帰って来た飛空島!
「ただいまー!」
「ただいまこんちわー!」
千春と頼子は異世界に入ると声を掛ける。
「お帰り千春、ヨリちゃん。」
「おかえりなさいチハル、ヨリ。」
春恵とサフィーナは門の部屋でお茶をしていた。
「明日休み?」
「うん、やすみー。」
千春はチラッとサフィーナを見る、サフィーナはニコッと微笑み返す。
「あー、うー、汗かいたからお風呂入って来る!」
「私も付き合ぉぅ!」
2人はカバンをアイテムボックスと影に収納すると、浴室に移動した。
「チハル今日一日挙動不審やったばい?」
ビェリーがルプに報告する。
「あー、思い出したのかもなぁ。」
ルプはチラッとサフィーナを見ると微笑んでいる、すると春恵が話す。
「千春の事を思ってやってくれたんだもの、ね、サフィーちゃん。」
「お見通しですか?」
春恵が言うとサフィーナは少し驚き言葉を返す。
「えぇ、思考は読めないけど少しだけなら分かるもの、ルプも分かってたから何も言わなかったんでしょ?」
「あぁ、訓練みたいなもんだろ?」
「はい、今後も続けて行きたいと思っております。」
「それはハルト君とサフィーちゃん、千春3人の事情ですもの、お任せするわ。」
春恵はそう言うと立ち上がる。
「私も入ってこよっと♪」
春恵はテテテーっと小走りで浴室に走って行った。
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「はぁ~気持ちいい。」
「温泉は良いですにゃぁ。」
「贅沢ね、部屋に温泉が有るなんて。」
頼子、千春、春恵は温泉に浸かりながら話す。
「千春昨日の事覚えてるの?」
「ヴっ・・・少し思い出したの。」
「そう、大事な事だから一回だけ言わせてもらうわね。」
「なに?」
「楽しみなさい。」
「へ?」
「何?千春が今日変だった事?」
「えぇ!?変だった?」
「うん、めっちゃ変だった、急に手で顔隠したり真っ赤になったり、オロオロしてたじゃん。」
「うぁぁぁ・・・。」
千春は湯船に顔を沈めながら唸る。
「そうそう、さっき飛行島が帰って来たって言ってたわよ?」
「え?マジで?」
話を変えた春恵、カバっと顔を上げる千春は嬉しそうに言うと頼子を見る。
「見に行く?」
「行くっしょ。」
「お母さん一緒に行く?」
「ん~、ここからでも見れるから大丈夫よ。」
「流石女神様。」
「んじゃサフィーに伝えて来る!」
千春は浴室を出ると、こちらの服に着替えサフィーナの所へ行く。
「サフィー!飛行島に行って良い?!」
「勿論、準備も出来てるわよ。」
応接室に入った千春にサフィーナが答えると、侍女達は杖を手に取る。
「お帰りなさいませチハル様。」
「ただいま!ワークスさん・・・それ何?杖?」
「刀で御座います、女神アイトネ様より神授されました。」
「おぉぅ、すごぉ、見せてー!」
「危ないので。」
「見るだけ!」
「はい・・・それでは。」
ワークスは鞘から刀を半身出し千春に見せる。
「・・・綺麗。」
「はい。」
「使えるの?」
「多少ですが。」
「多少なものか、本気でやれば俺を切れるぞ。」
「マ!?すごっ!」
ワークスは刀を仕舞う。
「千春~、準備は~?」
「出来てるってー。」
「サスサフィだね。」
「それな!」
千春達も箒を取り出す、サフィーナは杖で行くようだ。
「そういや杖使わないよね千春。」
「箒の方がなんか魔法使いっぽいじゃん?」
「杖でも魔法使いっぽいけどなー。」
頼子は杖を伸ばすと横座りする。
「誰が行くの?」
「私とサリナ、モリアンとナッテリー、あとはワークスですね。」
「ん?いつもより少ない?」
「ルプとビェリーも行くでしょう?過剰なくらいです。」
「サフィーがそう言うならそうなんだろうね、それじゃ行くよー!」
千春は箒に跨ると窓を飛び出す。
「チハルー?」
「なに~?サフィー。」
「先行しないでね。」
「はーいサフィーママー。」
先頭をサフィーが、その後ろに千春と頼子、2人を挟むようにサリナとナッテリーが、そして後ろをサリナが飛ぶ。
