深緑の森焦土作戦終了!

「アイトネーこれどうしたら良いー?」

 千春は空に向かって話しかける。


(その子をそのままにして良い事何も無いからモートに連れて行ってもらいましょ。)

「あーい。」

「なんて?」

「モートさんが連れて行くってさ。」

「ありゃ、冥界行きかぁ。」

「っていうか死んでるのに生きてて魂は有るのか。」

「ゾンビとは違うんだね。」

 相変わらず白目を向いたままネガルスに掴まれている魔女をJK達は見る。


「あ、そう言えばなんでデンハを石にしたんだろ。」

「そう言えばそれ聞こって話してたんだっけ?」

「そうそう・・・でも聞けそうにないね。」

 地面に降り立つと、ネガルスがぽいっと魔女を投げ捨てる。


べちっ


「起きないね。」

「寝てる訳じゃないだろうからねー。」

 千春と頼子は遠巻きに魔女を見ている、するとモートが現れた。


「やぁチハル、アイトネが言ってた魔女はこれか。」

「うん、あ!モートさんこの魔女さん何でデンハを石にしたのかわかる?」

「あぁ。」

 モートは魔女の近くに行き見つめる。


「石像にして売って金にしたらしい。」

「・・・実験とかじゃないんかーい!」

「結構金に困ってたみたいだな、今回の件も金が目的らしいぞ。」

「へ?ゾンビが?」

「あぁ。」

「誰にお金貰うの?」

「もう居ない。」

「ありゃ、居ないんだ。」

 残念だねーと言いながら千春はモートと魔女を見る、モートはパチンと指を鳴らす。


「さて、俺の仕事は終わりだ。」

「その魔女さんは?」

「魂だけ送った。」

「肉体ごとじゃないんだ。」

「アンデッドの体を持って行った所で何もならないからな。」

「ふぅーん、それどうするの?」

「燃やすなり埋めるなり、放置してもそのうち腐るだろ。」

 モートの言葉にアルデアが声を掛ける。


「チハル、その魔女私が貰って良いかしら?」

「別に良いけど・・・死体だよ?」

「えぇ、魔力がたっぷりのね、それじゃ貰うわね、カオ。」

 アルデアが言うとカオスドラゴンは死体に首を近づける、そして。


パクッ


「あ!たべた!」

「うげぇ。」

「死体食べるの?」

「こわっ。」

「死体と言うより魔力を食べたのよ、まぁ肉体ごと食べたけど。」

 アルデアは何でも無い様に答える。


「チハル、終わりか~?」

 ロイロはあくびをしながら千春に問いかける。


「うん、あとはデンハ送り届けるだけだね。」

「あー、その前に一度戻らぬか?」

「ん?良いけど~・・・。」

 千春は焼野原になった周りを見回す。


「これそのままでいいん?」

 千春が言うと麗奈がラムンディに話しかける。


「これどうにかなるの?」

「あぁ、問題無い、時間は掛かるが、芽吹きの魔法を、掛けてある。」

「だそうです。」

「あざます!」

 返事を聞き千春は満足そうにお辞儀する。


「さて、それじゃ頑張ってくれた精霊さん達にお礼しないとね!」

 千春は上位精霊達を見ると、炎の上位精霊クテトラが満面の笑みで話しかける。


「チハル!酒はあるか?!」

「あるよーん。」

「なに!?酒だと!?」

 大地の上位精霊、ネガルスが物凄い勢いで千春を見る。


「あ、はい、えっと。」

「ネガルスだ!大地の精霊だ!我も仲間に入れろ!」

「ネガルス!あなたは契約してないでしょう!」

「そうよ!あなたが居たら面倒事増えるわ!」

 オピクスとセルッティの2人が文句を言う。


「まぁまぁ、でもネガルスさん大きすぎて部屋入れませんよ?」

「大丈夫だ!」

 ネガルスはそう答えると小さくなる。


「これでどうだ!」

 エーデルよりも一回り大きいが、部屋には入れるサイズまで小さくなるネガルス。


「まぁ・・・それなら。」

 麗奈はそう呟くと、ネガルスが麗奈に話しかける。


「我はネガルス、レナと言ったな、お主の命の火が消えるまで仕えよう!」

「えぇぇ~?」

 麗奈はセルッティを見ると、セルッティは頭を抱えていた。


「ラムンディさんどうなの?」

「仕方あるまい、悪いヤツではない、契約しておけ。」

「ういっ、それじゃネガルスさんよろしく!」

「おう!我の力が必要な時は名前を呼べ!」

