陽菜、異世界に移住する!

「ワークスさん!大トロで!」

「はいミオ様。」

 ワークスはシャリを握り大トロを乗せると軽く握る。


「どうぞ。」

「・・・うみゃぁ!」

「なんでワークスさん寿司握れるのよ。」

 千春は驚きながら美桜を見る。


「これ、動画見せたの。」

 寿司を握る動画を見せながら美桜は大トロの寿司を食べる。


「・・・まぁ酢飯は作ったけど、動画見て握れるの凄いな、ワークスさん私も!」

「はい、チハル様。」

 ささっと握り千春の前に寿司が並ぶ。


「うみゃ!」

「それは良かったです。」

 ニッコリ笑うワークス、麗奈や頼子も寿司を頼み始めた。



-------------------



「異世界よねココ。」

「そだよー。」

 日葵は陽菜に言われ平然と答える。


「なんでマグロなの?」

「マグロ居たから。」

「・・・で?詳しい話はいつしてくれるわけ?」

「えぇ~?何が聞きたいのさー。」

「なんで来れるようになったの?」

「ん、かくかくしかじk・・・痛ぁぁい!グーはダメだって!暴力反対!」

「分かるわけないでしょ!お母さん!ちょっと!ヅケ丼食べてないで教えてよ!」

「んー、まぁそのうち分かるわよ?」

「い・ま・し・り・た・い・のっ!」

 キレ気味に言う陽菜、しかたないなぁとぼやきつつ日葵と梅乃は説明を始めた。



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「それで藤井さんの家・・・チハルちゃんの家なのね。」

「そ、あのクローゼット、みんなは門って言ってる所ね、チハルしか通れないんだよ。」

「え?さっきチハルちゃんのお母さん通れたじゃない。」

「あー、ハルママは女神様だから。」

「・・・はぃ?」

「話すと長くなるんよー。」

「分かったわ、それで?」

「おわり。」

「終わるな!」

「だってー!何知りたいか教えてくんないと答えれないよ!」

「それじゃ・・・その・・・ヒマリの彼氏さんは?」

「ハチェットさんだよ。」

 日葵はハチェットを見ると、すっと立ち上がりハチェットは話しかける。


「ご挨拶が遅くなりました、ハチェット・ジル・ブルーワグと申します。」

「ハチェットさんブルーワグ国の第一王子様なんだよ。」

「へぇ~・・・えぇぇ!?そんな人が彼氏なの!?」

「ちっちっち、婚約者で~す。」

「って事はヒマリって王妃になるの!?」

「・・・多分そうなる・・・よね?」

 少し心配そうにヒマリはハチェットを見ると、ハチェットはニッコリ笑い頷く。


「嘘でしょ・・・。」

「本当よ~、お母さんもブルーワグ国で仕事してるもの。」

「言ってたね、美容関係だっけ。」

「そ、チハルちゃんのお母様、ジブラロール王妃殿下のマルグリット王妃が経営してる商会ね。」

「・・・凄い事になってるね。」

「慣れるわよ。」

「うんうん、なれるなれる。」

「・・・お父さんは?」

「この前教えたばっかりなのよ、今は多分ムカイ領で呑んでるわ。」

「はぁ?!仕事は?」

「ウカさんの会社の出向社員になったわ。」

「ウカさん・・・宇迦之御魂様!?」

「そ、日本の神様がやってる会社よ。」

 2人は宇迦之御魂を見ると、声が聞こえているのかこちらを見て手を振っている。


「日本の神様も居るんだ。」

「そこにいるルプ君やビェリー君も土地神だからある意味神様よ。」

「マジ!?」

 ルプと目が合う陽菜、ルプはニヤリと笑う。


「ねーちゃんもこっち来る?」

「へ?来て良いの?」

「いんじゃなーい?仕事は?」

「私の仕事は場所関係無いから別に良いけど、お母さんココ魔法使えるって言ってたよね。」

「使えるわよ。」

「・・・うん、ネタの宝庫だ!移住する!」

「ネタって・・・ねーちゃん小説書いてるんだっけ?」

「そ、食べていけるくらいには稼いでるわよ。」

「でもネタってあるかなぁ。」

「有るじゃない!異世界に魔法!チハルちゃん達は聖女でしょ!?」

「まぁそうだね。」

「神様やドラゴン!獣人!魔物も居るって言ってたわよね!」

「いるねー。」

「異世界に移住してお父さん達領地開拓でしょ?」

「してるねー。」

「お母さん達は知識チートで美容関係!」

「そうだねー。」

「ネタだらけじゃない!」

「・・・そう言われればそうかもしんない。」

 拳を握りながら言う陽菜、日葵は呆れ気味だ。


「取材させてよね!」

「え?でもあっちにコッチの事教えるのまずくない?」

「大丈夫よ、誰が信じるのよこんな話。」

「えぇ~?ウカ様~この話大丈夫ですかー?」

