閑話休題!

「チハルの存在は大きいわねぇ。」

 アイトネは管理者領域にある自室で呟く。


「俺の方も中々だな。」

「でしょうね、過去こんなに信仰が集まった事なんて無いわよ。」

 モートも同じの様で頷いている。


「他の管理者が神の名で勇者や聖女を使う意味がよく分かったわ。」

「デメリットもあるがな。」

「そうね、敵対させる者、討伐する者、そのバランスが必要ですもの、その代償に多くの命が狩られるわ。」

「冥界はその度に大忙しだ、そして散る命は魂に傷がつく。」

 モートは不本意だと言わんばかりに呟く。


「アイトネ様、モート様お茶をどうぞ。」

「ありがとう♪」

「ありがとう、どうだ、こっちは馴染めたかい?」

 モートはお茶をくれた女性に声を掛ける。


「えぇ、とても素敵な世界ね。」

「でっしょお?ロイロからも言われたわ♪」

「確かにここまで安定した世界も珍しいな、管理者が1人と言うのも大きいが。」

「でも、地球を見てそろそろ管理者を増やしても良いかなーって思ったの、モートが乗ってくれて助かったわ。」

「動機は不純だがな。」

「そう?立派な動機だと思うわよ?」

 すまし顔でお茶を啜るアイトネ。


「あなたもそろそろ連れて行きたいのだけれど。」

 アイトネは女性に声を掛ける。


「まだ早く無いかしら?それに私は見てるだけでも幸せよ?」

「そう?、でもチハルはこの願いを言わないのよね。」

「無理だと思ってるからだろ?」

「えぇ、いきなり言われたら私でも無理よ、でも準備はできたわ。」

 アイトネが答えると女性は苦笑いしながら言う。


「アイトネ様を困らせたく無いのよ、あの子は優しいから、それに言ってはいけないと思ってるんじゃないかしら。」

「でしょうね、もう強引に言わせちゃおうかしら。」

「俺がそれとなく聞いてみるか?」

「モートが聞くのも良いかもしれないわね、生と死の神で浸透してるから。」

「それじゃアイトネは創造神か?」

「そんな大げさな称号は要らないわよ、この世界を維持してるだけだもの。」

 暢気に言うが、それが大変なんだろうとモートは苦笑いする。


「ま、暫くは私達でやっていくけど、あなたにもお願いするわね。」

 アイトネは女性に笑いかける、女性はすまし顔でお茶を啜る。


「私は何も出来ないわよ?」

「そんな事はないわ、既に私の権限を分けてるもの、バグを回収くらいは余裕で出来るわ。」

「例のアレね。」

「そ、この世界、このシステムの一番の脅威、逆に言うとアレさえちゃんと処理していれば安定するわ。」

「人の争い事は多かれ少なかれ必ず発生するが、世界の均衡には関係無いからな。」

「あら、地球じゃ人間が星を壊しかけてるわ。」

「機械文明の宿命でもあるからな。」

「魔法文明だとソコは私が制限掛けられるから楽なのよね~。」

「色々あるのね、管理者の仕事って。」

 女性は一息つくと一つの国を見る。


「帰って来た?」

「えぇ、帰って来たわ。」

「来週学校でテストだと騒いでいたが、皆楽しそうだな。」

 3人は城の一室を覗きながら話す。


「他の大陸の変化は?」

「そのうちに、この国の技術やレシピが出回るでしょ、数十年、いえ、数年である程度は広まるんじゃないかしら?」

「俺達の存在もか。」

「それはその国次第ね、私を信仰している国もあれば、有りもしない神を祀る国も有るもの。」

「地球でも同じような物だわ。」

「でも、この世界の神も増やしたいのよねぇ~♪」

「本当に増やすの?」

 女性はアイトネに問いかける。


「えぇ、勿論♪まずは貴女だけどね。」

 アイトネはそう言うと女性を見つめる、話をしながら女性は城の部屋を見ている、いや、1人の少女を見つめていた。


「会いたい?」

「えぇ、でも今は時期尚早だと思うわ。」

「そうかしら。」

「あの子が子供に戻っちゃうわ。」

「それも良いじゃない。」

「・・・。」

 女性はニッコリと笑う、そして聖女と言われる少女を優しく見つめていた。






-----------------あとがきい!-----------------

500話になりました、ここまでお付き合いいただき有難うございます。

この物語で一番聞かれる存在の方、そしてアイトネが色々と企む計画です。

まだまだ物語は続きます、お付き合いくださいませ。


2024年4月1日

(エイプリールフールネタではありませんw)

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