ドッペルなノースちゃん!
「ただいまぁ・・・あれ?」
JK達が学校から帰りつき異世界に入るとマルグリットとアルデア、そしてルクレツィア達が居た。
「おかえりチハル。」
「おかえりなさい。」
「チハルちゃんおかえりー。」
「どうしたんですか?」
3人に迎えられ千春は戸惑う、後ろから頼子達も入って来る。
「ただいまでーす。」
頼子もただ事では無い雰囲気を感じる。
「不審者が来たのよ。」
「何処にですか?」
「ココよ。」
「えー!?」
驚く千春、頼子達も驚いている。
「で!?どうしたんですか?」
「ロイロが空の散歩に連れて行って寝たままよ。」
「ロイロの散歩・・・アレか!起こさないんですか?」
「自害されても困るでしょ?取り敢えず今後の扱いを考えていた所なのよ。」
マルグリットの説明を聞き千春は考える。
「今何処に居るんですか?」
マルグリットは視線をソファーの後ろに向けると、布の上に女が横たわっていた。
「・・・普通の人ですね。」
「えぇ、スキルが解けて戻ったみたい。」
「スキル?」
「そ、チハルとそっくりになれるスキルよ。」
「へ?私ですか?」
体格も似て年も近そうな女を千春はのぞき込む。
「ココで寝させておくの可哀そうじゃないですか?」
「そんな事は無いわよ、王女の部屋に侵入したのよ?その場で首を切られてもおかしくないわ。」
「ココで切るのは困りますね!いや、他で切られても嫌ですけど!」
「そう言うと思ったわ。」
「それで何の相談をしてたんですか?罪状です?不法侵入ですよね?」
「それは別に良いのよ、被害も無いわ、通常なら死罪だけどね。」
「ひぃ・・・え?って事は違うんです?」
「そ、この子のスキルがとても珍しいスキルなの。」
「私にそっくりになれるスキルですよね。」
「チハル以外にもなれるわ、この子はそれで王宮に入って来たんでしょう。」
王宮の警備に不満が有るわけではないが、これが刺客だと思うとゾッとするマルグリット。
「チハルの周りには過剰なくらいの護衛が居るから心配はしてないのだけれど。」
「まぁ・・・そうですね。」
千春はルプやビェリー、コン、そしてサフィーナやロイロを見る。
「その子は使い道が沢山有りそうなのよねぇ。」
「でも自害されたら困ると。」
「そ、でも尋問官に引き渡すとそれはそれで問題なのよ。」
「尋問・・・こわっ。」
「えぇ、黒幕を確認した頃には精神が壊れてるかもしれないのよ。」
「ひぃっ。」
「アイトネ呼びます?」
『呼んだ?』
「まだー。」
『チハル。』
「なに?」
『ペッパーライス食べたいわ。』
「・・・見てたのか。」
『なんで呼んでくれなかったの?』
「・・・。」
『忘れてたとか酷い!』
「心読まないで下さーい、読むならこの子読んでよー。」
千春は横たわる女を指差す。
『この子ね、入って来る時は食材の搬入業者、その後侍女に、数回貴族令嬢になってチハルの所まで来たみたいね。』
「へぇ、で?黒幕は誰?」
『ファスケス国の貴族ね。』
「へぇ、ファスケスねぇ、ちょっと潰してこようかしら。」
マルグリットは平然と呟く。
「あら、行くなら手伝うわよ?」
アルデアも楽しそうに話す。
『ん~、この子、チハルの秘密を見つけて来いしか言われてないわね。』
「私の秘密?別に無いよね?」
「何言ってるの、チハルの情報は秘密だらけじゃないの。」
呆れた様に呟くマルグリット。
「この子起こしたら自害する?」
『一応自害する薬を持ってるわね、使うかどうかはこの子次第みたいだけど?』
「それは困る!自害しそうになったら止めれる!?」
『大丈夫よー。』
「うぃ、ルプこの子ソファーに乗せて。」
「おう、ここで良いのか?」
「うぃ。」
ルプは女を担ぐとソファーに座らせる。
『起こすわよ?』
「よろー。」
アイトネは女の額に指をツンと当てると、女は目を覚ます。
「・・・きゃぁ!!!!!」
「はぁ~い、えっと・・・名前は何?」
「へ?」
女はキョロキョロと周りを見る、部屋には大きな狼と蛇、狐以外は皆女性ばかりだ。
「えっと・・・え?」
「おぉー混乱しとる。」
頼子は笑いながら千春に言う。
「サフィーお茶頂戴♪」
「はい。」
キョトンとした女、お茶を頼む千春、ケラケラ笑うJK、ニコニコしながら様子を見るマルグリット達。
「どうぞ。」
「ありがとサフィー、あなたもどうぞ♪」
「・・・ありがとう。」
「で?名前はなぁに?」
「ノース・・・チハル王女?」
「そだよー、大変だったねぇ。」
ルプの空の散歩を思い出し千春は苦笑いする。
「えっと・・・私はどうなるんですか?」
「どうなるのかな?お母様、あっち押さえたらこの子無罪になります?」
「無罪にはならないけれど、チハルが許すなら無罪に出来るわよ?」
「はい!許した!無罪だよ。」
「・・・はぃ?」
