魔物退治だ!
「右行ったよ!」
「待って!真下無理!」
杖や箒に乗ったまま千春達は銃を撃ち魔物を冷凍していく。
パパパパッ!
「ヒット!」
「ナイスミオ!」
「でもあんまり来ないね。」
「まぁアレだもん。」
森を囲むように騎士団達が進む、前線には風魔法と氷魔法が使えるドラゴンが、撃ち漏らした魔物は残りの竜騎士達が肉弾戦で倒していた。
「ルプ~!」
「なんだー!」
「こっちいなくなったー!」
ルプは空を駆けあがり千春の横に来る。
「無理して倒す必要無いだろ。」
「せっかく準備してきたんだもん。」
「ビェリー、はぐれは居るか?」
ルプは頭の上に乗るビェリーに問いかけると、ビェリーは遠くを見つめる。
「・・・あれ人間やない?」
「何処だ?」
「10時方向、距離は800ってとこやね。」
「周りに魔物は?」
「・・・おるね、3匹に追われとる、その後ろからも結構きとるばい。」
「千春。」
「救助だね!行こう!」
千春は頼子達に声を掛けると、先を進むルプを追いかけた。
--------------
「ダメだ!追いつかれるぞ!」
「くそっ!こんなに近くまで来てたのか!」
「ギルドで確認した危険地帯からズレてんだぞ!?」
冒険者の男3人は後ろを気にしながら森を走る。
「リカリア!何してんだ!走れ!」
前を進んでいた女の子、リカリアを怒鳴る男。
「モンテ!あれ見て!」
リカリアは空を指差し、怒鳴った男モンテに言う。
「なんだありゃ!」
「ドラゴンだ!」
「人が乗ってないか!?」
「小さくて分からねぇ。」
男達とリカリアが話していると前からもう一人女の子が走って来る。
「モンテ!この先に魔物は居ないよ!って何してんの!早く!」
「レモラ、アレ見えるか?」
モンテは空を飛ぶドラゴンを指差す、そして見えるドラゴンが2頭、3頭と増えて行く。
「なにあれー!!!!」
「ドラゴンだろ、俺もこんな近くで見るのは初めてだ。」
「・・・あれ、人乗ってるね。」
目の良いレモラは目を凝らしドラゴンを見る。
「やっぱり乗ってるのか。」
「うん、正規な装備で揃えてるよ、何処かの軍じゃないかな。」
「ドラゴンの軍・・・ジブラロールか!」
「竜騎士団が魔物の氾濫を!?」
「それしか考えれないだろ、ほら!ジブラロールから来てる子居たろ!」
「あー!殿下の婚約者!」
「その伝手しか考えれねぇ。」
皆が話をしていると後ろから唸り声が聞こえて来る。
「やっべぇ!追いつかれた!」
「ちっ!お前ら先に行け!」
モンテは剣を抜く。
「お前ひとりじゃ無理だろ。」
大きな盾を背中に担いだ男、ルナイフがこん棒と盾を構える。
「はぁ、リカリア、レモラ、先に進みなさい。」
「オパードまで!?置いて行けないよ!」
「早く行きなさい、私達が時間を稼ぎますから。」
「オパード・・・。」
「もう、おいて行けるわけないでしょ!」
リカリアは弓に矢を番える。
「ナイフの回収は諦めるかなっ!」
レモラは腰に付けた投げナイフを両手に3本ずつ持つと構える。
「来たぞ!」
「打ちます!」
リカリアは大きく弦を引き絞る、矢は3本番えている。
ビィィン!!!!!
ギャォォォォォ!!!!
「うりゃぁ!!!」
右手に持つ投げナイフを3本投げるレモラ、2本は厚い毛皮に弾かれるが1本は目に刺さる。
「行くぞ!」
モンテは剣を振り上げ真向切りで魔物の頭を狙う、そして剣は見事に頭を叩き割り魔物は動きを止める。
「まだです!モンテ!まだ来ますよ!」
オパードが叫ぶとモンテは下がりルナイフが前に出る、しかし足音が多い事に気付いたオパードは踵を返す。
「走れ!逃げるぞ!」
オパードが言うと皆は一斉に走る。
「くっそぉ!」
声を上げながら走るモンテ、するとドラゴン達の咆哮と共に魔法が飛び始めた。
「あっちは攻撃を始めたぞ!」
「どうする!?こっちにまで魔法が飛んで来たらタダじゃ済まないぞ!?」
「ドラゴンから離れる様に逃げるしかありません!」
男三人が言いながら必死で走る、身軽な女性2人は男達の先を進みながら気配を探る。
「レモラ!気配は!?」
「ドラゴンの気配は左800!前に魔物の気配無し!後ろの魔物3匹距離100!」
必死で逃げる冒険者パーティー、そして。
「グルォォォォォ!!!!」
「うらぁ!!!!」
ルナイフはこん棒を振り飛び出て来た熊のような魔物の頭を殴りつける。
ガキッ!!!
「硬ってぇなぁ!」
怯ませる事は出来たが、またルナイフ達を向いた魔物は走り始める。
「くそっ!」
モンテは足を止め剣を抜く。
「モンテ!今来てる3匹の後ろからも気配が増えてる!無理よ!!!」
レモラが声を上げる、しかしモンテは魔物を迎え撃つ様に剣を構えた。
「くるぞ!」
一緒に立ち止まったルナイフが盾を構える。
パパパパパパパパッ!!
パパパパパン!!
パパパパパパパ!!!
「な!?」
軽い破裂音と共に何かが魔物に当たる、そして魔物はあっという間に氷漬けになった。
「いぇーい!ファーストヒット頂きぃ!」
「今のはウチでしょ!」
「え?私じゃ無いの?」
「回収するばーい。」
頼子と美桜、そして千春が言うと、ビェリーは暢気に氷漬け魔物を影に収納する。
「あ、大丈夫?怪我ない?」
千春は箒に乗ったまま冒険者に声を掛ける。
「だ・・・大丈夫・・・です。」
「助かりました、有難うございます。」
呆け気味に答えるモンテと、冷静にお礼を言うオパード。
「まだ魔物来てるからあっちに逃げて、あっちは安全だから。」
千春が指差すと麗奈はラムンディに声を掛ける。
「ラムンディさん道お願い!」
どこかで聞いているのか木々が動き一本道が現れる。
「この道まーっすぐ行ったら数匹ドラゴン居るから、そこは安全だよー。」
麗奈はポカンとしているリカリアとレモラに声を掛けると、2人はコクコクと頭を動かす。
「千春、また来るぞ、俺達がやって良いか?」
「沢山居る?」
「あぁ、ドラゴンから逃げてこっちに向かってきたようだ。」
「うぃ!それじゃお願い!」
千春の声を聞きルプは遠吠えを上げる、ビェリーはルプよりも大きな蛇になり、コンは9尾の狐に変化する。
「コン、あんまり火使っちゃダメだよー?」
「はーい!ミオに教えてもらった破裂系の術しか使わないです!」
そう言うと3匹は森の中に消えて行った。
「さて、それじゃ私達は上から遊撃しますかー。」
「うぃーっす。」
「いくぜー!」
「ダイア!弾補充!」
「ソラ撃ちすぎだってー!」
キャッキャと騒ぎながら空に向かうJK軍団、たった今死を覚悟した冒険者達は森の一本道を無言で歩いて行った。
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