問いかける。
「デンハ・・・酒と言え酒と(ボソッ)」
「お酒でお願いします!・・・ニャ!」
「ループー・・・。」
「良いじゃねぇか、デンハも結構呑むようになったからな。」
「はい!日本酒は美味しいですね!ニャ!」
「よし、魔石は・・・沢山・・・肉の中にある。」
千春は解体していない魔物を思い浮かべながら呟く。
「チハル、私が保管してる魔石も有りますよ。」
「ナイス!サフィー!」
サフィーナはバラバラと魔石を取り出すとデンハに渡す。
「色々使えそうだし、まだ日はあるから沢山作っといて!」
「はーい分かりましたー・・・ニャ!」
「サフィー人形つくれる?」
「・・・まぁ・・・少しなら?」
「微妙な反応だねぇ、サリナ作れる?」
「いえ、作った事は有りません。」
「モリーは?」
「作れると思います?」
「思わないよ、マクリは~無理かな?」
「無理ですニャー。」
「チハルおねぇちゃん、コラリーおねえちゃんが得意だよ!」
「モリー!コラリーちゃん呼んで来て!」
「了解です!」
モリアンは扉を勢いよく開け消える。
「材料はどうしようかな、ユラ、ルプヌイ作った時どうしたの?」
「ドロテおねえちゃんがしょうぎょうぎるどでかって来てくれたよ?」
「サフィー、モリーにドロテちゃんも呼んで来てって連絡お願い。」
「はい。」
サフィーナは直ぐに魔導通信道具でモリアンに声を掛ける。
「よし!私は動くヌイグルミ作るぞー!」
「おー!」
千春が腕を上げるとユラも腕を上げる、2人は目が合いニッコリと楽し気に微笑んだ。
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