退治も終わって揚げ物パーティーじゃい!

「ギルマス!」

「あなた達!大丈夫だった!?」

「ちょー!ギルマスー!情報違うじゃないですかー!」

 レモラはギルマスに突っかかる。


「本当にごめんなさい、あなた達に渡した後合流した魔物達が向きを変えたのよ。」

「まぁ・・・助かったからいいけどぉ。」

 レモラは周りに居るドラゴンを見上げながら呟く。


「ギルマス、それでこれからどうするんですか?」

 リーダーのモンテは冒険者ギルドブルーワグ支店のギルドマスター、ファシアに問いかける。


「魔物の殲滅が終わるまでは待機、中に入れば魔法が飛んでくるわよ。」

「でしょうねぇ。」

 遠くの空に沢山のドラゴンが飛んでいる、そして魔法が飛び回る。


「ファシア嬢!」

「エンハルト殿下!」

「もうすぐ終わるそうだ。」

「・・・早いですね。」

『そりゃそうじゃろ、儂一人でも殲滅出来る所にこれだけのドラゴンじゃ。』

 エンハルトを乗せたロイロが楽しそうに話していると、メタリックなメイドと大きな猫が現れる。


「こっちは終わったわー。」

「魔物の死体は放置してるにゃ。」

『イロハ、ミタマ、オツカレじゃ。』

「もう少し稼働領域増やしてもらいたいわね。」

「それ以上増やしてどうするにゃ?飛び道具まで付いてるにゃ。」

「ハルトー!」

「チハル!もう良いのか?」

「うん、もうハグレも居ないらしいから帰って来たー。」

 杖や箒で飛んで戻ってきた千春達は地上に降り立つ。


「聖女チハル様、この度は有難うございます。」

「えっと・・・だれ?」

「ブルーワグ冒険者ギルド、ギルドマスターをしておりますファシアと申します。」

「え?女性なの!?」

「はい。」

 他の冒険者ギルドマスターは厳ついオヤジばかりを見て来た千春はビックリする。


「聖女様だったの!?」

 レモラとリカリアは千春を見て驚く。


「えっと・・・うん、一応ね!」

「先ほどは有難うございました、本当に死ぬと思いました。」

 魔法使いのオパードが頭を下げる。


「間に合って良かったです。」

 ニッコリ微笑む千春、頼子達も嬉しそうだ。


「千春♪」

「おかぁさん!用事終わったの?」

「終わったわよー。」

『こっちも終わったわ♪はいお土産。』

 アイトネはそう言うと3つの魔石を千春に渡す。


「うぉっ、でかっ!」

『今回の原因だった魔獣の魔石よ。』

「貰って良いの?」

『えぇ、今回の原因はバグだもの、お詫びみたいな物よ。』

「んー、まぁ貰っとくかぁ、はいレナ。」

「はぁ!?また私!?」

「だって魔石加工得意じゃん。」

「まぁ・・・良いけど、チハル持っててよ。」

「へいへい。」

 アイテムボックスに魔石を入れる千春、そして不意に音が消える。


「終わったか。」

「なのかな?レナ、分かる?」

「ラムンディさーん、終わったー?」

 千春に聞かれ麗奈は木の上位精霊ラムンディに声を掛ける、ラムンディは木々を避け森から現れる。


「木のドラゴン!?」

 ファシアがラムンディを見て驚く。


「あぁ、終わった、ドラゴン達も、戦闘を止め、今戻って来ている。」

「だそうです~。」

 麗奈の言葉にエンハルトはファシアに話す。


「後始末はお願いしても良いんだよな?」

「はい、魔物の処理はお任せください・・・しかし、本当に全てギルドが貰っても良いのですか?」

「良いんだよな?」

 エンハルトが千春達JK軍団を見ながら問いかける。


「うん、いらなーい。」

「いらないねぇ。」

「ビェリー回収したヤツは?」

「あるばい、出して良いとな?」

「持っててもしょうがないじゃん?」

 頼子に言われビェリーはロイロの翼で影を作ってもらい凍った魔物をボトボトと落としていく。


「「「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」」」