「いやぁ・・・必要な時くるかなぁ・・・。」

 麗奈は呟く、そして皆はドラゴンに乗る。


「さ、帰るべ~。」

「かえるべかえるべ。」

「楽しかったー。」

「マ?」

「うちも楽しかったけどね。」

 JK達はキャッキャ話す。


「アルデア様。」

「何?テールカ。」

「夢ですかねぇ。」

「ホッペタつねってあげようか?」

 アルデアは片手をドラゴンの手にする。


「ヤメテクダサイ!」

「ンフフ、さ、帰りましょ、カオ行ってちょうだい。」

「グルルルルゥゥ。」

 ドラゴンは羽ばたき、精霊達は空を飛び、皆は教国へ向かって飛んだ。



---------------



『・・・って事よ。』

「はぁ・・・、はっ、失礼しました。」

 枢機卿カーディは、アイトネから説明を聞き、抜けた返事を返してしまった。


「フフッ、信じられないわよね。」

「女神ハル様は聖女チハル様の母上と言うのは。」

「えぇ本当よ?」

「・・・女神の子で聖女であらせられる聖女チハル様に教国は何をすれば。」

「別に遊びに来たら部屋貸してくれれば良いんじゃないかしら?」

『そうね、たまには遊びに来たいものね。』

「はっ、それでは正式に聖女チハル様の部屋を準備させて頂きます!」

『私も来るから~♪』

「はっ!承りました。」

 深々とお辞儀をするカーディ。


『あと、ファスケスの重鎮は殆ど消えたから、教国は残った貴族と上手くやって頂戴。』

「了解しました、直ぐに現地に向かわせますゆえ。」

 カーディはもう一度頭を下げ部屋を退出した。


「さて。」

 春恵はポツリ呟く。


『準備するの?』

「えぇ、精霊達のごはんも必要ですよね。」

『そうね、今日は頑張ってもらったものね。』

「どれくらい食べるのかしら。」

『私くらい食べるんじゃないかしら?』

「・・・底なしって事ですか?」

 やめてくださいよと呟き春恵は何を作るか考えをめぐらした。



---------------



「ただいまー!」

「ただいま戻りましたー!」

 千春達は部屋に入りアイトネと春恵に声を掛ける。


「お疲れ様、楽しかった?」

「凄かったよー!めっちゃ炎の柱が立ってた!」

「凄かったねー、思わず動画撮ったもん。」

「え?ミオあれ撮ったん?ちょ!私にも送って!」

「うちも!」

「LIMEに共有しとくわ。」

 ワイワイと賑やかに話すJK軍団。


「それではドラゴン達を送ってきます。」

 エーデルは千春に声を掛ける。


「ちょっとまっちくれーい!」

「はっ、どうされました?」

「いや、みんな頑張ってくれたからご飯食べてって欲しいなって。」

「良いのですか?」

「いい!いい!っていうか是非!ね!アベリアたちも食べたいっしょ?!」

 ドラゴニュートに戻ったアベリア達、ミリカも一緒に頷く。


「それじゃ厨房借りましょー♪」

「チハル!酒!酒取りに行くぞ!」

「あ、おかぁさんお願いしていい?」

「良いわよー。」

 皆はそれぞれ準備を始めた。



---------------


「デンハ、家に帰れなかったけど大丈夫?」

 美桜はデンハに声を掛ける。


「あ、はい!食事とお酒の話を聞いてルプ様にお願いしておりましたので!」

「そっか、でもあのご飯と酒を口にしたら帰れなくなるよ?」

「・・・そんなにですか!?」

「うん、そんなにだよ、実際帰らなくなった人達いっぱ居るからね。」

 美桜はアルデアや外で待機しているドラゴン達を見て笑う。


「あの、その、もしよろしければ僕もジブラロールに住んだり出来ますか?」

「ん?デンハが?」

「はい!」

「ん~、語尾に『ニャ』付けるなら!」

「え゛?」

 ニヤニヤしながら美桜は言う。


「ミオ、無茶ぶりするねぇ。」

 麗奈は笑いながらデンハの頭に手を乗せる。


「嫌なら言わなくて良いからね。」

「えー?やっぱニャは居るよー。」

「はい、出来るだけ言います!・・・にゃ!」

「ね?可愛くね?」

「可愛いわ。」

 美桜と麗奈は恥ずかしがるデンハを愛でた。





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