家族団欒!
「千春、アレ取って。」
春恵が言うと千春は小麦粉を渡す。
「はい。」
「チーちゃんアレ何処かね。」
文恵は米に水を入れながら問いかけると千春は醤油とみりんを手に取り渡す。
「は~い。」
千春は鹿肉をフリーザーバックに入れ調味料を混ぜ込む。
「千春、こっちは?」
「あーそれはシチューだよ。」
「ホワイト?」
「んにゃー、茶。」
そう言うと春恵は千春から野菜を受け取り切り始める。
「アレは何処にあるかねぇ。」
「これ?」
料理酒を手に千春が聞くと、それそれと受け取り目分量で文恵は入れる。
「・・・。」
「どうしたん?モリー。」
「なんでアレとかコレで通じるのかなぁ・・・と。」
「あー、何の料理作るか分かってるからね。」
モリアンに説明しながら千春は手を動かす、横でサフィーナとサリナも何も出来ずに居た。
「フフフ。」
「これは入る余地有りませんね。」
サフィーナは笑い、サリナも苦笑いで答える。
「サフィーアレ取ってー。」
「はいはい。」
サフィーナは答えると大きな皿を千春に渡す。
「サフィーナさん・・・同類でしたか。」
「サフィーも溶け込んじゃってますね。」
サリナとモリアンはそう言うと何か手伝える事は無いかと、4人を見続けた。
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コンコン
「どうぞー。」
ノックが鳴り大樹が返事をすると、ナッテリーが扉を開ける。
「タイキ殿!お帰りなさいませ!」
宰相ルーカスが部屋に入って来ると、後ろからエイダン国王も入って来る。
「久しぶりじゃなタイキ殿、これはこれは、ゲンジ殿もいらっしゃったか。」
「お久しぶりですな、エイダンさん。」
エイダンはソファーに座ると、ワイワイと声のする厨房に耳を傾ける。
「楽しそうですな。」
「十数年ぶりに3人が揃いましたから。」
タイキは微笑み厨房の方を見る。
「タイキ殿、こちらに署名をお願いしたいのですが。」
「何の書類でしょうか。」
少しザラザラとした丈夫な紙に、こちらの文字で何か書かれている。
「タイキ殿、女神ハルエ様の爵位をお渡しする書面です。」
「要らないですよ、のんびり過ごせればそれだけで構いません。」
ルーカスの言葉に大樹が答える。
「タイキ殿、この爵位に関しては地位を示すだけの物じゃ、別に何をしなければならない等は無いから安心してくれ。」
エイダンは笑みを浮かべ説明する。
「しかし、他の貴族に悪いですよ、仕事をしない者が爵位を持つなんて。」
「何を言われておるのですか?そこらの貴族よりも開発や研究に力を入れて王国の為に動いているではありませんか。」
「うむ、逆に儂らがケチだと思われてしまうんじゃよ。」
2人は困り顔で説明する。
「それにです、タイキ殿は賢者と呼ばれ、妻のハルエ様は女神様であらせられます。」
「その娘は王女で聖女、そして次の王妃じゃ。」
「あぁ~・・・でもめg・・・ハルエは常にここに居るわけではないですよ。」
「それも聞いておる、問題はない。」
「はい、問題有りません。」
2人は即答で返答する。
「大樹君、減るもんじゃないんだ、受けておけばいい、断り続けるのも悪いだろ。」
源治はニコニコしながら話す。
「まぁ・・・そうですね、因みに位は何ですか?」
「公爵じゃ。」
「・・・は?」
「公爵で御座います、王家の血筋の者が持つ爵位ですが、先程も言いました通り条件は有り余る程有ります、問題有りません。」
「はぁ・・・えぇぇ~・・・。」
大樹が困っていると春恵がやって来る。
「どうしたの?タイちゃん。」
「んー、爵位くれるらしいんだけど、公爵なんだよぉ。」
「へぇ、一番高い位の爵位?」
「そ。」
「もらっておいたら?」
「へ?」
「どうせこっちで研究するんでしょう?」
「するねぇ。」
「地位が高ければやれる事も増えるわ、タイちゃんの為になるわよ?」
「うーん、わかりました、お受けいたします。」
大樹はそう言うと書類に名前を書く、大樹は名前だけはこちらの文字で書けるように練習をしていた。
「有難うございます、後日勲章をお渡し致しますので。」
「はい、有難うございます。」
「それでは失礼する、タイキ殿、ゲンジ殿ゆっくりしてくだされ。」
「え?終わりですか?」
「終わりじゃよ、家族団欒の所を邪魔するのも悪かろうて。」
春恵を見てニッコリ微笑むエイダン。
「女神ハルエ様、よろしくお願い致します。」
「あ、陛下、ハルエじゃなくハルでお願い出来るかしら?」
「ハル様で御座いますか?」
「えぇ、本当はメグって呼ばれてたの。」
「メグですか!?」
「えぇ、でもメグさん居るじゃない?」
「は、はぁ。」
「ハルって呼んで頂戴ね、タイちゃんあなたもね♪」
「ハル・・・ハルか、イイね。」
大樹は、何度かハルと言いながら微笑む。
「お父様いらっしゃいませ!」
「チハル、元気じゃな。」
「ばっちり元気でーす!ご飯食べて行きますー!?」
「いや、今日は家族でのんびり楽しんでくれ、儂は戻るのでな。」
「はーい!それじゃ!おすそ分けお届けしますから食べてくださいね!」
「ありがとう、それじゃぁな。」
パタパタと近くに寄って来た千春の頭にポンと手を置き微笑むエイダンは部屋を出て行った。
「チハル、王族にも食事届けるの?」
サフィーナが千春に問いかけると頷く。
「うん!めっちゃ作ったからね!ナッテリーお願い出来る?」
「はい、カートをお持ちしますね。」
「あ、そうだ・・・アイトネー。」
((は~い。))
(ご飯あるよー食べるでしょー?)
((今日は遠慮しておくわ~♪))
(なんで?)
((家族でのんびりして頂戴♪))
(・・・鹿のシチュー美味しく出来たのに?)
((・・・。))
「千春。」
「なに?おかぁさん。」
「アイトネ様には私が持って行くわ。」
「あ、そっか、あっち行けるんだっけ。」
「あとお母さんもアイテムボックス使えるわよ。」
「え?マジで!?」
千春は春恵の胸を見る。
「うん、使えそう。」
「失礼ね。」
「私おかぁさんに似たのかぁぁぁ!!!!!」
「どの口が言ってるのかしらぁ!?」
春恵は千春のホッペタを両手で引っ張る。
「いはいいはいいはい!ごへんなはい!」
「それじゃモート様の分も分けて持って行くわね。」
「はーい、サフィー!お皿だしてー!」
「はーい。」
千春はアイトネとモートの食事を皿に乗せて行く。
「おかぁさん鹿シチューお願い!」
「チーちゃん、炊き込みも出来たよ。」
「それはこっちの入れ物に入れてー。」
文恵の畑で採れた野菜の天ぷら、鹿肉で作ったローストディア、鹿のシチュー、そして文恵特製舞茸の炊き込みご飯を準備すると春恵はアイテムボックスに入れる。
「それじゃちょっと行ってくるわね。」
そう言うと春恵が消える。
「おぉ・・・本当に女神様なんだなぁ~おかぁさん。」
「すごいねぇ、娘が神様になるなんて信じられないわ。」
「女神の母だよおばぁちゃん。」
「大げさだねぇ。」
クスクス笑いながら2人は王族の食事を取り分けると、大樹と源治、そしてペット達に食事を配膳していった。
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