お父さんに言うの忘れてた!

「行って来ます!おかぁさん!」

「行ってらっしゃい、気を付けてね。」

 制服に着替え千春は玄関で春恵に手を振る、頼子達も一緒に手を振りキャッキャと騒がしく学校へ向かった。


「さてと。」

 春恵は異世界に戻る、クローゼットの門に軽く手を触れ中に入ると応接室に戻った。


「お待たせしました。」

「ハルエさん改めて、お久しぶり。」

 頼子の母、向井智美は幼い頃からの幼馴染の頼子と良く春恵と話をしていた。


「ほんっとうに久しぶり!」

 ニコッと笑う春恵は智美に言う。


「ビックリしたわ!もう・・・本当に・・・うぅぅぅ、ハルエさぁぁん!!!」

 感極まった智美は春恵の手を取ると泣き出す。


「千春をありがとう、面倒見てくれてたでしょう。」

「当たり前じゃない、もう娘みたいなものよ。」

「フフッ、ありがとう、えっと、初めまして、千春の母の春恵です、ハルって呼んでくださいね。」

「ミオの母、平田美咲です。」

「レナの母の矢代麗子です。」

 2人も春恵の手を取り挨拶をする。


「ハルさんは女神になったの?」

 不意に美咲が問いかける。


「そうらしいわ、この門を見る事と、この世界のバグ処理がお仕事ね、そっちの方は滅多に無いらしいから、門を見てるだけになるわ。」

「そうなのね。」

「トモミさん、こっちで仕事するんでしょう?」

「・・・えぇ、もうしてるけどね。」

 涙を拭きながら答える智美。


「メグさんの商会で色々開発して売ってるの、美容品がメインだけど。」

「日本と行き来するんでしょう?」

「勿論、チハルちゃんが居ない時はアイさんが送り迎えしてくれてたんだけど、次からはハルエ・・・ハルさんがしてくれるの?」

「そうなんだけど、日本でお茶する時は呼んで欲しいって言ってたわ、ね、アイトネ様。」

 春恵が言うとフワリとアイトネが現れる。


『もちろ~ん♪私もお茶したいもの♪、ハルも日本でお茶して来て良いわよ?」

「良いの?」

『えぇ、ハルの事もちゃんと許可取ってるわ♪』

「それじゃ再会祝いにあっちでお茶する?」

「良いわね、旦那達は領都に行くらしいから。」

「メグさん呼んでこようか。」

「それならアオイさん達も呼びましょうよ、顔合わせしておいた方が良いじゃない?」

「それじゃコトハさんとウメノさんも呼んじゃうわよ?」

 麗子はそう言うとスマホを触る。


「ハルさん携帯持ってないわよね?」

「・・・持ってると思う?」

「うん、アイさん持ってるし。」

 智美が言うとアイトネは自分のスマホを見せる。


『いいでしょ~♪』

「アイさんハルさんにスマホ持たせても良いわよね?」

『良いわよ、でも私の契約したのウカちゃんなのよね。』

「大丈夫、ハルさんのは私が契約するわ。」

 智美はそう言うと立ち上がる。


「スマホ作るの時間掛かるし、先に携帯契約しに行きましょう。」

「オッケー、私はみんなを迎えに言って来るわ、街まで一緒に行きましょ。」

 美咲と麗子はそう言うとマルグリットを呼びに行く、マルグリットが来ると皆で着替えをさせ日本に移動した。



--------------------



「千春ウッキウキだね。」

「えへへ~♪」

「チハルママいつまで一緒に居るの?」

「取り敢えず1週間は一緒にいてくれるよ~♪」

「よかったねー、私達は邪魔したら悪いからお出かけするかー。」

「邪魔じゃないよ?」

「いやいや、親子水入らずで楽しみなよ・・・。」

 麗奈はそう言うと黙り込む。


「どうしたん?レナ。」

「・・・いや、チハル。」

「なに?」

「チハルパパこの事知ってんの?」

「あ!!!!!!!!!」

「「「知らないの!?」」」

「・・・忘れてた。」

「不憫すぎる・・・チハルパパ。」

「海外だっけ?今起きてるかな。」

「多分今は起きてる・・・わんちゃん。」

「LIMEしな!?」

「うん。」

 千春は立ち止まりLIMEにメッセージを送る。


「送った。」

「なんて?」

「おかぁさん復活したって。」

「言い方!!!」

「復活って!」

「まぁ間違いでない。」

 また歩き出し千春はスマホを見ていると電話が鳴る。


「もっしもーし。」

 千春が電話を取ると、怒涛の如く話始める大樹。


「おぉ・・・ここまで聞こえる。」

「興奮してんねぇ。」

 千春はスマホを少し耳から離す。


「うん、おかぁさん生まれ変わった・・・ん?違うな、女神様になった・・・いや、間違いではないんだけどちょっと、お父さん聞いてる?」

 説明に戸惑っていると頼子が話しかける。


「千春、うちのお母さん今一緒だからそっちにかけてもらったら?」

「ソレだ!お父さん!」

 千春は電話越しの大樹へ説明すると電話を切る。


「おもろー。」

 千春も人の事を言えないほど昨日は興奮していた事を棚に上げ、大樹の興奮しているのを笑っていた。


「チハルパパ帰って来るかね。」

「そりゃ帰って来るでしょ。」

「アレじゃん?パパたちと一緒に仕事するんじゃね?あっちで。」

「あー、なんか賢者とか言われたからね。」

 JK達は他人事の様に話す、千春も多分帰って来るだろうなーと思いながら学校へ向かった。



-------------------



「あら、タイキさんから電話だわ。」

「このタイミングで?あ、チハルちゃんが言ったのかしら。」

「ハルさん旦那さんに言った?」

「・・・言って無いわ。」

 智美は電話を取る。


「もしもしー?」

 大樹からの電話を取る智美は直ぐに耳からスマホを離す。


「おぉぉぉぉぉ・・・・興奮してますなぁ。」

「もう、あの人ったら。」

 智美はニコニコしながら春恵にスマホを渡す。


「もしもし、タイちゃん?」

 春恵は話しかける。


「落ち着いて・・・そう、アイトネ様やこっちの神様がしてくれたの・・・うん・・・うん・・・大きくなったわね、ありがとう良い子に育ってたわ、ありがとう、頑張ってくれたのね・・・。」

 春恵は落ち着かせるように話しかける、智美達の耳に聞こえないくらいに声が小さくなっていく。


「暫く千春と一緒に居るわ・・・えぇ・・・1週間ほどよ・・・え?・・・ダメでしょ!放り出したらダメよ!・・・えぇ・・・まぁそれなら・・・は?そっち今夜でしょ?・・・馬鹿なの?」

「どうしたのかしら。」

「なんとなく分かるわ、今から来るって言ってるんじゃないかしら。」

「海外って言ってたわよね。」

「時差がほぼ12時間あるんでしょ?今は夜のはずよ?」

 ママさんズが話していると、春恵がスマホを智美に返す。


「あら、もう良いの?」

「きりがないから切ったわ。」

「なんて?」

「取り敢えず今からネット予約で明日の便を取るって、仕事は明日の午前中で引継ぎして一度戻るそうなの。」

「おぉー、そりゃ大忙しだわ。」

「こっちに戻ってきたらうちの旦那達と仕事するんじゃない?」

「ウカ様にもそれは言ってるから問題はないでしょ?」

「でも連絡した方が良いわね。」

 麗子は宇迦之御魂に連絡を取る、暫くすると宇迦之御魂が現れる、そして皆は場所を変えこれからの事を話始めた。





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