「ファスケス国の貴族に命令されて来たんでしょ?」
「何故それを?!」
「女神様に聞きましたー。」
千春は横で平然とお茶を飲むアイトネを見る。
「でも・・・その事が知られたら私の命は有りません。」
「それ知ってる貴族があなたの事忘れたら?」
「そんな事出来るわけが有りません。」
「そうかなぁ、モートさーん。」
千春は軽~~~くモートを呼ぶ。
「やぁチハル。」
「聞いてた?」
「勿論、面白い事をしてるなと思って聞いてたぞ。」
「貴族の記憶消せます?」
「存在ごと消せるが?」
「悪い人なのかな。」
千春は暢気に言うと頼子達から突っ込みが入る。
「王女の部屋に侵入させる時点で悪人でしょ。」
「そだよ、質が悪けりゃ怪我じゃ済まないよ。」
「そうそう、それにこの子の事忘れてもまた送り込んでくるかもよ?」
「うっ・・・そう言われたらそうかも・・・。」
千春が突っ込まれている間モートはノースの記憶を探っていた。
「2人消せば問題ないな。」
「そなの?」
「あぁ、間接的に見たが、教国との繋がりが切れた事が原因だ。」
『あら、それじゃ私のせい?』
アイトネが教国の経典を復活させ、聖女とアイトネを祀る事でファスケスとの縁が切れていた。
「大元はそうだが、あいつ等はチハルのせいだと思っているな。」
『・・・私が消してくるわ。』
「いや、俺が行こう。」
「モートさん面倒事頼んでごめんなさい。」
「構わないよ、その代わりなんだが。」
「・・・もしかしてモートさんもペッパーライス食べたかったとか?」
千春は来ていきなりアイトネに突っ込まれたのを思い出し答える、モートはニコッと笑うと姿を消した。
「はい!これでノースちゃんは狙われませ~ん。」
嬉しそうに言う千春、ノースはポカンとした顔で千春を見る。
「あ!そうだ!私に化けれるんだよね?」
「あ、はい。」
「変身してみて!」
「えっと・・・はい。」
ノースは返事をすると千春の姿に変わる。
「うそぉ!?千春だ!」
「すごっ!なに?スキル!?」
「双子レベルじゃないよ!2人居るよチハルが!」
頼子達はノースを見て驚く。
「お母様、ノースちゃんどうするんですか?」
「私の仕事を手伝って欲しいのよねぇ。」
「仕事?」
「そ、私と言うかチハルの仕事なんだけどね?」
「・・・あ!もしかして公務的な!?」
「そうよ、こういう時はピンポーンって言うのかしら?」
フフッと笑いマルグリットが答える。
「えっとノースちゃんジブラロールで仕事してほしいんだけどー。」
「はい、命を救って頂いたのです、何でもさせて頂きます。」
「大げさだなぁ、でもOKって事で良いんだよね、お母様OKです!」
千春は楽しそうに言うと立ち上がる。
「さ!今日もペッパーライス作るかぁ!」
『やった♪』
「うちらも手伝うよーん。」
大愛も手を上げ、青空達もウンウンと頷く。
「お母様も食べますか?」
「そうね、モリアン、ユラを呼んできてくれる?」
「了解でっす!」
モリアンはダッシュで扉を開け消える、そしてまたもやペッパーライスを作る事になった。
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「チハル、お帰り。」
エンハルトが千春の部屋に入って来る、千春達は厨房で料理をしていたが、目の前にはノースが座っていた。
「ただいまハルト。」
「・・・誰だ?」
「はいバレたー!」
「凄いな!愛の力かな!?」
「ハルトただいまー、何で分かったの?」
千春はノースにエンハルトが来たら返事をするように指示していた。
「いや、見たらわかるだろ、雰囲気が違う。」
「・・・どういう事?」
「チハルはチハルって事だ。」
エンハルトが話しているとサフィーナが千春に声を掛ける。
「アリンが来ましたよ。」
「ノースちゃん!次はアリンね!」
千春はササッと隠れ覗き見る。
「こんばんは、ヨリさんお帰りなさい。」
「ただいまアリンさん。」
「いらっしゃいアリン。」
「・・・えっと、チハルさん?」
「なんですか?」
「・・・誰ですか!?」
「うぉぁ!バレた!」
「うわぁ!こっちにも居る!こっちは本物だ!」
「・・・なんでわかんの?」
「そんなの分かりますよ!こっちのチハルさんはチハルさんとは違って品が・・・あr・・・いや、えっと、貴族っぽい?いぇ、えっとぉぉ。」
「あー!私は品が無いって言ったな!」
「違います!その言い間違いと言いますか!」
「千春ぅ、そう言う所だよぉ?」
頼子はアリンハンドをかばう様に言うとケラケラ笑う。
「うぇぇんハルトぉ。」
「・・・どんまい。」
「違う!求めてる返答じゃない!」
物凄くめんどくさい女になった千春をエンハルトはゲラゲラ笑った。
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