恐怖のダイエット!
「チハル。」
「なにー?ハルト。」
「今言うのもアレなんだが・・・大丈夫か?」
「なにがー?」
千春はイカフライを食べながら答える。
「ダイエット・・・。」
「・・・・・・。」
千春は床に崩れ落ちる。
「あげものぉぉぉぉぉ!!!」
「今更か?」
「千春、ほら。」
頼子が千春に寄り添い影から何やら取り出す。
「はい、これ。」
「体重計ぃぃぃぃ!!!いやぁぁ!!!」
頼子が目の前に出した体重計に叫ぶ千春。
「何なに?どうした?」
「あー、ダイエットって言ったばっかりなのになぁ。」
「ミオは良いんかい?」
「ウチ運動してるもん。」
「まぁ、ちょっとうちも肥えましたがね?」
「肥えたっていうなぁぁぁ!!!」
千春はうなだれたまま叫ぶ。
「姫さん体重気にしてるのか?」
パトリスは千春を見ながら呟く。
「らしいな、女の子は少しぽっちゃりしてた方が可愛いけどな?」
「俺もだな、貴族令嬢は細すぎなんだよな。」
「あんたたち、そう言う事言うからモテないんだよ?」
「そうそう、女の子は気にするの!」
男三人にユーリンとシャルルが言うと男三人は違う意味で項垂れる。
「千春!明日から!明日から頑張ろ!」
「そうそう!ウチらも付き合うから!」
「今日は食べよう!」
「そうそう、旦那が気にしないなら良いじゃん、ねぇハルトさん。」
青空はエンハルトに言うと、エンハルトも頷く。
「健康的なのが一番だぞ?」
「・・・いや・・・そういう言葉はいらないのょ。」
「千春はアレでしょ?お腹g」
「言わないでぇぇぇ!!!」
「ま、今言った所で変わるわけでも無い?食事は美味しく、だろ?」
「うっ・・・うぅぅぅ。」
千春は椅子に座り直すとイカリングを口に入れる。
「おいひぃ・・・。」
イカリングを頬張りながら呟く千春にエンハルトが話す。
「明日学校から帰ってきたらダイエットのプロを呼んでおく。」
「よろひくおねがいひまふ・・・モグモグ。」
千春は半泣きでイカリングをモグモグしながら答えた。
--------------
翌日、学校から帰って来た千春は異世界に行く。
「ただいまぁ・・・。」
「お帰り千春、暗いわね。」
「おかぁさぁん、ただいまぁぁ。」
「ハルト君がもうすぐ来るわよ。」
「はぁぁい。」
カバンをアイテムボックスに投げ込み着替えに移動する千春、そして着替えて部屋に戻るとエンハルトと老齢の紳士が立っていた。
「おかえりチハル。」
「ただいまハルト、その方?」
「あぁ。」
エンハルトが言うと、紳士が挨拶をする。
「初めましてチハル王女殿下、ビンドルと申します、以後お見知りおきを。」
ビシッと立ち、綺麗な礼をしながら挨拶をするビンドル。
「チハルです、えっと、ダイエットしたいんです。」
「はい、お聞きしております。」
ニッコリと微笑むビンドルは一歩前に出る。
「チハル王女殿下、本日から行いますか?」
「はい!」
「承りました、それでは部屋を移動致しましょう。」
微笑みながら千春に言うビンドル、エンハルトも頷くと部屋を出る。
「サフィー、何するか知ってる?」
「はい、知ってますよ。」
「何するの?」
「ダンスですね。」
「へ?ダンス?」
「はい、ビンドル先生はダンスの先生ですから。」
「そうなんだ・・・ダイエットになるの?」
「なりますよ、やったら分かります。」
サフィーナはクスクス笑いながら千春に答える、そして別室に移動すると千春はサフィーナに連れられ更衣室の様な部屋に入る。
「この服に着替えます。」
「・・・ドレスじゃん!コルセットまである!」
「コルセットは軽くしか締めませんよ、背筋を伸ばす為に付けるんです。」
「チハル様、大丈夫ですよ。」
サフィーナとサリナはそう言うと千春にドレスを着させる、そして部屋に戻るとビンドルがニコニコと笑みを浮かべ待っていた。
「それでは、早速基礎から行いましょう。」