 ギルマスの後ろで待機していた冒険者達が歓声を上げる。


「そんじゃかえるか。」

「かえるべかえるべ。」

「げこげこ。」

「あ!そうだ!カエル!!!!」

「ん?カエル?」

「そう!カエル!クレアのカエル沢山注文したんだよ!」

「へぇ、食べるの?」

「うん、カエルの唐揚げパーティーするの。」

「何それキモイ。」

「聞いてないんだが?」

「え?カエルだけ?」

「確かに美味しかった・・・が!」

 千春はもう一つ思い出し声を上げる。


「あー!!!」

「どうしたチハル。」

「ユーリン達呼んだの忘れてた!!!」

『チハル、それは儂が連絡を入れておいた、ゆっくり来いと言っておるから大丈夫じゃ。』

「ないす!ロイロ!」

「それじゃチハルは先に帰ったらいい、俺はアリンとブルーワグの王城へ一度戻る。」

「はーい、りょうか~い。」

『それじゃ帰る人この指とーまれ!』

「アイトネそう言うのって何処で覚えて来るの?」

『ウカちゃんとこ。』

「宇迦之御魂様ぁ・・・変な事ばっかり教えるぅ。」

 指にはとまらなかったが、JK達とペット達はアイトネの周りに集まる。


「それじゃハルト、あとヨロ!」

「あぁ、俺の分残しておいてくれよ?」

「はーい♪」

 千春の返事を聞いたアイトネは微笑み手を振ると景色が変わる。


「はい!ただいま!アイトネありがと!」

『料理楽しみにしてるわね♪』

「・・・カエルだよ?」

『美味しければ良いのよ♪』

「それじゃカエル貰いに行ってきまーす!」

 千春はサフィーナとサリナを連れ食堂へ、他は料理の準備を始める。


「アイトネ、こっちは終わったぞ。」

『モートお疲れ様。』

 アイトネはモートを労う、暫くして千春が料理を始めた頃、エンハルト達が戻って来る。


「おかえりハルト!」

「ただいまチハル。」

「どうだった?王様。」

「あまりの速さに驚いてたぞ。」

「あははは、こんだけドラゴン居たらね~。」

「殿下、それでは部隊を戻しますので。」

「あぁ。」

「ちょーっとまったぁ!」

 千春はエーデルとエンハルトの話に割って入る。


「唐揚げ大量に作るから竜騎士団とドラゴンも食べて行ってね!」

「カエルは少ないだろ?」

「ん、ヨリ達が・・・カエルだけじゃ嫌だって言うから・・・普通の唐揚げも量産してる。」

「ふむ、と、言う事らしい、エーデル庭に準備を頼む。」

「はっ!」

 エーデルは竜騎士団にその事を伝えると、皆は一斉に飛び立ちテーブルや椅子、敷物を速攻で準備する。


「は~い!チハルちゃーん!」

「らっしゃい!ユーリン♪シャルル♪」

「おじゃましまーす♪」

「おい、良いのか?」

「良いんだろ?」

「・・・。」

 ユーリン達の後ろに隠れるように現れる野郎3人。


「らっしゃい!パトロン!」

「パトリスだよ!」

「はいはい、そこらへん座っててね~♪」

「チハルちゃん手伝うよー!」

「私も手伝うー!」

「それじゃ出来た唐揚げ運んでくれる?」

「はーい!」

「はーい!」

 皆が揃い、次々に揚げられる色々な唐揚げ、そしていつの間にかコロッケや梅シソチーズカツ、春巻きにフライドポテトと、大量の揚げ物が運び出される。


「これ作ったの!?」

 驚くユーリン。


「んにゃ・・・冷食。」

「れいしょく?」

「えっとー、ぜ~んぶ揚げるだけで終わるという最終兵器だよ。」

 千春は少し申し訳なさそうに言うが、ユーリンは美味しそうだと目をキラキラさせながら皿を運ぶ。


「エビふらーい!」

「白身ふらーい!」

「牡蠣ふらーい!」

「「「チハル!タルタルソース!」」」

「私はタルタルソースではない。」

 ゲラゲラ笑いながら言う頼子、美桜、麗奈、そして千春はアイテムボックスから業務用タルタルソースをフライにブリブリとぶっかけた。




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