2人目の聖女!

「うむ、上手いのぅ。」

「有難うございますロイロ様。」

「これは便利だ。」

 ロイロは魔法によるドラゴン成獣化を教えていた。


「すごぉい!ミカ綺麗!」

「ゼルカッコいい!!!」

 青空と大愛は成獣になりロイロと並ぶミカとゼルに声を掛ける。


「これでソラ様を乗せれますね。」

「やったね!リヴィル領までひとっとびだ!」

 ミカの大きな頭に抱き着く青空は嬉しそうだ。


「ダイアどうだ?」

 艶のあるロイロの黒とは違い、光を全て吸い尽くすような漆黒のゼルは大愛に顔を寄せる。


「めっちゃカッコいい!」

 青空と大愛はキャッキャと騒いでいると、お客が現れる。


「う~っわ、またドラゴン増えてるし。」

「こんばんは~♪ロイロさんそのドラゴンお友達?」

 ユーリンとシャルルが現れ、後ろからは野郎3人が歩いて来る。


「やっと来たか。」

「ロイロちゃん乗せてくれればいいのにぃ。」

「準備もあったからのぅ、急いで来る必要もないじゃろ?」

「ま~、そうだけど、で?何の宴なの?」

「チハルがこっちに来て1周年じゃ。」

「あ、あっちから来たの昨年の今日なんだ。」

 事情を知っているユーリンとシャルルはそう言うと部屋に入り千春の所へ駆け寄った。


「俺達も来て良かったのか?」

「まぁ顔見知り程度ではあるけどな。」

「ロイロさんが良いって言ったんだ、良いんだろ?」

 そう言うと部屋に入り千春に挨拶をする。


「らっしゃい!」

「あ、なんかおめでとうございます。」

「いや、別におめでたいわけじゃないんだよね。」

 アハハハと笑いながら答える千春、そしてドレスアップした頼子達と話す。


「で、あのドラゴンなに?」

 ユーリンは気になった事を聞く。


「あれ新しくペットになったドラゴン、白い方がミカって言うソラの天使ドラゴン、黒い方はゼル、ダイアの悪魔ドラゴンだよ。」

「・・・えーっと、情報多くない?」

「そう?」

「天使と悪魔って何?」

 シャルルはドラゴンを見ながら呟く。


「んー、ちょっと特殊な世界の転生ドラゴンと思ったら良いんじゃない?知らんけど。」

「千春適当だなぁ。」

「んじゃヨリ説明してよ。」

「・・・うん、それでいい。」

 説明をしていると扉がノックされ、扉番と化したモリアンが開ける。


「チハル、1年ありがとう、これからも私の娘として、このお腹の子の姉としてよろしくね。」

「はい、お母様。」

「チハルおねぇちゃんおめでとー!」

「ありがとー♪」

 マルグリットに返事をし、ユラとハグする千春。


「チーちゃん、ほらそこに座ってな。」

「えー、手伝うよー。」

「今日は主役でしょ?それにそんな綺麗なドレス着てるんだから、大人しく座ってな。」

「はーい。」

 千春は頼子と一緒にソファーに座る。


「1年かぁ、それじゃ私って正月に来たから1ヶ月くらいしか変わんないだ。」

「うん、あの1ヶ月は怒涛の様に過ぎたからなぁ。」

「遊びに誘っても来なかったもんね。」

「だってコッチで色々やってたんだもん。」

 昨年を思い出しながら2人は話す、部屋には次々と食事が運ばれ並べられていく。


「誰がこんなに食べるのかな。」

 頼子は並ぶ料理を見て呟く。


「さぁ?」

 千春は呆れた顔でテーブルを見る、頼子はポツリと呟く。


「アイトネとモートさんなら消費出来るかな。」

『呼んだ~?』

「まだですよ~。」

「やぁヨリ、チハル。」

「こんばんわ~ん♪」

「・・・え?私モートさんも呼べるようになったの?」

 モートの顔を見ながら問いかける頼子。


「気にするな。」

「いや、気になりますって!ねぇ千春!私聖女じゃないよね!?」

「どうだろね、気になるならアリンに鑑定してもらったら~?」

『ヨリは聖女じゃ無いわよ?でも信仰が集まってるから準聖女って感じ?』

「ちょっとまったー!!!!信仰って何ですか!?アイトネ様!」

