異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます！】

鰻祭りじゃーい！

「っかぁ！！！！」

「んまい！」

「バリうまか！！！」

「冷やでもイケますね！！」

「うまいにゃぁ～」

「・・・美味しいです・・・にゃ。」

　ペット達は白焼きに日本酒を味わう、そしてデンハも御相伴に預かっていた。

「おかぁさん！う巻き美味しい！」

「でっしょぉ～？」

『ほんと！美味しいわぁ、ハルを雇って良かったわ！』

「えぇ～？食事の為に呼んだの？」

『違うけどぉ～、でも良かったわ♪』

　アイトネはパクパクとう巻きを口に入れ微笑む。

「チハル、これ！ひつまぶし美味い！」

「マジウマなんだが！」

　美桜麗奈コンビはひつまぶしを食べながら言う。

「王道うな重もうみゃ！」

「こっちの鰻めっちゃ脂乗ってるね、マジウマなんだが。」

「これジブラロールで作れないの？」

　青空達は王道うな重を食べていた。

「一応鰻いるらしいよ、でもあんまり食べないっぽいんだよねー、市場でも見ないもん。」

「そうですね、私もあまり見た事は無いです、気持ち悪いのと臭いと言うのが理由です。」

　鰻を思い出したのか、物凄く嫌そうな顔をするサフィーナ。

「サフィーはウナギきらいですもんねぇ～。」

　モリアンはバクバクとひつまぶしを食べながら答える。

「そうですね、今まで食べようとすら思いませんでしたから。」

　サフィーナはそう言うと、千春と一緒にう巻きを食べる。

「美味しい？」

「えぇ、物凄く美味しいわ。」

　千春がのぞき込みながら聞くと、ニッコリ微笑むサフィーナ、本当に美味しそうに食べていた。

「次の白焼き焼けましたよー。」

　厨房では無く、外の屋外コンロで鰻を焼くドラゴニュートのアベリアとミリカ。

「アベリア！こっちもおかわりじゃ！」

「はい、ロイロ様、次も白焼きで宜しいですか？」

「うむ、頼んだぞ。」

　ロイロは皿を受け取り答え、酒をまた飲む。

「ドラゴンさん達お酒足りてる？」

「そうですねぇ・・・そろそろ無くなるかもしれません。」

　ミリカはピョコっとドラゴン達を見る。

『チハル、お酒なら私のあげるわ。』

「お酒あるの？」

『えぇ、以前ドワーフ達にあげたお酒よ、まだいっぱい有るから。』

「あー！そう言えば供物のお酒って言ってたねー。」

　アイトネは空間を開き、酒樽を取り出す。

「いいの？コレ出しちゃって。」

『良いわよ、まだ沢山あるもの。』

「ドワーフの国かぁ・・・。」

『行きたいの？』

「行ってみたいなー、精霊喰いのスライム退治の時お城しか入ってないじゃん？」

　千春はどんな街だろうと考えながら、鰻を口に入れる、横で頼子も考える。

「ねぇ千春、ドワーフの街行かない？」

「行きたいねぇ、確かクゥクゥがフェアリーリング作ってたよね。」

『あら、行くなら送るわよ？』

「良いの？」

『構わないわよ～♪新しい料理が食べれるかもしれないじゃない？』

「そっちが目的か、まぁ私も食材は見たいけどね。」

　話をしていると、扉のノックが鳴る。

コンコン

「はーい、どうぞー。」

ガチャ

「御機嫌麗しく、聖女チハル様。」

「カーディーさん、鰻有難うございます！超おいしいです！」

「それはそれは、気に入って頂けて恐悦至極で御座います。」

「えーっと、何かご用事が？」

「はい、この度はホウラーク教国の危機をお救い頂き有難うございます。」

「・・・へ？」

　千春は何の事かとアイトネを見る。

『・・・あ。』

「何？その『あ。』って。」

『言って無かったなぁ～って。』

「何を？」

『あの魔女ってファスケス王国の指示で戦力溜めてたのよ。』

「・・・は？聞いてないんだけど。」

『だから言って無かったなぁ～って・・・テヘッ。』

