ドッペルゲンガー?!sideB
「・・・だれでしょ?」
モリアンは千春の部屋でのんびりしていると気配に気付く、この時間に千春の部屋を訪れる者はほぼ居ない。
「足音忍ばせてますねぇ・・・寝たふりしよっと。」
モリアンはテーブルに伏せると、軽くいびきをわざとかき薄目で覗く。
カチャ
(チハルさん!?なわけないですよねぇ~♪)
モリアンは千春の姿をした女を目で追う、女はキョロキョロと見まわすと寝室の方へ移動した。
「何処かのスパイさんですかねぇ。」
モリアンは手に持った魔道具でサフィーナに連絡を入れる。
「サフィー、今大丈夫です~?」
『どうしたの?』
「チハルさんの姿をした不審者が入ってきましたー。」
『今何処に居るの?』
「寝室の方に行きましたねぇ。」
『寝室にはミタマが居るわ、何かしたらミタマが暴れると思うから。』
「はーい。」
『騎士団の方にも連絡をしておくわ、部隊の子はこっちに来ちゃってるから向かわせるわ。』
「了解で~す。」
通信を切りモリアンはどうしよっかなーとキョロキョロ見回す。
「イロハちゃん、驚かしてみる?」
「何かしないか見てるわ、モリーが席外しても大丈夫よ。」
「はーい、蝙蝠ちゃーん。」
モリアンは天井を見ると、シャンデリアからピョコっと蝙蝠が顔を出す。
「アルデアさん見てますー?」
蝙蝠がコクコクと頷く。
「不審者で~す。」
モリアンが呟くと蝙蝠はまた隠れた。
「マルグリット様にはコレで大丈夫っと。」
椅子に座りふわぁぁとあくびをしていると扉が開いた。
「ふわぁぁぁ・・・あれ?チハルはんおかえりなふぁぁぁい。」
「ただいまモリー。」
「学園は終わったんですか?」
「えぇ、早退したの。」
(・・・情報不足ですかぁ?何処の人なのかなぁ。)
「何か変な物食べました?」
「食べてないわよ!?」
(うーん・・・私じゃなくてもバレますよねぇコレ、このままバレて逃げられるのも困るんですけどぉ?)
「あ!分かりました!貴族ごっこですね!?」
「そ、そうなの!どうかしら!?」
「うーん、もうちょっとですねぇ、貴族令嬢でしたら高笑いしても良いんじゃないですぅ?」
モリアンは内心大笑いしながら答える。
「お茶入れますね!そうそう!マチルの実があるんですよ、チハルさん好きですよね!」
モリアンは厨房に移動し、マチルの実を手に取り上手に皮を剥くと一口サイズに切りそろえる。
「チハルさんこれ嫌いなんですよねぇ。」
千春はこの渋みが苦手で、マチルの実を見ると嫌な顔をする、それを思い出しクスクスと笑うモリアンン、湯を沸かし女の所に持って行くと、お茶を淹れる、すると扉のノックが鳴る、モリアンは返事をすると扉を開ける。
「ルクレツィアさんいらっしゃいませ~♪」
「あら?チハルちゃんもう帰って来たの?」
「えぇ、早退したの。」
「・・・へ?」
ルクレツィアは異変を感じモリアンを見ると笑顔でウインクする、察したルクレツィアは目的のルプを確認する。
「ルプ様は?」
「今日はあっちですよ~。」
「そう・・・ふぅん・・・そう、また来るわ。」
「は~い。」
モリアンはニッコリとルクレツィアに笑みを返すと扉を閉じた。
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「こちらルクレツィア、エーデル隊長。」
『どうした?』
「チハルちゃんの偽者が部屋に居るわ、今モリアンが相手してる。」
『今サフィーナ様から連絡があった、捕獲済か?』
「泳がせてるみたいよ。」
『わかった、第一騎士団に包囲させる、ルクレツィアも合流してくれ。』
「りょ~かい♪」
ルクレツィアは偽者を捕獲したらルプに褒められるかな~と思いながらスキップで合流しに行った。
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「メグ。」
「いらっしゃいアルデア。」
「チハルの部屋にチハルの偽者が居るわよ。」
「なんですって?」
「私も見たけど、ほんとそっくり、アレは偽装スキルじゃないかしら。」
「珍しいスキルね、そこまでそっくりになれるの?」
「えぇ、体格、声までそっくりだったわよ。」
「・・・へぇ~。」
「アレに使えるんじゃないの?」
「そうなのよね、今考えてたわ、今は何処に?」
「モリーちゃんが話し相手してるわ、モリーちゃん上手ねぇ。」
「あの子頭は回るのよ。」
フフッと笑うマルグリット。
「騎士団も動き出したわね。」
「逃げられる事は無さそうな感じ?」
「えぇ、もし逃げても私が追うわ、私から逃げられると思う?」
「思わないわねぇ、それじゃあの計画を進めるのを手伝ってもらおうかしら。」
嬉しそうにマルグリットが言うと、アルデアも頷く、そして2人は立ち上がり部屋を出た。
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(んー?あれは誰じゃ?)
ロイロは空から千春の部屋を見る、時間的にも居るはず無く、繋がった感情は授業中に感じる物だ。
(モリーもおるのぅ・・・。)
翼を軽く羽ばたかせながら地面に降りるロイロ。
「ロイロさんお帰りなさーい。」
「うむ・・・モリー、このチハルは・・・。」
ロイロはモリアンを見ると、物凄く悪い顔でニヤついている。
「チハルさんが散歩したいそうですよ、いつもみたいに空の散歩なんてどうですかぁ?」
(そう来たか、ふむ楽しませてやるかのぅ。)
「ほう?そうじゃなぁ、チハル、背中に乗れ。」
「へ?」
首を下げ乗りやすいようにする。
『ほれ、いつもの様に空の散歩じゃ、好きじゃろ?』
「え・・・えぇ・・・お願いするわ。」
女は怖がりながらもロイロに乗る、ロイロはモリアンを見る、モリアンは物凄く、それはそれは楽しそうに悪い顔をしていた。
『そぉれ行くぞぉ!』
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そして女は意識を遥か彼方に飛ばしてしまった。
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