ノースちゃん街に行く!

「気を付けて帰れよー。」

「先生ばいばーい!」

「かえろー!」

 授業が終わり担任の石田が千春に声を掛ける。


「藤井、今日体調悪いのか?」

「いえ?とても良いですが?」

「・・・そうか、まぁそれなら良いんだが、大丈夫か?」

「えぇ、大丈夫ですわ。」

 ニッコリと笑う千春、石田は心配そうにしながらも、顔色も良い千春を見てそのまま教室を出て行った。


「やっぱり話し方だよね。」

「しょうがないんじゃん?元とは言え貴族だもん。」

「ノースちゃんおつかれー、千春もう帰るん?」

 頼子がすみっこでニヤニヤしている千春に声を掛ける。


「せっかく連れて来たんだしちょっと遊びたいよね。」

「チハル忘れてるかもだけど来週中間テストだかんね?」

「・・・そうだった。」

「ま、帰って勉強するし少しくらい良いんじゃん?」

「そうそう、リフレーッシュ!」

「ミオいっつもリフレッシュしてんじゃん。」

「レナもなー。」

「私新作のフラペ飲みたーい。」

「あ、うちも気になってた、スタビャ行こうよ。」

「おっけー、それじゃ街寄ってかえろー。」

 JK軍団は帰る準備を早々に終わらせ学校を出る、ノースはすべてが驚きの連続でキョロキョロとしている。


「もう変身解いて良いんじゃん?」

「はい。」

 ノースは自分の姿に戻るとコンも千春の姿を消すのを止め美桜の頭にピョンと飛び乗る。


「コンお疲れ様。」

「なんてことないです!」

「コンありがとー楽しかったよ。」

「えへへ。」

 皆にお礼を言われ、美桜からナデナデされたコンは嬉しそうにしている。


「それじゃ街へしゅっぱーつ!」

「千春、道草するのにそんな大声で言うのはどうよ。」

 学校の門を出で、周りに学生が居ないが、千春の声に気付き視線が飛んでくる。


「・・・てへっ♪」

「あざとい!」

「ノースちゃん、これがチハルだよ。」

「マネできる?」

「・・・難しいですね。」

「「「「「「だよねぇ~。」」」」」」

「意義あり!」

「はい却下、行くよー。」

 千春の意義ありは秒で却下され皆は大笑いしながら街へ向かった。



------------------



「ノースちゃんプリ撮ろ。」

「ぷり?」

「写真だよ。」

「しゃしん?」

「え~っと・・・まぁ見たらわかるっしょ。」

 青空達がゲーセンの横でノースの手を取り引っ張っていく、千春達もゾロゾロ付いて行くとプリクラの前に移動した。


「ココでポーズすんの。」

「ポーズですか?」

「そ、え~っとまぁ絵じゃないんだけど絵が出て来るんだよ。」

 青空がお金を入れるとアナウンスが流れる、青空と大愛が慣れた手付きでモニターを触り設定していく。


「はい!ポーズ!」

 皆はそれぞれ好きなポーズをとる。


「こんな感じ。」

 モニターには皆がポーズを取った画像が映し出される。


「目が大きいです!」

「うん、そういう設定にしてるから。」

「これ別人ですよね?」

「・・・まぁ本人なんだけど、そう言われたらそうだねぇ。」

「通常設定にすれば?」

「ま、記念と言う事でこれで行こう!」

 青空はそう言うと次のポーズを取る。


「はい!ここで落書きでーす!」

 プリクラを取り終わると別のモニターに色々書いて行く。


「ノースちゃん、ここに文字書けるんだけど名前書いてみて。」

「はい、皆さんの名前で良いのですか?」

「うん、お願い。」

 ノースは皆の頭の上に文字を書いて行く。


「すごいです、どういう魔法ですか?」

 ノースはペンを走らせ名前を書いて行く。


「魔法じゃないんだけど、まぁ似たような物か。」

「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない・・・だっけ?」

「だれだっけ、なんとかさんが言った言葉だっけ?」

「えっと・・・クラークさん?」

「たしかそんな感じの人。」

 うろ覚えの千春と麗奈が話している間にノースは名前を書き終わる。