 日葵は宇迦之御魂を見ながら声を掛けると、宇迦之御魂はOKサインを出していた。


「大丈夫みたい。」

「それじゃ早速私もこっちで暮らすわ、どこか部屋借りたり出来るかしら、その前にお金稼がないとダメか!」

「あ、お金は大丈夫だよ、私も色々やってるから。」

「お母さんもお金あるわよ、あとジブラロールとブルーワグにも家あるわよ。」

「「は!?」」

 陽菜だけでは無く日葵までが声を上げる。


「え!?いつの間に家買ったの!?」

「買って無いわよ、ジブラロールはメグさんから、ブルーワグの方はイショナさんが用意してくれたのよ。」

「えぇぇ・・・お母様気前良すぎでしょぉぉ。」

「そんな事はないよヒマリ、ユウタ様にはブルーワグで爵位もお渡しするようになっているから。」

「マジすか、良いの?」

「勿論だよ、ムカイ領と同じく開発を進めてもらう話が付いているからね。」

「初耳なんですけどぉ!」

「言って無かったかしら。」

「聞いてないよ!」

「ちょっと!私置いて行かないでよ!」

 話に付いて行けない陽菜が叫ぶ。


「それじゃヒナちゃんもこっちでお仕事って言う事で。」

「でも電気ないよね?PCのバッテリー充電と通信も出来ないと困るかも。」

「あー、アイトネ様ー。」

『はーい、いつものねー、ぱそこんの方は魔力からの変換で充電出来るようにしておくわ、通信はスマホと同じ様にしておくわね♪』

「有難うございます♪」

「どういう事?」

 困り顔の陽菜に日葵が説明する、そして。


「取り敢えず今日は帰るわ。」

「帰るの?泊れば?」

「色々準備もあるでしょ。」

「明日すれば良いじゃん。」

「そうよ、もう遅いでしょ?」

「こっち泊る所あるの?」

「ジブラロールなら部屋あるよ。」

「どうやって帰るのよ。」

「この子が送ってくれるよ。」

 頭の上にピョコンと現れる妖精クゥクゥ。


「クゥクゥよ!よろしくね!おねえちゃん♪」

「・・・妖精かぁぁぁ、ファンタジーすぎる!」

「それじゃお母さんとヒナちゃんは一回帰りましょ♪」

「・・・そだね、頭落ち着かせたいわ。」

「ヒマリはこっちでお泊りよね?」

「そだよー。」

「明日時間あるなら国王陛下にお話ししましょ。」

「どっちの?」

「両方よ。」

「りょうかーい。」

 梅乃と陽菜は立ち上がる。


「それじゃお邪魔しました♪」

「・・・お邪魔しました。」

「おねえさんまたねー!」

「マグロまだあるよー!」

「魔物肉は?食べて無いよね?」

「明日でいんじゃね?移住するって聞こえたし。」

「せやね、時間は沢山あるぜぇ!」

「スライムゼリー食べさせよう。」

「いや、蟻しゃぶじゃん?」

「ブラブルか魔国牛食べたらもう帰れないよ。」

 JK達は手を振りながら食べ物の話をする、陽菜はマジか!と呟きながらも梅乃と一緒にフェアリーリングに入り消えた。


「さて!マグロはまだある!食べるぞー!」

「いや、千春もう入らない。」

「腹いっぱい。」

「おやつ食べれないかも。」

「えー?みんな食べ過ぎじゃん、せっかくショートケーキ買って来てんのに。」

 チハルはシュトルーゼで買ったケーキを取り出す。


「こっちの箱はアイトネのだよー。」

『やった♪チハル大好き♪』

「モートさん・・・いつの間に来てたの?」

「ユラがよんだのー!」

「呼ばれたからな。」

「・・・ま、ユラはもう聖女だし良いけどね。」

「ユラせいじょなの?」

「ん、気にしなくて良いよー、みんな近いうち聖女になるから。」

「まて!チハル!まだ分からんよ!」

 美桜は手を出しながらストップをかける。


「ミオ諦めなー?」

 頼子はそう言うとシュトルーゼの箱を開けケーキを皿に並べて行く。


「そうそう、もうほぼ確定だってばよ。」

「うちらもヤバいんだってばよ。」

「私もそろそろ9なんだよなぁ。」

 青空はケラケラと笑いながら、大愛と麗奈は悲し気に呟く。


「ヒマリ、もしかしてヒマリも?」

「ハチェットさん、気にしたらダメです。」

「いや、聖女だよ、ジブラロールもそうだけれど聖女は国王陛下よりも上だよ?」

「そう言うのは別に良いんで。」

「・・・うん、でも聖女になったら教えてくれるかい?」

「教えたらどうなります?」

「国を挙げての祭りだろうね。」

「やだぁぁぁ!!それはいやぁぁぁ!!」

 叫ぶ日葵を皆は生暖かい目で見るそして揃って一言呟く。


「「「「「「「あきらめろん。」」」」」」」

 花音までもが一緒に呟き日葵はがっくりと項垂れた。




 


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