千春の誕生日!⓫
「だぁぁ!づがれだぁ!」
「お疲れ千春~♪」
「やっと終わったねー。」
ワイワイと騒ぐJK軍団、顔見知りばかりとは言え、お祝いに駆け付けた貴族達に愛想を振りまきまくった千春は、グッタリとソファーに倒れ込む。
「ほら、チーちゃん着物に皺が寄るよ。」
「はぁぁい。」
文恵に言われ千春は姿勢を正す。
「はいチハル。」
サフィーナはお茶を淹れると千春に渡す、千春は美味しそうに喉を潤す。
「あとは身内とお友達からのプレゼントね。」
「うん、やっと気を使わなくて良いよぉ。」
サフィーナに言われ千春は微笑む、するとルクレツィアが嬉しそうにやって来た。
「チハルちゃんお誕生日おめでとう♪」
「ルクレツィアさん!ありがとー!」
「あら、疲れてるわねぇ。」
「嬉しいから大丈夫!」
「そう?私からのプレゼントよ。」
ルクレツィアはユラの時と同じ様にドラゴンの鱗で髪飾りを作っていた。
「あらあら、こっちの髪飾りかい?」
「えぇ、私の氏族で良く作る髪飾りです。」
ルクレツィアは文恵に説明する、髪飾りはかんざしの様に一本の棒になっている、そして先の部分には細かい細工がしてあった。
「着物にも合いそうだね、チーちゃんおいで。」
文恵は軽く結った千春の髪を纏めるとかんざしを挿す。
「うん、似合うね。」
「ありがとうおばぁちゃん、ルクレツィアさん。」
「いいえ♪よく似合ってるわ♪」
嬉しそうにルクレツィアは答える。
「次は私ね。」
アルデアが千春の所にやってくる。
「はい、チハル。」
「うわぁこれネックレス?」
「えぇ、血玉のネックレスよ。」
「血!?」
「血みたいな真っ赤な石の事よ、血で出来てるわけじゃないわよ。」
「びっくりしたぁ、ありがとう!」
アルデアにお礼を言うと次はユラだ。
「チハルおねぇちゃんはいこれ!」
「わー!ルプだ!」
「うん!」
「これユラが作ったの?」
「このね!めとね!わたをつめたの!」
「おー!すごいねー!」
ユラの後ろにはコラリーとドロテが嬉しそうに立っていた、千春は2人にもお礼を言う。
「チハルお姉様、僕とフィンレーからです。」
第二王子ライリーと、第三王子フィンレーが2人並び千春に箱を渡す。
「あけていい?」
「はい。」
「はい!」
2人はニッコリ笑うと千春は箱を開ける。
「うわ、良い匂い!」
千春は箱を開けると花の香が漂う。
「庭にある薔薇で香水を作りました。」
「手作りなの!?」
「魔法で作りました。」
「凄いね、ありがとう、大事に使うね♪」
2人にお礼を言う千春、そして後ろに国王陛下エイダンが待ち構える。
「うぉっほん・・・チハル・・・気に入るかどうか分らぬのじゃが。」
エイダンは少し申し訳なさそうに呟くと千春に箱を渡す。
「開けて良いんですか?」
「うむ。」
千春は箱を開ける、中には綺麗なクラウンティアラが入っていた。
「うぁぁ!凄い!」
「チハルは次期王妃じゃからな、もしよければ受け取ってくれ。」
「有難うございますお父様。」
ポリポリと頬を掻くエイダン、千春は満面の笑みでお礼を言う。
「お父様が最後かな?」
「まだ貰ってない人居ますよ。」
「ん?だれ?」
「旦那様から貰って無いでしょう?」
サフィーナはチラッとエンハルトを見るとエンハルトは目を逸らす。
「あー、ハルトもくれるのかぁ。」
「当たり前でしょう。」
千春に答えるサフィーナ、すると頼子達が動き出す。
「暗くなったね。」
外を見る千春、外では準備が終わりエーデルの家族やホーキンの家族、そしてルクレツィアや狼の牙のメンバーも移動しのんびりとしていた。
「さてと、そろそろ良いかな?」
頼子は立ち上がると美桜達を見る。
「そだねー、良い感じに日も落ちて暗いし。」
「何?何するの?」
頼子達に千春は問いかけると、皆はニヤリと笑う。
「チハルこっちおいで。」
麗奈が千春の手を引きながら庭に出る。
「皆も外にきてー。」
青空達は寛ぐ王族やサフィーナ達侍女までも庭に呼ぶ。
「アリンさん、お願いしまーす。」
頼子が声を掛けるとアリンハンドは魔道具でなにやら連絡を取る。
「さ、チハル!」
「なに!?」
「あっち見てて。」
麗奈は真っ暗な空の方を指差す、すると光が上空へ幾つも飛んで行くのが見える、そして。
ドォォン!!!
