イッカクマグロ実食!

「チハル、エーデル達が戻って来たぞ。」

「マ!?何処何処?」

 指差す方を見るとドラゴン達が飛んで来る所だった。


「・・・なんか持ってるね。」

「アレがイッカクマグロ?」

「だなぁ。」

「デカいなぁ。」

 ロイロは足で大きな魚を掴んだまま地上へ降りて来る。


『チハル、とったどー。』

「うん・・・探しに行くだけだったんじゃないの?」

 ロイロはイッカクマグロを砂浜に降ろすと人型に戻る。


「沢山いたんじゃが早くてのぅ、電撃を当てたら一匹だけ浮いたのでな、捕って来た。」

「そっかぁ・・・でっかいなぁ。」

「これ何メートルあんの?」

「ロイロちゃんの広げた翼片方より大きいから7mくらいじゃん?」

「メジャー持ってない?」

「有るわけがない。」

 JK達がイッカクマグロを見ているとエーデルが走り寄る。


「チハル様、群れの場所は分かりましたが移動が速く、お連れするのはかなり難しいかと。」

「あー、うん、コレ一匹で良い気がする。」

 JK達は大きなイッカクマグロを見ながら話す。


「本当に角あるね。」

「でもマグロだねー。」

「これ一匹で日本のマグロ何匹分なんだろ。」

「っていうか収納出来るの?コレ。」

「サフィーと分ければ・・・多分。」

 千春はワークスを見ると、ワークスはニッコリ微笑み刀を手にする。


「幾つに割りますか?」

「えーっとまず頭と体で分けて、3枚おろしに出来ます?」

「やってみましょう。」

 ワークスは頭の方へ向かい刀を抜くと頭だけがゴロンと転がる、そして横倒しになっているイッカクマグロに一閃し返す刀でもう一閃すると刀を直す。


「如何でしょうか。」

「・・・凄すぎワロタ。」

「チハルーこれ三枚おろしでも大きいよー。」

「だねぇ、ワークスさんえ~っと・・・こことココを縦に、あとはー・・・ここらへんかな?切ってもらって良いですか?」

「はいココですね。」

 頭が無くなったとはいえまだ数メートルある切り身を指差し指示をする千春。


「その部位って何?」

「えっとねー・・・。」

 千春はマグロの部位が書いてある画像をスマホで見ながら説明する。


「この部位が大トロでー、ココと背中?のあたりが中トロ、中央の所が赤身らしい。」

「へぇ、ってことはココ全部大トロ?!」

「らしいよ?」

 大トロの部分だけでも千春が寝っ転がれるほどのサイズだ。


「俺が見たイッカクマグロよりも小さいな。」

「そうですね、結構小型だと思います。」

 エンハルトとアリンハンドは切られていくイッカクマグロを見ながら話す。


「これで小さいの?!」

「はい、この倍くらいまでは大きくなりますね。」

「異世界ヤバいな。」

「果物も馬鹿みたいにデカいのあったからねー。」

「やっぱりマナの影響なのかな。」

 頼子の言葉にアリンハンドが説明し、青空と大愛、日葵も呟くと、思い出したように美桜が話す。


「そう言えばアイトネ様がマナの影響で大きくなるって言ってたよね。」

『呼んだ?』

「呼んでないですぅぅぅっぅぅ!!!!!」

「はい1カウント追加ー。」

「楽しそうね千春♪大きなマグロ!凄いっ!」

「おかぁさん見てたの?」

「えぇ、見てたけど・・・目の前で見ると凄いわね。」

「ねー。」

 ワークスはサクサクと部位を切りドラゴン達が並べて行く。


「はい!ここが大トロ!」

 千春は大トロの所に行くと指差す。


「でっけぇ・・・。」

「たべる?ねぇ食べる?」

「少し味見したいよね。」

 頼子と麗奈、千春はそう言うと包丁を取り出す、千春のミスリル柳葉包丁だ。


「さく~っと♪」

 千春はサクッと身を切り落とし皿に乗せる。