ビンドルはそう言うと手を叩きながらステップを踏む。
パンパンパンパン、パンパンパンパン。
「まずはこの足取りで動いていただけますか?」
「はい。」
千春はビンドルの動きを真似しながらステップを踏む、そして。
「はぁはぁはぁはぁ。」
「はい、それでは休憩致しましょう。」
ビンドルが言うと横の小さなテーブルに飲み物が置かれていた。
「はぁはぁはぁ・・・うぇっ。」
「どう?チハル。」
「きつい・・・。」
「でしょうね。」
おおよそ30分程ステップを踏み続けた千春は足がピクピク痙攣しそうになっていた。
「足やばい・・・。」
「基礎の基礎ですからね。」
「サフィーこれ出来るの?」
「はい、暫く続けていれば筋肉も付きますから楽になりますよ。」
「それまでが長いぃぃ・・・。」
休憩が終わると次のステップとビンドルは動きが大きなステップを始める。
「では次はこの動きになります。」
パンパンパン、パンパンパン。
手を叩きながら大きく足を動かし大股でのステップを踏む。
「さぁ始めましょうか。」
好々爺の様な笑顔で言うビンドル、しかし千春には鬼の笑みにしか見えなくなっていた。
「はい・・・。」
手拍子に合わせ千春は大股でのステップを始める、そして。
「・・・ビンドル先生・・・もう・・・むり・・・です。」
膝を突く千春、ビンドルは千春の手を取り椅子に座らせる。
「お疲れ様でした。」
「ど・・・どうでしたか?」
「まずは慣れと思いましたので評価は有りませんが良く動けていましたよ、この動きに慣れてから本番になります。」
「・・・はぃぃ。」
ガックリと首を垂れる千春。
「今日はこれくらいにしておきましょう、サフィーナさん後はお願いしても?」
「はい、ビンドル先生。」
「あと?」
「マッサージですよ。」
「あー・・・回復魔法はダメなんだっけ?」
「えぇ、せっかく動いた筋肉が元通りになってしまいますからね。」
ビンドルは綺麗なお辞儀をし部屋を退室する、入れ替わりにエンハルトが入って来た。
「・・・お疲れ様。」
「づがれだぁぁぁ!」
「だろうな、しかしビンドルの指導は優しい方だぞ?」
「アレで!?」
「あぁ、今日はチハルが何処まで動けるか確認したんだろう。」
「確認するとどうなるの?」
「明日からはチハルの限界を見極めてギリギリまで動かされる。」
「ひ・・・ひぇっ・・・・マ!?」
「頑張れ。」
笑顔で言うエンハルト、千春は初めてエンハルトの笑顔に喜びを感じなかった。
「それでは戻りましょう、チハル様歩けますか?」
「ちょっと・・・まって・・・もうちょっと、足がプルプルする。」
生まれたての小鹿の様に千春が立つと足がプルプルと震える。
「仕方ないな。」
エンハルトは千春の横に立つとヒョイっと持ち上げる、いわゆるお姫様抱っこだ。
「ちょー!?」
「なんだ?」
「は・・・はずかしいっ!」
「チハルのこの姿を見て、そう言う目で見るヤツは王宮には居ないから心配しなくて良い。」
ニッコリ微笑みエンハルトは扉の前に行く、サフィーナが扉を開けると廊下をスタスタ歩くエンハルト。
「う・・・うぁぁぁ。」
両手で顔を覆い真っ赤になる千春、そして千春の部屋に戻ると。
「あらあら、千春おかえりなさい。」
「・・・ハルト!おろして!おろして!」
春恵が満面の笑みでお姫様抱っこされる千春を見る、千春は耳まで赤くしエンハルトにお願いする。
「サフィー、マッサージするんだろ?」
「はい、浴室で行いますので。」
「そうか、それじゃそこまで連れて行こう。」
「イヤァァァ!サフィー!おかぁさぁん!」
「いってらっしゃーい。」
「さ、行きましょう。」
千春の叫びは完全スルーされ運ばれる千春、その後千春はガッツリとマッサージされ温泉に浸かった。
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