「ファスケス王国はどうするの？」

『それはもう処理済みよ。』

　アイトネは別のテーブルでうな重を美味しそうに食べているモートを見る。

「モートさんが・・・あ！あの「もう居ない。」って言ってたのソレか！」

　千春は思い出す、そしてモートをもう一度見るとモートはニコッと笑う。

「その件でお礼をと思いまして。」

　枢機卿カーディーはお辞儀をしながら千春に言う。

「えっと、沢山鰻も貰いましたし、大丈夫です！」

「しかし。」

「あ、それじゃこの鰻料理を定期的にアイトネに供物として出してもらえます？」

「はい、それは勿論で御座います。」

「それでおっけーです。」

「・・・はっ、承りました。」

　深々とお辞儀をするカーディー。

「で？ファスケス王国どうなったの？」

『ん？教国と残った貴族で復興するわよ、ほとんどの貴族が消滅しちゃったから。』

「うわぁモートさんお疲れ様ぁ。」

　話が終わるとカーディーが予定を確認する。

「チハル様、寝室の方をご準備致しますので少々お待ちいただきたいのですが・・・。」

　カーディーは周りを見る、物凄い人が多くなっており、何人宿泊するのか計算している。

「あ、大丈夫です、食べたら帰りますから。」

「え？」

『それじゃ食事が終わったらドワーフの国に行くのかしら？』

「んにゃ！一回ジブラロール帰って、お風呂入りたい！」

「お風呂は大事だよねぇ。」

「明日はドワーフの街行くの？」

「その予定っていうか、今確定しました。」

「やったー！新しい街だー！」

「まだ城しか見てないからねー。」

　JK達は既に明日のお出かけが楽しみになっていた。

「そ、それでは、ごゆっくりお過ごし下さい。」

「はい！カーディーさん有り難うございます！」

「いえいえ！此方こそ、ありがとうございました。」

　再度お辞儀をしお礼を返すカーディーは部屋を出て行った。

「なんじゃ、ドワーフの国へ行く事になったのか？」

「うん、街見てみたいじゃん？」

「ま、構わんがな、お土産を注文した方が良いじゃろ？」

「・・・あ！ウイスキーとかだっけ。」

「前スライム退治の時の酒でいんじゃん？」

「あーあの４リッター入りのウイスキーと焼酎だっけ。」

「もうメチルアルコールで良いんじゃん。」

「ミオ、メチルはダメだよ、せめてエチルアルコールにしなよ。」

「レナ、どっちもダメでしょ。」

「チハル！あれ！あのめっちゃアルコール度数高いヤツ！」

　青空が楽しそうに千春へ言う。

「あぁ、スピリタスね。」

「アレでなんでわかるん？」

「たまに買うから。」

「え゛？あれ確か９０度超えてるんだよね？」

「うん、ママドラ用のお酒でたまに買うんだよ。」

「マ！？」

「ま。」

「で、売ってんの？」

「うん、私がたまに注文するから常備してくれてる。」

「すげえな近所の酒屋。」

「お父さんのお友達がやってんだよ～。」

　早速スマホでポチポチと注文を入れる千春。

「おっけ！注文おわた！」

「おっつ～。」

「食事も終わったっぽい？」

　外を見ると火は落とされドラゴン達も寛いでいた。

「エーデルさーん、ジブラロール帰るよー。」

「はっ！了解しました！」

「それじゃおかぁさん片付け・・・終わってるぅ。」

　春恵とサフィーナはポンポンとアイテムボックスに入れ片付けを秒で終わらせる。

「さ、帰りましょ♪」

「おかぁさんも慣れたねぇ。」

「サフィーちゃんと後で片付けるからね。」

「チハルが居ない時片付けするから。」

　春恵とサフィーナは千春に微笑み答える。

「んじゃ家に帰ろー！」

「はーい。」

「ひーい。」

「ふーい。」

「へーい。」

「ほーい。」

「・・・なんだこの疎外感！」

　日葵は笑いながら文句を言うと皆は大笑いしながらジブラロールに帰った。