「で、水魔法でチャチャッと洗って~♪氷魔法!」

 魔力をちょいちょいっと溜め魔法を連発する千春。


「凍って無いが?」

「・・・冷やすくらいで良いんだよ。」

 麗奈の突っ込みに千春は言葉を返す。


「千春の氷魔法って塊凍らないんだよ。」

「いいのー!凍らせる時はサフィーにお願いするし!」

 千春はテーブルに移動しまな板の上で切り身をササっと切りそろえる。


「はーい!刺身食べる人ー!」

 千春が言うと皆が手を上げる、エンハルトまでが手を上げていた。


「ま、みんなの分切ったけどね、はい醤油とワサビねー、ユラ達はこっちの醤油使いなー。」

 刺身を幾つか皿に分けると侍女達が簡易テーブルに並べ皆は座って食べ始める。


「美味いな。」

「はい、これはチハルさんが血眼になってマグロ連呼するだけあります。」

「・・・アリン、私そんなに血眼になってないよ?」

「いえ、目が本気でした。」

「・・・そうだった?」

 千春はサフィーナを見るとニッコリ微笑み頷く。


『チハル!美味しいわ!』

「ほんっと美味しい、大トロ久しぶり食べたわ♪十数年ぶり♪」

「そりゃおかぁあさん死んでたもん、食べれるわけないじゃん。」

 もう笑い話に出来るほど千春と春恵はケラケラ笑いながらマグロを食べる。


「ミオ、ほら、一緒にたべよ。」

「・・・あと4回・・・あと4回で・・・。」

 思わずアイトネを呼んでしまった美桜はorzの恰好で砂浜にうずくまっていた。


「大丈夫だって。」

「そうそう、諦めな?」

「ナカ~マ♪」

 すでに聖女称号を持つ頼子、青空、そして千春は美桜を座らせると口に大トロを入れてあげる。


「あ~ん。」

「・・・あ~~~ん。」

「どうよ。」

「・・・うめぇぇ。」

「チハル中トロも食べたい!」

「中トロか、まっててー。」

 中トロの部位、腹の尾びれに近い方を切り取ると、同じ様に水で流し冷やす。


「中トロ♪中トロ♪」

 歌いながらサクサク切っていく千春そして後ろを見ると皿を持って待つ面々。


「おぉぅ、はーいじゅんばんだよー。」

 皿に刺身を並べて行く千春、幼女達も嬉しそうに受け取りまたテーブルに座ると刺身を食べ始める。


『・・・あそこに沢山居るわねぇ。』

「・・・あー居ますね。」

 アイトネと春恵は海の方を見ながら呟く。


『・・・少し獲っておこうかしら。』

「あら、それでしたら私が保管しておきますよ?」

『そうね、私だとちょーっとルール的にグレーだしお願いして良い?』

「はい、それじゃアイテムボックスに保管しておきますね。」

『場所に移動するのは私が手伝うわ♪』

 アイトネと春恵はそう言うと姿を消した。


「・・・千春今の話聞いてた?」

「・・・ん、聞いてない事にする。」

「・・・でも調理は千春じゃん?」

「・・・おかぁさんも出来るもん。」

「・・・どれくらい獲って来ると思う?」

「・・・たくさん。」

 頼子と千春は刺身から目を動かさず話す。


「取り敢えず今このマグロを食べる!」

「そうしよう!」

「チハル赤身も食べたい!」

 ショックから立ち直った美桜が大きな声で千春に言う。


「おー!赤身食べる人ー!」

「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」

 皆は手を上げる、千春はミスリル柳葉包丁を手に刺身を切りまくった。


「おいしいでふぅぅぅぅぅぅ!!!!痛ぁぁぁぁい!!!!」

「叫ばない!」

「ふぁぁあいぃ・・・。」

 侍女達もマグロを美味しく頂いた。







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