クラーケン討伐開始だよ竜騎士団がね!

「いたぞ!」

 竜騎士団団長フィークスが声を上げると、ドラゴンのサイマスに騎乗したリベス、同じくアベリアに騎乗するアイリスが他のドラゴンと編成を組みながら海面近くまで降下していく。


「クラーケンはこちらを気にせず泳いでいます!」

「アベリア電撃を!」

『任せて。』

 アベリアは魔力を溜めると海に投げ込む。


ドン!


 電撃は一匹のクラーケンを仕留めるが他のクラーケンはそのまま泳いでいる。


「第一編成!氷魔法で島の方へ!」

「「「了解!」」」

 竜騎士達はドラゴンに指示すると、氷魔法を海に当てクラーケンの進行方向を変える。


「このまま直進させろ!」

 フィークスは進行方向を見る、その先には艶やかな黒いドラゴン、そしてその背には白銀の狼が乗っていた。


「竜騎士団退避!」

 先に見える暗雲と魔力を溜める聖獣2人を確認すると竜騎士達は踵を返す。


『流石ロイロ様、物凄い魔力だ。』

「ルプ殿もな。」

 ドラゴンのダフニーが呟くとフィークスも頷きながら呟く、そして暗雲から何度かの閃光が海に落ちると数秒空け物凄い音が届く。


ドドドドドォォォォォン!!!!