「できました。」

「おー!読めん!」

「そりゃそうだ、私達勉強してないもん。」

 ブザーが鳴りプリクラが出て来る。


「はい、コレがプリクラ、皆の写真が出て来るんだよ。」

「これはノースちゃんにあげよう!シールになってるからいろんなところに貼れるよ。」

「え?良いのですか?皆さんの分は?」

「私達は大丈夫~♪」

 青空はスマホを見せると、スマホに同じ画像が映し出される。


「ちゃんと貰ってるからね♪」

 大愛もスマホを見せニッコリ笑う。


「有難うございます・・・。」

 ノースはプリクラを見ながら微笑む。


「どうしたの?」

「私・・・友達と言う人が居ません、こんなに楽しいのは初めてです。」

「そうなんだ、それじゃ私達が初めての友達だね。」

 千春はノースの手を取る。


「さ!スタビャいくよー!」

「おー!フラペ飲むぞー!」

「新作よりダークモカの方が好きなのは言わない方が良いかな。」

「言ってる言ってる。」

 キャッキャと騒ぎながらスタビャに向かう一行、そして店に入る。


「ノースちゃん何がいい?文字読めないだろうけど写真でコレって言うの有ったら言ってね。」

「えっと・・・どれも美味しそうです!」

「取り敢えず新作で良くね?」

「そうだね、ヨリはダークモカ?」

「新作付き合いプラぺ。」

「それじゃ新作プラぺ8個ね。」

「コンは何が良い?」

「あんバターサンドが良いです!」

「ビェリーは?」

「わっちはこのエビの奴がいいばい。」

「カンパーニュね。」

「ルプは何にする?」

「このドーナッツを5個。」

「5個!?」

「あぁ腹減ったからなぁ。」

 ペット達は皆フードメニューを選ぶ、そしてテーブルに移動する。


「うん、新作うめぇ。」

「キャラメルうめぇ~。」

「カロリーこえぇ~。」

「カロリ~怖くてフラペ飲めるかぁ!」

「美味しいは正義だ。」

 青空達はウマウマと飲む。


「どう?ノースちゃん。」

「美味しいです、物凄く美味しいです!」

「そりゃよかった。」

「私戻ったら殺されませんよね?」

「なんで!?」

「最後に良い思いをさせてあげようとか・・・そういう・・・。」

「違う違う!私達の日常だから!」

「こんな日常・・・貴族でも無理です!」

「あっちの貴族と言うかあっちの世界はそうだろうねぇ。」

 千春は向こうに行った当初の食事を思い出しながら呟く。


「でもさ、シャリーちゃんのお店って似たようなの飲んだり食べたり出来るんでしょ?」

「できるよぉ~。」

 ズズズズとフラペを啜りながら千春が答える。


「向こうでも同じような日常が手に入るのはありがてぇ。」

「こっそりレシピ増やしてるのはアイトネだけどね。」

 千春が呟く。


「そう言うの教えるのアウトって前言ってたよね。」

「それがさぁ、裏技じゃないけど、夢のお告げ的な感じでシャリーちゃんの枕元に立ってるらしいよ。」

「ひぇぇこわっ!」

「女神様の気合を感じるねぇ。」

「単純に食べ物に対する執着が強いだけだと思うよ?」

 千春はプハー!と吸い終わり答える。


「さて、帰って勉強すっべかね。」

「千春さん、現実に戻すのやめてくれませんかね。」

「さっき私が言ったら来週テストって言ったじゃん!」

「それはそれ、これはこれ。」

「ヨリ、諦めな、テストは逃がしてくれない。」

「うん、それに赤点だけは絶対取ったらヤバい。」

「・・・よし、帰ろう。」

「うん、勉強しよう。」

 皆は赤点を取れば異世界で遊ぶことが出来なくなる事を思い出すと立ち上がる。


「ノースちゃん行こうか。」

「はい!」

 ノースは千春達を見て微笑む、そして大事に手に持つプリクラを見てもう一度笑みを浮かべた。






------------あとがき------------


明日の更新は500話目になります、ちょっとだけ閑話が入ります~♪

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