「・・・え?ワークスさん飛んでるんだけど。」
斜め下を飛ぶワークス、手には刀を持ち飛んでいた。
「千春が学校に行ってる間に飛び方を教えたのよ。」
サフィーナは呆れる様に説明する。
「『要するに重力操作ですね。』の一言で飛べる様になったわ、しかも刀に魔道具付けて飛んでるのよ。」
「すっげぇ・・・もしかしてワークスさんって凄い?」
「はい、正直言うとジブラロールで2番目に強いかもしれませんね。」
「へぇ・・・え?1番だれ?」
「・・・メグ様です。」
「あ~・・・氷の魔女だもんねぇ。」
あはははと笑いながら後ろを飛ぶ千春、頼子はワークスの飛び方が面白いのか、ずっと見ている。
「なんかどこぞのヒーローみたい。」
「すーぱーめーん?」
「ほら、戦闘民族が出るアニメあんじゃん。」
「あるね、まさにあの飛び方だもんね。」
そうこうしていると大きな島が目に入る。
「荷下ろし中だねー。」
上から覗き込みながら島を行き来している人を見る千春。
「貿易船になってますからね、何処を見ますか?」
「まずはテールカちゃんを労おう!」
「それじゃ管制室ですね。」
『マスター!オヒサシブリデス!』
「わぁ!」
「うぉっ!?びっくりしたぁ!」
ロボ君からの通信で驚く千春と頼子。
「ロボ君、テールカちゃんそこ居る?」
『ハイ、システムノチョウセイヲシテオリマス。』
「あいよーそっち行くねー。」
返事を返し、皆は管制室に向かうと、テールカが手を振っていた。
「チハルちゃーん!」
「テールカちゃーん!おつかれー!」
皆が島に降りるとキャッキャと手を合わせるJK2人とテールカ。
「どうだった?旅は。」
「ん!ずっと島に居たからわかんない!」
「えぇ~、一度も降りなかったの?」
「うん・・・でも島から色々見れて楽しかったわよ?」
「そりゃぁまぁ、景色は見れただろうけど。」
「でもでも!色々な国の食材で料理作ってもらって美味しい物いーーーーっぱい食べたわ♪」
「あ、良いなソレ。」
「食材なら商業ギルドに卸すらしいから、手に入ると思うわよ。」
「因みに何が美味しかった?」
「魔国牛のすき焼き!」
「・・・それ先週食べたわ。」
「えー!ずるい!」
「いや、食べて来たんだよね?」
「チハルちゃんの料理の方が良かったわ~。」
何故か残念そうにするテールカを見て千春はクスクス笑う。
「じゃ、テールカちゃん今日王宮おいでよ、ご飯作ってあげるから。」
「ほんと!?チハルちゃんの手料理?!」
「んにゃ、おかぁさんと一緒に作るから。」
「・・・へ?チハルちゃんのお母様って確か・・・。」
「うん、復活した。」
「そんな・・・、バレアタスの最新技術を使っても無理よ?」
「だろうね、神様の所業だもん。」
「神・・・凄いわね神様。」
一つしか無い目を大きく開き驚くテールカ、千春はニッコリ笑うとテールカに伝える。
「それじゃ、晩御飯は家で作るから出来たら呼ぶね。」
「どうやって?」
「ルルに呼びに来させるから、フェアリーリングあったでしょ?」
「分かったわ、準備しておくわね、ドレスが良い?」
「何でドレスなの。」
「王宮で食事でしょう?ドレスコードは?」
「無いよ!普段着で良いよ!なんならジャージでも良いよ!」
「ジャージって何?」
「私の国の最強のんびりコーデ。」
「へぇ、興味有るわ。」
千春は約束を付けると、空島のお店を見て回る、そして商業ギルドで色々な貿易品を見せてもらい満足して王宮へ帰った。
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「千春、魔国牛買わなくてよかったん?」
頼子は珍しい食材こそ買ったものの、肉等は買わなかった千春に問いかける。
「え?だって魔国ってルルが居たら秒で行けるじゃん。」
「・・・飛空島交易の意味ねぇ!!!!全否定じゃん!!!!」
「こまけぇこたぁ良いのよ、さ!帰るよ!」
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