「やったか。」

『あの魔法で特殊進化したサーペントも倒したそうだ、クラーケンごときが耐えれるわけがない。』

 フィークスの呟きに答えるダフニー、音が消え暗雲が散るとフィークスはロイロの所まで移動した。



-------------------



「ぉぉぉ・・・。」

「ここまで聞こえた、すげぇー。」

「アレはヤバいやつですなぁ。」

 千春、頼子、麗奈は海岸にある岩場の上から遥か先に見える島を見る。


「あー雲も消えたね。」

「終わったかな?」

「終わったなら次はマグロだねー。」

「この前海底ダンジョンで取ったカジキマグロ居たじゃん。」

「いたねー。」

「あれもイッカクマグロじゃないの?」

 ふと思い出す様に言う麗奈。


「アリンさん曰くアレは魔物でイッカクマグロは普通の魚らしいよ。」

「へー、それじゃやっぱりマグロなんだろうね。」

「翻訳でマグロって言ってるしマグロじゃん?」

 頼子は説明するが千春は嬉しそうに答える。


「で、いつ行くの?」

「ロイロ達が帰ってきたら行きたいねー。」

「アレどうするの?」

 麗奈は砂浜で遊んでいる幼女達・・・の後ろで話をしている花音とバジェスを指差す。


「いやぁ流石お母様の采配だなぁ・・・もう確定じゃん?」

 楽しそうに話しをする花音とバジェス。


「これって策略なの?」

「ん~微妙?バジェスさんにも無理強いはしないように話してるはずなんだよね。」

「あーソラ達の時もそうだったね。」

「うん。」

 頷く千春。


「千春はハルトさんにアタックされたんだもんね~。」

 頼子はニヤニヤと話す。


「ヨリだってそうじゃん?」

「・・・まぁ、そうですが・・・そう言えばプロポーズされたのココじゃん!?」

「あ、ほんとだ、私もハースでされたんだった。」

「へぇ~、ハースに遊びに来た時プロポーズされたんだ。」

 ニヤニヤする麗奈。


「ミオはエーデルさんにアタックしたよね。」

「あんなにミオが積極的だとは思わなかったよ。」

 思い出しながら呟く千春、美桜と仲の良い麗奈も頷く。


「レナはさー、最初嫌がってたよね。」

「べ!別に嫌がって無いよ!?」

「えー筋肉がとか、ちょっと違うとか言ってたじゃん。」

「いや、まぁ・・・うん。」

「で?何が切っ掛けだったん?」

 頼子は麗奈をのぞき込みながら問いかける。


「・・・まぁ、優しいからぁ~?」

「紳士だもんねーホーキンさん。」

「私の事はもう良いじゃん!アレ!アレどうすんの?」

「いんじゃん?ほっといて。」

「そうそう、人の恋路を邪魔するつもりはありませぇ~ん。」

 恋バナをしているとドラゴンの咆哮が聞こえ、海を見ると竜騎士団とロイロ達が帰ってきている所が見えた。


「よし、それじゃ行く準備しよう!」

「うぃーっす。」

「ほいほい。」

 3人はそれぞれ箒や杖に跨ると砂浜に戻った。



-------------------



「ハルト~ロイロ達帰って来た~。」

「終わったみたいだな。」

「あっという間でしたね。」

 千春の声にエンハルトとアリンハンドが答える、2人とも水着姿だ。


「それで?イッカクマグロを捕りに行くのか?」

「いく~♪」

「竜騎士団に任せても良いだろ。」

「いやぁ、あっちでも漁とか見た事無いし、結構楽しみにしてたりするんだよね。」

「空からなら問題無いだろ。」

「ん?空からじゃないと危ない?」

「危ないってもんじゃないな、漁師の船なら真っ二つになる。」

「・・・はぁ!?マグロだよね!?」

「あぁ、イッカクと付くがな。」

「そんなヤバいの?アリンさん。」

「はい、角が無くてもあの巨体に突っ込まれれば船なんて転覆どころか真っ二つですよ。」

 説明をする2人に千春達は驚く。


「え!?そんな大きい魚なの!?」

「一度捕まえたのを見た事があるが・・・ロイロよりデカいぞ。」

「マ!?」

「え?ロイロって翼片方で6mくらいあるよ?」

「翼広げたら12mオーバー?」

「それくらいだねー。」

「12mって・・・どれくらい?」

 麗奈が言うと美桜がスマホで検索する。


「え~っとマンションの4階、清水の舞台、金閣寺の高さ、ザトウクジラのオスの全長・・・らしい。」

「例えが分からん!」

「まぁ~デカいって事は分かったわ。」

「行けば分かるんじゃね?」

 気楽に言うJK軍団、そしてロイロ達が戻って来るとビェリーがピョンと飛び降りて来る。


「イカゲットばーい。」

「おつかれさまー、ビェリー、イカ美味しそうだった?」

「んにゃー、なんか色がきちゃなかったばい。」

「きちゃないかぁ、ちょっと出してもらって良い?」

「ここにだすん?」

「うん。」

「ちょっと狭いばい。」

 かなり広い砂浜を見ながらビェリーが呟く。


「・・・どんだけデカいんよ!」

「え!?この砂浜で狭いん?!サイズバグってない!?」

「いや、12mの魚食べるんだからそれくらいあるんじゃん?」

「あー、まぁ・・・そうなんだろうねぇ。」

「足!ビェリー足だけ出せない?」

「出せるばーい。」

 ビェリーはそう言うと影の所を見つけそこからイカの足を出す。


「でっけぇ!!!!」

「エーデルさんコレ切れます?」

「はい。」

 エーデルは剣を抜くと、丸太の様な足を一刀両断する。


「ふっといなぁ・・・鑑定。」

 千春は長いイカの足を鑑定すると黙る。


「どう?」

「・・・うん、食べない方が良いね。」

「え、不味い?」

「んにゃ・・・寄生虫多いなぁ。」

「ぎゃー!」

「マジか!」

「うぇっ!ヤバいなソレ!」

「焼いてもダメな感じ?」

「これ見て焼いて食べようとは思わないなぁ、タコクラーケンが美味しかったからワンチャン行けるとおもったんだけど・・・。」

 千春は残念そうに呟くと、頼子はビェリーに指示しイカクラーケンの足を影収納させる。


「ロイロ、このイカ処分出来る?」

「沖の方で捨てて来るか?」

「そうだねぇ・・・でもこっちに流れ着いたらヤバそうだよね。」

「ふむ、あの無人島で焼却してくるとするか。」

 ロイロはビェリーを乗せ、数頭のドラゴンと一緒に飛んで行った。


「チハル様、それではイッカクマグロの調査をしてきますので。」

 エーデルはそう言うと残ったドラゴンに乗る、ホーキンや他の騎士団もドラゴンに乗ると竜騎士団と一緒に海へ飛んで行った。


「それじゃぁ報告来るまで遊びますかぁ。」

「そうだねー。」

「チハル!ビーチフラッグしようぜ~。」

 美桜は旗をパタパタしながら楽し気に声をかける。


「受けて立つ!」

「お!?勝負か?」

「私もやろーっと。」

 JK達はロイロやエーデルが帰って来るまで遊びつくした。






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