閑話休題:害虫処理!

「イヤン、畑の様子はどう?」

 ハヴァーン族のエニアは両手を翼にし獣人化したまま話す、イヤンは精霊化し畑を見回し声を掛ける。


「うん!もんだいないって!おねえちゃん!」

 氏族に追われ、行き場をなくした姉妹は王都の外れの畑を見ていた、イヤンは近くに居た妖精達と戻ってくる。


ブブブーーーン


「あ、蜂ちゃんがよんでるよ。」

 軍隊蜂のアミの子がイヤンの周りを飛び話しかけている。


「虫がでたって!」

「虫?蜂ちゃんで対処出来ない虫なら私達も無理じゃ無い?」

「どうだろー、ミューミューわかる?」

 イヤンの友達の妖精ミューミューはコテンと首を傾げる。


「行ってみましょう、チハル王女殿下の畑に問題があったら大変だわ。」

「ミューミューいこ!」

 2人とミューミューはアミの子について行くとマンドラゴラ畑を通り過ぎ、食虫植物フォルギネ畑に辿り着く。


「蜂ちゃん虫はどこー?」

 アミの子はクルクルと畑を見渡すと、隅の方に向かって真っ直ぐ飛んでいく、するとフォルギネの横から妖精が飛び出す。


「あ!妖精さんだ!」

「違うわ!あれは妖精虫よ!」

「え!?あれが!?」

 エニアは妖精虫を知っていた様で驚く。


「妖精さんじゃないの?」

「あんなの妖精じゃ無いわ!」

 ミューミューは怒ったように言うとエニアが説明する。


「妖精虫は見た目が妖精そっくりだけれど、生態は全く違うの、畑を荒らし他の生き物に卵を産み付ける害虫よ。」

「えー!たいへん!どうしょう!」

「大丈夫!私達が対処するわ!」

 ミューミューはそう言うと他の妖精達を呼び始める。


「どうしたのー?」

「どうしたー?ミューミュー。」

「あ!虫!」

「むしだ!軍隊蜂じゃ対処出来ないね!」

「ぼく他の子呼んでくるよ!」

 ワラワラと集まる妖精達、そして数人の妖精がポコポコとフェアリーリングを作り飛び込むと、すぐに妖精達が戻り、溢れる様に妖精が次々と飛び出して来た。


「みんなー!虫退治するわよー!」

「まかせろー!」

「任せて!」

「僕たちは他の畑も見てくる!」

「私はあっちみてくるわ!」

 グループをすぐに作る妖精達、そして目の前に居る妖精虫に数人の妖精が魔法で駆除を始める。


「えい!」

「うりゃー!」

「ひゃっほー!」

 3人の妖精が風魔法で妖精虫を切り刻む。


「しょりしょりー。」

「汚物は消毒ぅ〜!」

 2人の妖精が火魔法で切り刻んだ妖精虫を綺麗に焼き払う。


「もやしちゃうの?」

 イヤンが問いかけるとミューミューが答える。


「卵が残ってたらまた産まれちゃうからね!」

「うん!1匹いたら30匹はいるからね!」

 他の妖精達も頷きながら答える。


「みんなー!アミ子ちゃん達とグループでこの辺一帯探索!見つけ次第即時処理よ!」

「了解!」

「わかったわー!」

「アミ子ちゃんいくよー!」

 グループを組んだ妖精達、軍隊蜂達も広範囲に広がり探索を始めると、所々で魔法が飛び処理されていく。


「イヤン、私達も他の畑を見に行きましょう。」

「うん、わかったおねえちゃん、ミューミューいこう!」

「そうね、あっち、ファンガス畑に行きましょう!」

 ミューミューが言うと2人は空を飛びファンガス畑に向かった。



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「ギルマス、姫様畑に妖精虫が出たそうです。」

「なんだと!?冒険者ギルドに報告したか?」

「はい、しかしエニア、イヤンが妖精と軍隊蜂を連れ対処しているとの事です。」

 報告を受けた商業ギルドマスター、メイソンは腰を下ろす。


「そうか、駆逐出来そうか?」

「はい、少なくとも姫様畑は問題ないと。」

「わかった、冒険者ギルドには王都の畑周りの調査依頼を、もし見つけたなら直ぐに対応してもらおう。」

「エニア姉妹の方にも依頼しますか?」

「妖精虫の数次第だな、その際は依頼するがあの2人はチハル王女殿下の畑管理に集中してもらう。」

「あの畑は特殊ですから仕方ありませんね。」

「あぁ、妖精と軍隊蜂が『アレ』を育てている、あの2人にしか管理は出来ないからな。」

 メイソンが答えると、ギルド職員は頭を下げ部屋を出て行った。



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「いたぞー!」

「ひゃっはー!」

「駆逐だぁ!」

「汚物は消毒だー!」

「ブブブブブブ!」

 妖精と軍隊蜂は害虫駆除を続けた、それはそれは楽しげに・・・。







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