ドドドドォォォォン!!!
「花火!?」
「うぃっ!」
「なんでこっちに花火あるの!?」
「私達が作ったんだよ。」
「ウチらも一緒に作りましたー♪」
「頑張ったもんねー♪」
頼子達はニヤニヤしながら千春に言う、千春は青空に咲く花火をポカンと口を開けたまま見る。
「綺麗。」
色とりどりに光り輝く花火、頼子達は爆裂魔法を詰めた魔石と金属の粉末を混ぜた玉を作り、魔導士団にお願いし花火を打ち上げていた。
ドドドドォォォン!!!!
「たまやー!」
「かぎやー!」
青空達も一緒に声を上げ連続して打ち上がる花火を見る、日本の祭りに行ったメンバー以外は初めての花火に驚きそして美しさに呆ける。
「懐かしいな。」
エンハルトが千春の横に立つ。
「うん・・・。」
花火を見ながら千春はエンハルトに頷く、そして花火を見続ける。
ドォォォォン!!!
「うわぁ!」
最後に特大の花火が打ちあがる、そしてキラキラと光を放ちそして消えて行く。
「・・・ありがとうヨリ、ミオ、レナ。」
千春は目をウルウルとさせながら呟く。
「チハル、これは俺からだ。」
エンハルトは千春に小さな箱を見せる。
「・・・ありがとう。」
千春はそう言うと箱を見る、エンハルトはパカッと箱を開けると指輪が入っていた。
「・・・ゆびわ?」
「あぁチハルは18歳になったんだろう?」
「うん。」
「こちらの世界では違うが、チハルの国では18で結婚出来ると聞いた。」
「・・・。」
「結婚で指輪を付けると言う風習はこちらには無いが、アリンがヨリから聞いたらしくてな、準備した。」
「・・・。」
「まだ婚姻の儀式は先の予定だが、チハルと俺、そしてサフィーはいつも一緒だという証だ。」
箱には指輪が3点入っていた、エンハルトは一つを取り出す。
「付けても良いか?」
千春は無言で頷く、エンハルトは頼子に聞いていた左手の薬指に指輪を嵌める、そして横に立つサフィーナの指にも指輪を嵌める、そして残り1つを自分の指に嵌めた。
「おめでとうチハル、これからもよろしくな。」
「チハル、おめでとう、ずっと一緒よ。」
エンハルトとサフィーナは千春をのぞき込みながら笑顔で言う。
「・・・うわぁぁぁあん!!!!!!」
千春は我慢が出来なかったのか大きな声で泣きだす。
「あー、泣いちゃった。」
頼子は笑みを浮かべ呟く。
「大丈夫なの?」
美桜が呟くと横でロイロが笑いながら答える。
「先ほどから嬉しさが溢れてたからのう、キャバオーバーじゃ。」
「どうしたらいいか分からなくなったんだろうな、物凄く嬉しいってのは感じるぞ。」
ルプもロイロの横で笑みを浮かべ答える。
「わぁぁーーーーーん!!!!」
泣き続ける千春、サフィーナは千春を軽く抱きしめよしよしと頭を撫でる、エンハルトもそれを微笑みながら見る。
「チーちゃん幸せそうだねぇ。」
「そうだな、チーはこっちでも愛されとるなぁ。」
文恵と源治はわんわんと泣き続ける千春を見ながら呟く、皆は千春が泣き止むまで微笑んでいた。
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