1年!
「いってきまーす!」
「ミカ、いい子にしてるんだよー。」
「はーい。」
「ゼルもね!」
「早く行け。」
ミカとゼルは子供のドラゴン姿で見送りする、千春達はカバンを持つと日本に戻り、そして学校へ向かった。
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「さて、モリー、準備を。」
「了解でっす!ルノアーさんにも伝えてきます!」
「サリナはマルグリット王妃殿下の所へ、ナッテリーはエンハルト王子殿下の所へ。」
「はい。」
「はい。」
サフィーナはテキパキと指示を出す。
「サフィーちゃん何か有るのかしら?」
春恵は門の部屋から応接室に入って来ると問いかける。
「はい、チハルがこの世界へ来て本日で1年経ちますので、さぷらいずと言う物を。」
「あら~、そうなのね、1年千春の事を見てくれてありがとう。」
春恵はサフィーナに微笑むと、サフィーナは笑みを返す。
「サフィー、チハルは?」
応接室に入って来たのはエンハルトだ。
「今学園へ向かいました。」
「そうか、それで準備は?」
「概ね終わっています、モリアンがルノアーさんの所へ、メグ様の所へも向かわせてます。」
「そうか。」
頷くエンハルト、暫くすると仕立て屋が部屋に入って来る。
「お待たせしました。」
「大丈夫です、ドレスはこちらへ。」
新調されたドレスを運び込む。
「1年か、もっと長く居る気がするな。」
「そうですね、もうずっと一緒に居たような錯覚になりますわ。」
最初に出会った時を思い出す2人は思わず笑みが零れる。
「サフィー!今日は宴か?」
「はい、料理やお酒も準備しますよ。」
「楽しみじゃな。」
「おいロイロ、程々にしておけよ?」
「なんじゃ、ルプも呑むじゃろ?」
「まぁ呑むがな。」
「1年とは?」
話が見えてこないミカは、小さな首をコテンと傾げ問いかける。
「さっき見ただろ、あの扉が異世界の扉だ、地球の日本と言う場所に繋がっている、俺もそこから来たんだ。」
「ビェリーとコンもあっちからじゃ、儂はこっちでお前達と同じ様にドラゴンに転生したがな。」
ルプとビェリーは、ミカとゼルに説明する。
「私もあっちよー♪」
「吾輩もあっちから来たニャ。」
「他の世界から来た者は俺やミカだけかと思ったが、結構居るのだな。」
「おぬしの様に強制召喚された訳じゃないがな。」
「ま、住めば都って言うしな。」
「千春のごはんも春恵のごはんも美味しいもの♪」
「吾輩が食べるんだけどニャー。」
ペット達はのんびり話す、その間にもサフィーナ達は動き回っていた。
「よし、儂はチハルの友達でも連れて来るかのぅ。」
「狼の牙の連中か?」
「うむ、宴なら多い方が楽しかろう?」
「ふむ、ハル、婆様と爺様呼びに行くか?」
「良いわね、私も迎えに行くわ。」
立ち上がる春恵、ルプの背には彩葉と三珠が飛び乗り一緒に文恵達を迎えに行った。
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「千春、今日は何するの?」
「んー・・・ちょっと買い物行くー。」
授業が終わり教室でマッタリと話す千春と頼子。
「何かうん?」
「ん、線香。」
「へ?誰にあげるの?お母さん居るじゃん?」
「んー。」
千春はスマホのカレンダーを見る、11月26日、千春はクローゼットを開けた事を思い出す。
「昨年の今日さ、あの扉開いたんだよ。」
「おぉ、一周年!」
「そ。」
「あ・・・アレか、あの門召喚したおっさん?」
「うん、あのおっさん目の前で死んだからね。」
「悪魔とか召喚しようとしたんだっけ?」
「うん、悪魔来たけどね、昨日。」
「ホントだねぇ、悪魔の世界に扉開いたらゼルみたいなのが沢山来たって事なのかな。」
「かなぁ~?結果論だけど、あの門開けてくれて超感謝してんだよね。」
「確かに、私も感謝だわ。」
「魂がもうあそこに居ないのは分かってるんだけどさ、気持ち的にね?」
「うん、そだね、無念だったろうけど線香くらいあげるかぁ。」
頼子も頷くと千春はまだ思案気味に首を傾げる。
「まだ何か有んの?」
「ん?いや、あのおっさん、名前なんだったかなーってね。」
「あはははw千春名前覚えるの苦手だもんね。」
「うん、特にあっちの名前はね、ハルトとアリンはすぐ覚えたんだけど、なんだったかなー、ま、いっか。」
「いいんかい。」
ゲラゲラと笑う千春と頼子、その声につられ美桜達も集まって来る、そして学校が終わると皆はコンビニで線香を買い家に戻った。
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「ただいまー!ってあれ!?おばぁちゃん!おじぃちゃん!」
「おかえりチーちゃん。」
「お、チーお帰り!」
「なにしてんの!?」
「今日はチーちゃん記念日だからって呼ばれたんだよ。」
「・・・へ?なにその記念日、初耳なんだけど。」
千春はサフィーナを見ると、スッと目を逸らす。
「サフィー、何かくしてんのー?」
「いえ、その記念日に関しては隠すつもりはありませんよ?私ではありませんし?」
「誰ですかー?」
「・・・すぐ分かりますよ、ほら着替えましょう。」
「あ!ちょっとまって!その前にやりたい事あんだよ!」
千春は門の部屋に戻ると頼子は小さなテーブルに線香立てを、美桜達もロウソクを立てる。
「火つけるよーん。」
美桜は火の魔法でポッと小さな炎を出し着火する。
「はーい線香。」
「ほーい、皆つける?」
「もち!」
「感謝してるからね。」
「うちも~♪」
「マジそのおっさん神。」
「ほんとねー、あのおっさん居なかったらアッチでだらだらしてたわ。」
「今もダラダラしてっけどね。」
「ダラダラの楽しみ方が違うじゃん!」
「あははははたーしーかーにーwww」
JK達はキャッキャ言いながら線香に火を点ける、そして線香立てに刺すと一斉に大人しくなり手を合わせる。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「ねぇサフィー。」
「はい。」
「あのおっさん名前なんだっけ。」
「・・・えー・・・あー・・・んー・・・。」
「だよねー!覚えて無いよねー!」
「はい、申し訳ありません。」
「チーちゃん、終わったかい?」
「うん!終わり!」
「それじゃこっちにおいでー、お土産あるよー。」
「わーい!皆行こう!」
「あいよー!」
「ほーい!」
「うぃ!」
皆は立ち上がり応接室に移動し、文恵のお土産、果物やお菓子を味わった。
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「ザクエルさんどんまーい。」
名前を憶えていたモリアンはクスクスと笑いながら線香に呟くと、皆の所に合流した。
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