『ジブラロール王国の令嬢や貴族淑女からも信仰心集まってるわよ?』

「えぇぇぇ・・・アレかぁ!」

「流石美の聖女!」

「やめれ!」

「ねぇアイトネ、『ヨリは』って言ったよね?」

『えぇ。』

「・・・他は?」

『ん、えっとぉ・・・ソラがね?』

「うん、ソラが?」

『聖女付いちゃった。』

「・・・ソラぁぁぁ!!!!」

 思わず青空を呼ぶ千春。


「なにー?どしたーん?」

「ソラ聖女だって!」

「あー、なんかそう言う噂聞いたわ、でも皆何かしらついてんじゃん。」

「いや、そうじゃ無く、『聖女』らしいよ。」

「・・・は?」

 思わず聞き返す青空、そして皆がアイトネを見る。


『えっとぉ、ソラってミカと契約したじゃない?』

「うん。」

「したね。」

「はい、しました。」

『で、ミカって天使って表現したけれど、あの種族って聖魔法特化してるわけ。』

「へ~流石天使種族。」

「へ?もしかしてソラも聖属性魔法使えるとか?」

「うそ、聞いてないんだけど。」

『それで・・・神託スキル7付けてたじゃない?』

「つけてましたなぁ。」

「皆ついてるねぇ。」

『ミカのせいでランクあがっちゃって聖女付いちゃった、テヘッ。』

「・・・うん、ソラ、ナカーマ。」

「ちょー!まって!お願い!内緒にして!せめて準でお願い!」

「良いじゃんもう噂になってんだし。」

「聖女は1人で良いだろー!」

「2人でも良いじゃーん!仲間じゃーん!」

「てぇぇぃ!!!手を握るなぁ!チハルぅ!」

 嬉しそうに手を握る千春、青空はペィっと手を振り払う。


「ふっ、振り払ったところで変わらぬよ!ソラどん!」

「くっ!」

「先生!ソラは良いとして、ダイアはどうなんですかー!」

 頼子は千春と青空の漫才を放置しアイトネに問いかける。


「ダイアは闇魔法が付いたわね。」

「ダイア!仲間ー!」

 頼子は嬉しそうに大愛を呼ぶ。


「騒がしいなぁ、どうしたん?」

「ソラが聖女になった、ダイアは闇魔法使えるようになってるよ!」

「マ!?もしかして影収納出来るの!?」

「どうなんです?アイトネ様。」

『使えるわよ、それからこの世界では使われてない魔法も使えるわね。』

「おぉー!どんな魔法ですか?」

『暗黒魔法ね、これはゼルに聞けば覚えれると思うわよ?』

「暗黒魔法キター!」

 大愛は両手を上げ叫ぶ。


「カッコいいけど、危なくないんですか?」

『使い方を間違えばどの魔法でも危ないわよ?』

「「「「「確かに。」」」」」

『それに闇魔法の分岐だもの、多分ヨリとビェリーも使えるわよ。』

「マ?ビェリー!ビェリーって暗黒魔法使えるの!?」

「ん?知らんばい?そんな魔法。」

『使える素質があるって事、それもゼルに聞いたら教えてくれるわよ。』

「アイトネ様は使えるんですか?」

『えぇ、私はどの魔法でも使えるわよ。』

「マジか、さすが神。」

 頼子と大愛は外で成獣ドラゴンになったゼルの所に駆け寄り話を聞きに行く。


「暗黒魔法ってどんな魔法なの?アイトネ。」

『んー、実は聖魔法と裏表の魔法なの、聖だと回復、暗黒は腐敗、魔力譲渡の代わりに魔力を吸い取ったり出来るわ。』

「・・・こわっ。」

「危ない魔法じゃん!」

『使い方次第ね。』

「でも影収納はウラヤマ~。」

 聖魔法が付いた青空は羨ましそうに大愛と頼子を見る。


「回復出来るようになったし良いじゃん。」

 千春はニヤニヤと青空を見る。


「・・・まぁ・・・うん。」

「聖女ナカーマ!!!!」

「それが嫌なんだよぉ!面倒事ホイホイじゃん!」

「失礼な!好きでホイホイしてんじゃないよ!」

 千春と青空はギャイギャイと騒ぐ、そして外ではゼルの魔法講義が始まっていた。







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