ハース領三兄弟!

 朝早くから千春の部屋の外には沢山の人とドラゴンが作業をしていた。


「おはようございますぅ~。」

「おはようチハル。」

「えぇ~もう居るじゃーん。」

「まだ準備中だから大丈夫よ?」

 サフィーナは微笑みながら答える、千春は庭に出ると周りを見渡す。


「おぉ・・・過剰戦力。」

「おはようございますチハル王女殿下。」

「おはようございますエーデルさん、こんなに連れて行くの?」

 竜騎士団13名、人を乗せていないドラゴンも10頭居た。


「はい、海は広範囲で調べることになるので。」

「あーそりゃそうかー、潜ってたらわからないもんね。」

「はい、それからチハル王女殿下の目的である魚の探索も必要ですから。」

「あー、それは多分だけど大丈夫だよ。」

「そうなのですか?」

「うん、人魚さん達に探索お願いするつもりだから。」

「あぁ、その手がありましたか、しかしあの魚の泳ぐ速度は物凄く早いとの事です、多い方が良いでしょう。」

「りょ!そこらへんは任せます!」

「はっ!」

 千春とエーデルが話しているとフェアリーリングから日葵が出て来る。


「ただいまー。」

「おはよヒマリ。」

「おはようございます!チハルさま!」

「元気だねールペタちゃんおはよー♪」

 元気いっぱいの幼女を見てニコニコになる千春。


「妖精5人居たら子供達は大丈夫っしょ?」

 ルペタとシュシュはテコテコと歩き部屋に入り春恵に挨拶をしている、その姿を見ながら2人は話す。


「そだね、ま~浅瀬にはクラーケンも来ないだろうし来たとしてもルプ達いるから。」

 千春はそう言うと日葵と部屋に入る。


「おぃーっす、早いなードラゴン達。」

「ねー、準備中らしいから朝ごはんにしようか。」

「ほいほい、手伝うよー。」

 千春と頼子、日葵は厨房に入る、侍女達が既に朝食の準備をしていたが一緒に料理を始めた。



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「ごちそうさまでした。」

 手を合わせる千春。


「みんな揃ったっぽいねー。」

 頼子は庭を見ると整列したドラゴン、竜騎士団、千春達の護衛なのか騎士団も数名並んでいた。


「チハル、準備出来たぞ。」

「はーい、こっちもおっけー。」

「フェアリーリングか?」

「うん、リリ達にお願いするよー。」

 庭で楽しそうに飛んでいるリリ、クゥクゥ、ルル、ポポ、そしてシュシュを見る。


「ハース卿には連絡済だ。」

「はーい、それじゃ行きますかー。」

「はーい!」

「千春気を付けてねー。」

「はーぃおかぁさん。」

「何か有ったらすぐ呼びなさいよ?」

「何も無くても呼ぶかもね、マグロだよマグロ!」

「楽しみにしてるわね♪」

 千春は春恵に手を振り庭にでる、そして皆とフェアリーリングに入るとハース領へ飛んだ。



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「いらっしゃいませ、エンハルト殿下。」

 移動するとハース伯爵が挨拶をする。


「状況を聞こうか。」

 エンハルトが言うと千春は首を傾げる。


「・・・チハル、クラーケンの討伐だからな?」

「・・・あ。」

 完全にクラーケンの事を忘れていた千春は思わず声をだす。


「うん、知ってたよ?」

「そうか。」

 笑いをこらえながら肩を震わすエンハルト、横で見ていたアリンハンドも笑いをこらえている。


「それではこちらへ。」

 ハース伯爵は竜騎士団や騎士団が到着した事を確認すると館へ促す、エンハルトに続きエーデル達も入っていく。


「私達はどうしようか。」

「チハル、一緒に話を聞けばアレの動きも分かるかもしれないぞ。」

「行くわ。」

 千春は即答で返事をすると頼子達も一緒に館へ入った。



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「どうぞこちらへ。」

