千春の誕生日!⑩-2/2

「いらっしゃいませー!」

 千春達は全員着付けが終わり応接間に躍り出る。


「・・・あれ?」

「みんな無反応?」

 ブルーワグの王族達に挨拶をするが、皆ポカンとした顔で千春達を見る。


「綺麗ですわ。」

 イショナがポツリと呟く。


「和服良いわねー、私達も持ってくれば良かったわ。」

 智美は千春達の着物を見ながら話す。


「トモミは持ってるの?」

「持ってるわよ、うちの実家が神社だからそう言うのもいっぱい有るわ。」

「良いわね、私は着物持ってないわ。」

「実家に行けば有るかもしれないけど、もう処分しちゃったかしら。」

 ママさんズ達は着物JK達を見ながら感想を言う。


「キモノですか?」

「えぇ、私達の国の民族衣装みたいな物ですよ。」

 イショナは梅乃に興味津々で問いかける。


「アイトネちゃんに着物沢山持ってきてもらって良かったね。」

 文恵は着付けが終わり、満足そうに千春達を見る。


「私達も着るとは思わなかったわ。」

 頼子も満更では無い感じで着物姿の自分を見る。


「さ、千春ちゃんはそこに座ってて。」

「手伝いますよ?」

「何言ってるの、今日は主役なんだからそこで座っててね。」

 ウインクしながら智美が言うと、美咲や麗子もウンウンと頷く。


「ウチらはー?」

「ミオちゃんもそこで楽しんでなさい、今日はお母さん達がやるから。」

 美咲はそう言うと厨房へ消えて行った。



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コンコン


 ノックが鳴りサフィーナが扉を開ける、侍女とマルグリット、ユラが入って来ると千春達を見る。


「綺麗ね。」

「お母様、ユラ、いらっしゃいませー♪」

 千春はウキウキで声を掛ける。


「それがキモノ?」

「はい、日本の衣装です。」

「素敵だわ、触っても良いかしら?」

「はい♪」

 マルグリットは着物を触る。


「素敵ね。」

 うっとりと目を細め微笑むマルグリット。


「お母様も着物着てみたいです?」

「そうね、一度着てみたいわね。」

「おばぁちゃん、着物ってもうないの?」

「まだ有るけどメグちゃんは丈が有るからねぇ。」

「お母様の着物今度買ってきます!」

 千春はマルグリットの着物姿が見たくなり、マルグリットに言う。


「チハル、異世界の服の事は良く分からないけれど、この服高いでしょう?」

「・・・多分。」

「無理しなくても良いわよ。」

「おばぁちゃん、着物って幾らくらいするの?」

「ピンキリだねぇ、お婆ちゃんの知り合いに言っておくよ、安く手に入るから。」

 文恵は千春とマルグリットに言うと、2人は嬉しそうに微笑む。


「ユラもきてみたい・・・。」

「ユラちゃんの着物はあるよ、チーちゃんの子供の頃の着物もあるからね、今は無いから今度もってきてあげるよ。」

 ユラの頭を撫でながら文恵が言う、ユラは嬉しそうに頷く、暫くすると人が集まりだし皆千春達の着物を着て驚く、そして。


「チハル、誕生日おめでとう。」

「ハルト!ありがとう!」

 エンハルトは千春を見て一瞬驚くが、直ぐに笑みを浮かべ千春にお祝いを言う。


「準備は終わったのか?」

「ママさん達が全部やってくれてるの、手持無沙汰ってやつだよー。」

「たまには良いだろ、いつもチハルは動いているからな。」

「動いてる方が好きなんだもん。」

 エンハルトはブルーワグの王族達に挨拶をする、そしてソファーに申し訳なさそうに座るグレイスとダニオに声を掛ける。


「ダニオ、グレイス、面倒事に巻き込まれたな。」

「身内の失態で御座います、いかなる処分も受けるつもりで御座います。」

 ダニオが言うと、グレイスも頷く。


「あー、それは問題無い、もう父上の方にも報告が上がっている、お前達は気にしなくて良い。」

「しかし。」

「チハルがお前達を呼んだ時点でそう言う事になったんだ、気にするな、調べも付いている。」

 エンハルトは真面目な顔で話すが最後フッと笑う。


「ハルト、それってどういう事?」

「んー、まだ確定では無いがダニオが次の領主になるって事だ。」

「へー、良かったねー。」

「・・・分かって無いだろ?」

「うん、あんまり。」

 千春はテヘッっと舌を出す。


「しかし、客が多いな。」

 部屋を見回すエンハルト、狭い部屋では無いが、かなり人が増え座る所もほぼ無い。


「ブルーワグの方とチハルの友達令嬢、まだ増えそうだなぁ。」

 フランシスやフィヤー侯爵家のヤーテ、バンドレ伯爵家のテールキもテーブルにちょこんと座りキョロキョロしている。


「大丈夫っぽいよ?ほら外見て。」

 気付けば兵士達がどこから持ってきたのか、大きな絨毯を庭に敷き詰めテーブルや椅子を次々と並べていた。


「あのでっかい絨毯何処にあったんだろ。」

「あれは野外でお茶会をする時に使う物だ、久しぶりに見たな。」

 2人は仲良く庭を見ていると、空からも竜騎士が色々と運び入れる。


「大丈夫そうだな。」

「んだねー。」

 準備が着々と進み、空が赤く染まりだす、千春は今から次々と来る訪問客で大忙しになる事を知らなかった。









---------ご連絡---------

時間が足りず分割になりました、御迷惑おかけしましま!

明日からは通常の更新になります!多分!

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