お祝いお祝い!誰のかな!

「うめぇ!」

「パトリス静かに食えよ。」

「いや、マジ美味いんだって!」

「分かってるよ!」

「ガーランもうるさい!」

 野郎3人はユーリンとシャルルに叱られながらもルノアーの料理を味わう。


「ルノアーさん多くない?」

 料理を見て千春が呟く。


「チハルさんに教えてもらった料理の中でも人気の高い料理を揃えてみたんだが・・・多かったか。」

「うん、多いね。」

 場所を変え、千春の応接室よりも広く作られた部屋で皆はテーブルについていた。


「チハル!酒も美味いぞ!」

 ロイロは大樹監修の日本酒、ジブラロール酒と言う名前で作られた米酒を呑む。


「美味いな。」

「わっちはもうちょい辛口でも良いばってんが。」

「日本酒でも色々ありますからね、これはこれで美味しいです。」

 ペットにも好評のジブラロール酒は次々と呑まれていく、気付けばミカやゼルも一緒に飲み始めていた。


「ちょー!生後1日の子に飲ませて良いの!?」

「体はドラゴンじゃ、問題無いじゃろ、ゼルほれ、こっちも旨いぞ!」

 ロイロは呑み仲間が増えて嬉しいのか、ゼルやミカに酒を進める。


「チハル・・・賑わっておるのぅ。」

「お父様!いらっしゃいませ!」

「チハル、1年色々とありがとう。」

「こちらこそです!色々お世話になってますから。」

「はっはっは、そう言ってもらえると有難いな。」

 千春に挨拶をするエイダン国王、ナッテリーに促され王族が座るテーブルに案内される。


「・・・ねぇサフィー。」

「どうしました?」

「これ私のお祝?」

「・・・はい。」

「騒ぎたいだけじゃん?」

「・・・キノセイデハ?」

「気のせいか、うん、気のせい気のせい・・・。」

 すでに料理を食べ、酒が進んでいる人達を見て千春は微笑む。


「笑顔がいっぱい。」

「えぇ、これ全部チハルのお陰ですよ。」

「どうだかね~♪」

 千春はそう言うと頼子達のテーブルに戻る。


「どう?美味しい?」

「マジ美味い。」

 頼子はドレス姿でカレーを食べていた。


「飛ばさないでよー。」

「大丈夫だって。」

「で、暗黒魔法どうだった?」

「ん!それね!面白いんだってば!」

「ちょ!飛ぶ!カレー飛ぶ!!!」

「ごめんごめん、ダイア説明よろー。」

 頼子はそう言うとカレーを食べ始める。


「ヨリ、その肉何?」

「ん?ローストビーフ。」

「カレーに?」

「ローストビーフカレー、超美味い。」

「ダイアさーん、カレーの話は良いって、魔法どうだったんさ。」

「えっとねー、闇魔法の強化版って感じらしいんだけど、色々あってさ、試してみないと説明し辛い。」

「ほうー・・・例えば?」

「んっとね、結界系も多くて、それ使うと私達でも影移動が可能!」

「すごっ!マジか!」

「うん、でもビェリーとゼルに1人で使うなって念押しされたわ。」

「なんで?」

「闇の中で迷子になったら助けれないって。」

「・・・こわっ。」

「うん、だから移動するならあの2人が一緒の時だけ、後は料理に使えそうなのあったよ。」

 大愛はそう言うと手に持っていたフォークでケーキを口に入れる。


「どんな?」

「発酵調味料時短!」

「!」

「魔法で腐敗ってのがあるんだけど、その応用で発酵も出来るよ。」

「イイネ!」

「ただ料理の知識ないと私達には無理だからチハルに教えてもらいながらじゃないとマジ腐る。」

「教える!教えさせていただきます!」

 ニッコニコで答える千春、すると横でフランクフルトを食べていた日葵が問いかける。


「発酵で何つくるーん?」

「何って滅茶苦茶あるよ!」

「たとえばー?」

「調味料なら 醤油、味噌、酢、みりん、こっちで作れるようになったら凄い!」

「あー、でも他国から手に入るじゃん?」

「作れたらもっと安くなるし広まるじゃん!」

「そりゃそうか。」

「それにさ、納豆とか作れるじゃん?ヨーグルトとかも!」

「そう言えば酒も発酵だっけ?」

「そうそう、これお父さん聞いたら研究すると思うよ。」

「マジか、言わない様にしとこ。」

 頼子がそう言うと大愛もウンウンと頷く。


「パンもそうだしお茶も発酵させるもの有るんだよね。」

「お茶も?」

「うん、ウーロン茶とかプーアル茶とかは発酵させてるね、日本のお茶もたしかあったはずだよ。」

「へぇ、色々あるんだねぇ。」

「と、言う訳でヨリ、ダイア、ヨロ!」

「はいはい、千春にはお世話になってるからね~。」

「ま、チハルの手伝いするのにやぶさかではない。」

 頼子と大愛は千春に笑いかける。


「チハルさん、表に良いですか?」

「アリン、どうしたの?」

「魔導士団からのお祝いです。」

「へ?」

「さぁ皆さんも。」

 アリンハンドの後ろからは魔導士団の面々がそろって迎える。


「なにかなー?」

「ふふふー。」

「ん?ヨリは知ってる感じ?」

「うん、手伝ったもん。」

 皆はいつもの応接室を抜け庭に出る、外はすでに暗く星が見えていた。


「おぉ~満天の星空。」

「千春そっちじゃないよ。」

「どっちよ。」

 頼子が言うと同時に光が上空へ飛んで行く。


「花火だ!」

「ピンポーン!」

 言うと同時に夜空に花が咲く。


ドォォォォン!


「たまやー!」

「かぎやー!」

 頼子達はいつもの掛け声を掛ける、千春は花火を見る。


「綺麗ね。」

「おかぁさん、うん、花火だよ。」

「最後に見たのはいつだったかしら。」

「・・・ちっちゃかったからなぁ。」

 春恵と千春は並んで花火を見ていると2人の肩に手が乗る。


「千春。」

「お父さん。」

「あなた、お帰りなさい。」

「ただいま、千春おめでとう・・・なのかな?」

「さぁ?1年こっちで遊んでただけだからね。」

「お父さんもまさかこっちで過ごすようになるとはねぇ。」

「私もこっちで女神するなんて思って無かったわ。」

「・・・私は・・・お父さんと、おかぁさんと・・・一緒にまた・・・花火見れると思って無かったがら・・・うれじい・・・。」

「チーちゃんおばあちゃんも居るわよ?」

「爺ちゃんもいるぞ~。」

 涙ぐみながら満面の笑みを返す千春、大樹と春恵は千春を挟み頭を撫でる、それを優しく微笑みながら見る祖父母、そして以前よりも大きくそして綺麗な花火を5人は見続けた。






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