 広い応接間にエンハルトと千春が座る、後ろにはエーデル達や頼子達が立っている。


「では改めて、ヴァサー・ハースと申します。」

 ハース伯爵の後ろに立つ3人の男性も挨拶をする。


「ヒュアツ・ハースと申しますこの度は御足労頂き恐悦至極で御座います。」

「シュテッヒ・ハースと申します。」

「バジェス・ハースと申します。」

 3人は姿勢を正し挨拶をする。


「息子さん?」

「あぁ、ヒュアツは長男、シュテッヒは次男、バジェスは三男だ。」

 エンハルトは千春に紹介する。


「それでは現状ですが・・・。」

 領主ヴァサー・ハースはクラーケンが目撃される場所を地図に指差しながら説明を始めた。



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「マグロは?」

「この海域からこちらの島あたりまでを周回しております。」

「あーだからここら辺とココに出るのかー。」

「はい、特に島の近辺でよく現れます。」

「・・・ねぇこの島ってあの島?」

「あぁシーサーペントが居た島だな。」

「・・・もしかしてシーサーペント居なくなったから増えたとか?」

「可能性はあるな。」

「ロイロ、あの島のシーサーペント残ってないの?」

「あぁ殲滅したのぅ。」

「ん~~~~~・・・うちらのせい?」

 ポツリと呟く千春。


「王女殿下、決してそう言う事ではありません。」

「シーサーペントの被害と比べるまでもないです。」

「近づかなければ問題ありませんので。」

 伯爵、そしてヒュアツ、シュテッヒが答える。


「わかった、エーデル問題は?」

「今の話ですと数匹居るようですがクラーケンに関しては問題無いでしょう。」

「ふむ、それでは早速調査に入る、ハース卿構わないか?」

「はっ、よろしくお願い致します。」

 ハース卿と息子3人は頭を下げる。


「私達は海で遊んで良い感じ?」

「あぁイッカクマグロは討伐後に調査しよう。」

「はーい♪」

 元気よく返事をする千春、思わず笑みになるハース卿。


「それではチハル王女殿下お楽しみくださいませ。」

「はーい♪」

 話が終わり千春達は海へ向かう。


「ハースさんの息子かっこよかったね。」

「なー、イケメン多いなぁコッチ。」

「確かに・・・でも残念なのも多い。」

「顔が?」

「いや、性格。」

「それアレじゃん?冒険者の。」

「そそ、狼の牙の・・・パトリオット?」

「パトラッシュって言って無かった?」

 ワイワイと話しているとアリンハンドが話す。


「長男のヒュアツ殿とシュテッヒ殿は結婚してますよ。」

「まぁそうですよね~。」

「ん?三男の・・・ば・・・ばじ・・・バジ・・・。」

「バジェスですか、まだ1人ですね。」

「ほほ~・・・歳いくつなの?」

「確か21だったと。」

「詳しいねー、アリン。」

「・・・誰のせいでハースの事詳しくなったと思ってるんです?」

 千春から塩田の話を聞き、暫くハースに滞在するはめになったアリンハンドはジト目で千春を見る。


「ん、宰相さんのせいだよ。」

「・・・そうなんですけどね。」

 ガックリと肩を落とすアリンハンド。


「へぇ~21かぁ・・・。」

 花音はポヤポヤした顔で呟く。


「お、気になるんか?」

「は?別に齢言っただけじゃん。」

 美桜に言われ、返す花音。


「ハルト、そこんとこどうなの?」

「問題無いぞ、だから挨拶したんだからな。」

「・・・お母様の仕業?(ボソッ)」

「・・・あぁ(ボソッ)」

「カノン!水着姿で落としちゃえ!」

「えー!こっちの人水着ヤバいって言ってたじゃん!」

「だからだよー、どうせうちらも水着なんだし。」

「そうそう、ウチらが見守っててあげるよ。」

 キャッキャと盛り上がるJK軍団、そして皆はいつもの砂浜に向かった。







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